現地ツアー、体験アクティビティ、観光アトラクション施設は、かつてはバラバラで、注目度も低い領域だったが、今では旅行業で最も急速に成長している。
このほどアライバルとフォーカスライトが公開したレポート「トラベル体験2026:市場規模、事業者、消費者行動のハイライト(Travel Experiences 2026: Market Sizing, Operator and Consumer Behavior Highlights)」によると、2024年の世界市場規模は2530億ドル(約40兆円)とパンデミック前の水準へ完全復活しており、2029年までに3420億ドル(約54.7兆円)に達すると予測されている。
このレポートでは、3つのモデルを使って今後を予測している。計22の主な体験カテゴリーについて供給規模のマッピング、事業者を対象に実施したアライバルの「グローバルオペレーター動向調査」のデータ(有効回答者数は5600人以上)、そして第三者による経済や旅行需要予測を組み合わせた。さらに、フォーカスライト独自の総予約データも用いることで、より広く旅行市場全体を捉えることを目指した。
世界の旅行体験マーケット規模(2019~2029年)、単位:10億ドル ※フォーカスワイヤより
年間6%の安定的な成長ペース
その成長ぶりは際立っている。現地体験の予約額は、2024年に17%増となったが、旅行市場全体では同6%増にとどまっており、パンデミックによる打撃の後、再び急加速していることが分かる。2020年の予約額は78%減と、旅行全体よりも厳しい下落幅になったが、その後のリバウンドの勢いでも、このセクターは他の領域を上回った。
2029年までの推移予測では、年間約6%の安定的かつ持続可能な成長ペースに落ち着く見込みだが、同レポートによると、引き続き、現地体験マーケットの成長率が他の旅行カテゴリーの大半を上回り続けることは確実としている。
現地体験vs旅行市場全体の年間成長率比較(単位:10億ドル) ※フォーカスワイヤより
1回の旅行当たりの予約は「3.5~4.7件」
消費者動向について特筆すべきは、現地体験の予約が一回だけというケースがほぼないことだ。
ツアー、アクティビティ、アトラクションなどの平均的な予約件数は、1回の旅行当たり3.5~4.7件で、この数字にはカテゴリーや地域による差異も見られた。例えば、米国の旅行者は欧州の旅行者よりも旅行期間は短い(それぞれ平均7.1泊と8.3泊)が、各カテゴリー当たりの体験利用は多い。このギャップについて、同レポートでは、旅行ペースの違いや、デスティネーションで提供される体験商品の種類の豊富さなどを理由に挙げている。
現地ツアー、体験アクティビティ、観光アトラクション施設などの平均利用件数(同カテゴリー利用者が対象) ※フォーカスワイヤより
タビナカの消費額は横ばい、ネット予約は3割
消費額を見ると、より複雑な状況が浮かび上がる。
米国の場合、一人当たりの現地ツアー消費額は、過去3年間、ほぼ横ばいで推移。体験とアトラクションへの支出額はわずかに増加している。一方、欧州では、これら3つのカテゴリーすべてで支出は鈍化している。こうした傾向について、同レポートでは、旅行者が予約する体験の数をより優先し、体験当たりの予算を絞っていると論じており、タビナカ領域への関心の全体的な低下というより、予算意識が高まっている兆しとしている。
旅行業の他の領域に比べて、進展が遅いのは流通だ。
2025年にオンライン予約されたタビナカ体験は全体の33%にとどまり、旅行全体の64%に比べて低い。ビアター(Viator)やゲットユアガイド(GetYourGuide)など、この領域に専門特化したマーケットプレイスは取扱商品を拡大しているものの、こうしたギャップがある状況について、同レポートでは2つの要因が作用していると指摘する。
すなわち、(オンライン予約サイトから)分断された超ローカルなサプライヤー(事業者の70%以上は小規模またはマイクロビジネス)が主流で、航空、ホテル、クルーズ業界で起きてきたような合併や統合が進まないこと、そして、旅行者側にもオフライン予約への安心感があることだ。55歳未満の旅行者では約5人に1人、55歳以上では24%が、直近の旅で、事前予約なしの当日客としてこうした体験に参加している。こうした利用パターンは、旅行業の各セグメントの中でも、体験カテゴリー特有の傾向であるという。
旅行および現地体験のオンライン予約比率、2022~2026年 ※フォーカスワイヤより
体験予約のタイミングは、年齢や地域によってかなり異なる。
当日予約の比率は、わずか12%から30%までと幅広く、当日予約の傾向は若者より年配の旅行者で顕著だ。米国でも欧州でも、事前予約する理由のトップは、具体的なプランを確定したいから、そして希望する体験であると事前に分かっているからだった。僅差で、次に多かった理由は、売り切れてしまうリスクで、同レポートでは、受け入れ可能な人数が限られていることや人気観光地の混雑が影響しているという。
ウェルネス体験は欧州旅行者に人気
また同レポートでは、人気の高い主な体験タイプについて、カテゴリー別の内訳をまとめている。米国市場で最も人気があるのは市内観光ツアーで42%が支持、欧州では文化施設や観光名所で47%だった。
スパやウェルネス体験は、米国人(23%)よりも欧州の旅行者(33%)の間で人気が高い。一方、米国人はグルメツアーや体験教室への関心が強く(40%)、こちらは欧州の旅行者(32%)を上回った。こうした地域性の違いに加え、予約決定のタイミングや利用チャネルに関するデータも把握することで、事業者やマーケターは、各市場ごとに異なる詳細な需要動向を把むことができる。
市場の規模、予約チャネル、旅行者の行動などに関する地域別の全データは下記からアクセスできる。
レポートで取り上げている主な内容(抜粋)は以下のとおり:
- 世界のタビナカ市場規模と今後の成長予測
- 米国と欧州の旅行者は、現地ツアーや体験アクティビティ、観光アトラクションをどのように利用しているのか?
- 米国や欧州で最も人気があること、そこから得られる示唆や旅行者の嗜好
- 予約から購入までのタイミング、ホテルや航空券など、他の旅行商品との違い
- タビナカ領域におけるオンライン対応への移行状況、オフラインや対面での予約が根強く支持される理由
- 年齢層、地域、体験タイプ別の予約行動の特徴
※ドル円換算は1ドル160円でトラベルボイス編集部が算出
※編集部注:この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事: Tours and activities growth is outpacing travel overall, distribution is lagging
