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観光白書2013を読む(4):日本はここ50年でようやく“観光新興国”に

平成25年版の観光白書(「平成24年度観光の状況」及び「平成25年度観光施策」)では、刊行50号目とビジット・ジャパン・キャンペーン10周年の節目にあわせ、国内外の50年間の国際観光を特集。その動向や政策等を総括し、今後の展望につなげた。

日本の外国人誘致は1963年の観光基本法に基づき、外貨獲得に重点を置いて展開された。しかし、バブル期の欧米との貿易摩擦を背景に海外旅行促進政策が開始。1987年には海外旅行促進政策を開始。「海外旅行倍増計画」として1991年に1000万人とする目標が作成され、1990年に達成した。

海外旅行者数と訪日外客数の隔離が拡大したため、政策面ではインバウンド誘致に軸足を戻した。1996年には訪日外客数を2005年時点で700万人に倍増させる「ウェルカムプラン21」を計画。1997年には地方圏への誘客促進を目的に「外客誘致法」が制定された。

そして2002年の小泉総理大臣(当時)の施政方針演説で観光が国の重要政策課題となり、2003年には2010年に訪日外客数1000万人を目標とするビジット・ジャパン・キャンペーンが開始。観光立国の実現に向けた取り組みが本格的に始動した。2006年には観光基本法を全面改正した「観光立国推進基本法」が成立し、「観光立国推進基本計画」のもと施策が推進された。

ビジット・ジャパン・キャンペーンの開始後、訪日外客数は外的要因の影響で増減の振幅が大きいが、開始前よりは大きく増加している。ただし、過去最高の861万人となった2010年でも、日本は世界30位、アジア8位。国際観光収入でも世界19位、アジア8位となっており、観光白書では「我が国は“観光後進国”からようやく“観光新興国”になったに過ぎない」としている。

なお、世界における国際観光は、1960年代から70年代にかけて大幅に増加。SARSが流行した2003年と、世界的な景気低迷と新型インフルエンザが影響した2009年には鈍化が見られたが、全体的には上向き基調だ。世界観光機関(UNWTO)では2020年の国際観光客数は13.6億人に達し、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)では2023年の観光GDPは世界のGDPの約1割にあたる10.5兆ドルになると予測している。

観光白書2013(1): 2012年の観光状況 ー国内宿泊5,2%増の1、7億人、海外は過去最高
観光白書2013(2): 2012年世界の観光市場と日本 -観光支出で中国が初のトップに
観光白書2013(3):東日本大震災後からの復興状況 -沖縄は好調、東北は回復に遅れ