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アブダビ文化観光局の日本市場戦略を聞いた、持続的な成長に期待、現地情報の透明な発信と旅行業界との連携を強化

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ文化観光局は、「観光戦略2030」のもと、中東情勢や経済の不透明感のなかにあっても日本市場への投資を継続している。2026年9月に東京と大阪で開催されたワークショップには現地サプライヤーが多数参加し、日本重視の姿勢がうかがえた。同局日本韓国地区責任者のバシャヤ・アラメリ氏へのインタビューから、日本市場におけるアブダビの最新戦略と今後の展望を紐解く。

「観光戦略2030」における日本市場の現在地

アブダビが掲げる「観光戦略2030」は、観光産業を持続的な成長軌道に乗せるための野心的なロードマップだ。2030年までに、年間訪問者数3930万人、観光産業のGDP寄与額900億UAEディルハム(約3.9兆円)、新規雇用創出17万8000人の目標を掲げているほか、ホテル客室供給数を3万4000室から5万2000室へ拡大し、平均滞在日数を3.2泊から3.9泊へ延長することを目指している。

この包括的な戦略のなかで、アラメリ氏は「日本は極めて重要な国際市場」と位置付ける。2025年の日本人宿泊客数は前年比15%増の1万9100人を記録し、平均宿泊数は3.4泊となった。また、調査によると、再訪意向率は80%となっていることから、満足度も高いことがうかがえる。

「文化、伝統、芸術、質の高いホスピタリティに関心の高い日本人旅行者の特性は、現在のアブダビが提供する体験価値と見事に合致している」とアラメリ氏。同局としては、日本市場について、単なる訪問者数の増加だけでなく、「旅行者にアブダビ自体が体験となり、より長く滞在してもらうことで、首長国の文化、自然、エンターテインメント、ホスピタリティ、そして伝統をさらに深く知ってもらう取り組みを進めていく」と強調した。

地政学的リスクが懸念される昨今において、アラメリ氏は「アブダビの最大の強みの一つが安全性」と自信を示す。アブダビ政府は2026年1月、生活上の治安に対する認識をもとにしたNumbeoの都市別安全指数で、アブダビが10年連続で世界第1位となったと発表した。「信頼を維持するために重要なのは、オープンで透明性の高いコミュニケーション、パートナーとの強固な連携、旅行業界やメディアにアブダビを実際に体験してもらう機会を創出すること」と話したうえで、旅行業界やメディアを対象としたファムトリップを積極的に実施することで、現地の安全性と魅力を透明性をもって発信していく考えを示した。

(左から)アブダビ文化観光局アジア太平洋地域責任者の徐敏氏、日本・韓国地区責任者のバシャヤ・アラメリ氏

高付加価値化と差別化

アブダビの観光における優位性としてあげられるのが、豊かな文化体験だ。2026年上半期だけでも、首長国内の博物館には世界から190万人が訪れたという。特に注目を集めるサディヤット文化地区では、「ルーヴル・アブダビ」や、東京を拠点とするアート集団teamLabによる「チームラボ・フェノメナ・アブダビ」に加えて、2026年12月11日には待望の「グッゲンハイム・アブダビ」が開館する予定。アラメリ氏は「日本人旅行者は、芸術、建築、伝統などでの体験を高く評価することから、こうした文化的な魅力は日本市場に特に強く響くものになるだろう」と期待を寄せる。

午前中に世界水準の博物館を巡り、午後はヤス島のアトラクションで遊び、夜は砂漠のリゾートやダイニングを満喫する。こうした文化、エンターテインメント、自然がコンパクトに共存する環境が、日本市場に向けた大きな差別化要因となっているという。

日本の旅行業界との連携と共創

国際市場の開拓において、航空会社や日本の旅行業界とのパートナーシップは不可欠な柱だ。エティハド航空による東京・大阪からの直行便がアクセスの基盤を支える一方、同局では旅行会社やツアーオペレーターに対する支援にも力を入れている。アラメリ氏は「旅行商品の開発や共同マーケティングの機会を創出するとともに、日本人旅行者の関心や嗜好に応える旅程を造成できるようサポートしていく。また、旅行業界向けの教育も重要な取り組みとして位置付けている」と話す。

具体的には、ワークショップやデスティネーション研修、日本語資料の提供を通じて業界内の観光素材に対する知識をアップデートし、共同マーケティングによる販売支援を展開。今後は、文化・自然・砂漠体験・ウェルネスなどを組み合わせた、より多面的で滞在期間の長い旅程の共同開発に意欲を見せた。

アラメリ氏は「日本市場には長期的に大きな成長の可能性がある。持続可能な成長をパートナーとともに実現していきたい」と強調する。

アブダビは「観光戦略2030」のもとで今後も継続的な観光インフラの拡充を予定しているという。旅行先としての魅力はさらに深みを増していく。アラメリ氏は「パートナー企業の声に耳を傾けながら、日本人旅行者の動向を的確に捉えた旅行商品を共に創り上げることで、アブダビと日本市場の持続的かつ相互的な発展を目指していく」と今後を見据えた。

※UAEディルハム円換算は1UAEディルハム43円でトラベルボイス編集部が算出