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ツーリズムEXPO2026開幕、基調講演から観光大臣会合、商談会まで、初日の会場を取材した

ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)2026が2026年9月24日、東京ビッグサイトで開幕した。今年で12回目を迎え、開催テーマには「進化する旅のカタチ」を掲げた。2年ぶりの東京開催となる。会期は27日までの4日間で24、25日が業界・プレス日、26、27日が一般日。

今年の出展小間数は1553小間で、国内619小間、海外597小間、その他旅行・観光関係337小間。国内からは46都道府県、海外から74カ国・地域が参加し、4日間で18万人の来場を見込む。事前アポイントの展示商談会には855人のバイヤーと1019社のセラーが参加し、商談件数は目標の6200件を上回る6454件となった。

開会式では、高市早苗首相がビデオメッセージを寄せた。政府は2026年3月に閣議決定した第5次観光立国推進基本計画で、観光を地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業と位置付けている。首相は、政府として地方への誘客やインバウンドの持続的な成長、国内・海外旅行の促進、観光産業の強化を進め、日本の成長と地域活性化につなげていく姿勢を示した。

また、7月の熊本地震では九州各地で宿泊キャンセルなど観光への影響が生じていることにも言及。10月1日からの九州ふっこう応援割などを通じて、観光事業の回復と地域のなりわいの再建を後押しする考えを示した。あわせて、2027年3月に横浜で開幕するGREEN×EXPO 2027を契機に、日本、さらに日本各地への旅行につなげることへの期待も示した。

高市首相からビデオメッセージ

続いて観光庁の木村典央長官も、基本計画の実現に向けて「引き続き政府一丸、官民一丸となって、施策を力強く進めてまいりたい」と強調した。観光客数や消費額の拡大だけでなく、地方誘客、オーバーツーリズムへの対応、国内旅行・アウトバウンドの拡大、人材やDXを含む観光産業の基盤強化を一体的に進める方針だ。また、10月1日から始まる九州ふっこう応援割について、宿泊や食事、地域産品の購入を通じた地域支援を呼びかけた。

TEJ会場には、7月の熊本地震で影響を受けた熊本など九州各地のほか、ネパール・中国からも出展している。日本旅行業協会(JATA)の原優二会長は主催者会見で、熊本地震後は熊本だけでなく九州各地で旅行キャンセルが発生し、その後の新規予約にも影響が出たことに触れ、「いかに人流を止めないかというのが私たちの仕事」と述べ、風評被害も含め、落ち込んだ旅行需要の回復を後押しすることも旅行産業の役割との認識を示した。

GREEN×EXPOから、観光が地域に残す「価値」へ

TEJカンファレンスの基調講演には、3者が登壇した。第1部ではGREEN×EXPO協会事務総長の河村正人氏、第2部ではUNツーリズム(国連世界観光機関)のイオン・ヴィルク氏、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のプレジデント&CEO、グロリア・ゲバラ氏が講演した。

河村氏は、開催まで約半年となった「GREEN×EXPO 2027」の概要と準備状況を説明した。2027年3月に横浜市で開幕する国際園芸博覧会は、国内では1990年の国際花と緑の博覧会以来37年ぶりとなる最上位クラスの国際園芸博覧会。70を超える国・国際機関の参加を予定し、有料来場者数は1000万人を見込んでいる。

テーマは「幸せを創る明日の風景」。花や緑を楽しむだけではなく、植物を入り口に脱炭素や生物多様性など地球規模の課題を考え、来場者の行動変容につなげる。河村氏は、「明日の風景」は単なる会場の景観ではなく、展示が提起する課題を受け止め、来場者自身が明日の日本や世界を思い描くことを意味すると説明した。会場には、グリーントランスフォーメーションを扱うエリアや、食と農、国内自治体、国際出展などを展開する。

河村氏は、来場日時の予約による混雑緩和など、来場者を受け入れる環境づくりを進めるとともに、旅行者にGREEN×EXPO 2027の魅力や来場に必要な情報を届けていく考えを示し、旅行業界にも「情報発信に協力してほしい」と呼びかけた。

GREEN×EXPO協会事務総長の河村正人氏UNツーリズムのヴィルク氏は、コロナ禍から世界の観光が急回復した現在、問いは「観光をどう再開するか」から「次にどのような観光をつくるか」に変わったと指摘した。AIなどのテクノロジーが旅行先の選択、予約、移動、体験を変える一方で、旅行者は地域や住民とつながる、より真正性のある体験を求めるようになっているとした。

その評価も、旅行者数や消費額だけでは足りず、滞在期間が延びたか、従来の観光地以外にも旅行者が訪れたか、地域企業が消費を取り込めたか、雇用が改善したか、住民が観光を自分たちにとってプラスだと感じているかまで見る必要があると説明した。「観光の成功は、どれだけ成長したかだけではなく、どのような価値を生み、その価値がどれだけ広く公平に共有されるかで判断されるようになっている」との考えを示した。

再生型ツーリズムについては、「単にダメージを減らすのではなく、何か役に立つものを残すこと」と説明。歴史的建造物が観光によって再生される、旅行者向けに整備した交通が住民にも役立つ、観光によって若者が農村に残れる仕事が生まれるといった例を挙げた。

UNツーリズムのイオン・ヴィルク氏

WTTCのゲバラ氏は、世界の観光企業150社のCEOへのヒアリングから整理した8つの優先課題を紹介した。シームレスな移動、デスティネーション・スチュワードシップ、サステナビリティと社会的インパクト、AI、危機対応とレジリエンス、コネクティビティ、人材、投資だ。AIでは、航空会社が旅客属性などから機内食需要を予測し、食品廃棄や搭載重量、CO2排出量の削減につなげる活用例を紹介した。

危機対応については、WTTCが過去100件の危機を分析していることを明らかにし、観光の回復には旅行者の「信頼を再構築する」ことが重要と指摘。一方、旅行者の集中への対応では、「地域住民にとって良くないことは旅行者にとっても良くない。ウィン・ウィンでなければならない」と話し、観光の成長と地域の利益を両立させる必要性を強調した。

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のプレジデント&CEO、グロリア・ゲバラ氏

観光大臣会合、再生型ツーリズムをどう実装するか?

基調講演に続く第9回TEJ観光大臣会合では、「サステナブルツーリズムの先へ-再生型ツーリズムへの投資戦略」をテーマに議論した。第1部には、日本を含む10カ国の政府代表とUNツーリズムが参加。公式登壇者には、ブータン、カンボジア、フィリピン、キルギス、ヨルダン、ジョージア、ギリシャ、エジプト、タンザニア、日本が名を連ねた。

UN Tourismは、観光への投資では「どれだけ投資するか」だけでなく、「何に、どこに投資し、どのような価値を生み出すのか」が重要だと問題提起。インフラ、コネクティビティ、人材、イノベーション、デスティネーション開発への投資が将来の観光モデルを形づくるとした。

ブータンは「High Value, Low Volume(高価値・低量)」を基本に、旅行者数や収益の最大化だけでなく、観光が地域にもたらす価値を重視。カンボジアは雨季を「グリーンシーズン」として旅行需要の季節・地域分散を図る取り組みを紹介した。フィリピンは交通、空港、港湾、デジタル接続、観光施設と人材への投資を重視。ジョージアやギリシャからは、気候変動や自然災害などの外部リスクに対応できるレジリエンス、データに基づくデスティネーション管理の重要性も示された。

日本から登壇した木村観光庁長官は、「再生型ツーリズムは持続可能性にとどまらず、地域社会や環境の再生・向上を目指す重要な取り組み」とのスタンスを示した。地域の自然や文化を生かし、旅行者も地域資源の維持に関わる例として、富山平野の散居村に残る屋敷林を活用した取り組みを紹介した。

観光大臣会合の参加者第2部の世界観光リーダー会合では、政策や投資環境を実際の事業や旅行商品にどうつなげるかに議論を進めた。登壇者は、太平洋アジア観光協会(PATA)のヘンリー・オウ会長、ツーリズムEXPOの山北栄二郎実行委員長、ヨーロッパ観光委員会(ETC)のミゲル・ガジェゴ氏、JNTOの若松務理事、アドベンチャー・トラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)のハンナ・ピアソン氏、東アジア経済研究センター(ERIA)のインタン・ムルニラ・ラムリ氏ら。UNツーリズムからは、ヴィルク氏とアジア太平洋地域事務所の金子正志所長が参加した。

ETCは、旅行者をピーク期や有名観光地から分散させ、低炭素な交通手段や地域事業者での消費を促す取り組みを紹介。ATTAは、同団体の調査でアドベンチャートラベルの旅行支出の75%が地域に残るとの結果を示し、自然保護と地域収益を両立させるには、地域事業者の人材育成と海外市場へのアクセスを組み合わせることが重要とした。ERIAは自然資本、地域コミュニティ、レジリエンスとデジタル化を投資の重点分野に挙げた。

JNTOは、2026年4月に策定した訪日マーケティング戦略でガストロノミーツーリズムを市場横断戦略に加え、地域の気候、文化、歴史、地質などを食のストーリーとしてつなぎ、旅行消費を地域経済や文化の継承につなげる考えを説明した。議論はAIにも及び、ETCは旅行者が生成AIを使って旅行先を探すようになるなか、DMOがAIから参照される信頼性の高い情報源になる必要性を指摘した。

最後に金子氏は、自然や文化を戦略的な資源、投資対象として捉え、地域社会との共生や量より質を重視する方向性が官民で共有されたと総括。再生型ツーリズムを持続可能性という理念にとどめず、地域、コミュニティ、生態系に持続的な価値を生む投資戦略として進める必要性を強調した。

第2部のモデレーターはパトリック・ハーラン氏(パックン)が務めた

VJTM、参加規模はコロナ禍後最多の見込み

TEJと合同開催する訪日旅行のBtoB商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2026(VJTM&VJMM)」には、海外バイヤーは前年並みの280社、国内セラーが約350社・団体が参加。事前アポイントによって約7000件以上の商談がおこなわれる。JNTO蒲生篤実理事長によると、セラーとバイヤーを合わせた参加規模は「コロナ禍後で最多の見込み」だ。 

国内セラーでは、2025年に導入した1.5日間の「ハーフ参加枠」を継続。地方の自治体や観光団体が全日程に参加する負担を抑える狙いで、参加団体数は前年から約30団体増えた。

VJTM会場内での商談会の様子VJTMでは、商談に加え、開催前日の9月23日に海外バイヤー向けの半日エクスカーションを2コース実施した。「江戸街道」コースでは江戸東京博物館、両国国技館、高輪ゲートウェイシティなどをめぐり、文化体験も組み込んだ。「ネイチャー&ライフスタイル」コースでは、千葉県の水郷佐原や成田山新勝寺、グランピング施設などを視察し、関東エリアでの滞在を充実させる旅行商品の造成につなげる。

商談会後には、約250人の海外バイヤーを対象に、東日本を中心とした12コースのファムトリップを設定。レジャー向けでは、北海道の自然・伝統文化、山形・秋田の自然・伝統体験、岩手・宮城の訪日リピーター向けコース、福島・茨城の教育旅行、神奈川・山梨の訪日初心者向けコース、山梨・神奈川を巡るGREEN×EXPO 2027コース、新潟のガストロノミー、群馬・栃木の歴史・自然、埼玉・長野の歴史・アート・自然など10コースを用意した。MICE向けにも、アジア市場を対象とした「緑輝く未来へ」コースと、欧米豪市場向けの「禅と匠の心にふれる旅」コースを設定した。

9月25日にはGREEN×EXPO 2027をテーマとするインバウンドシンポジウムも開催し、商談と地域体験の両面から訪日旅行商品の造成を促す。

以下は、展示会の初日(業界日)のごく一部の様子。TEJは、会場内を撮影した数多くの画像を公式サイトで公開している。

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