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政府目標の訪日客4000万人達成のために足りない航空座席は600万席、2018年度の国際線は5%増の6177万席に -ANA総研が試算

ANA総合研究所は2018年度の日本乗り入れ航空会社の供給座席数の集計結果と、2020年の国際線座席供給量の見通しを発表した。

これによると2018年度(2018年3月31日~2019年3月30日)の日本乗り入れ国際線輸送座席数(全93社)は、前年比5.7%増の6177万席(331万席増)。FSC(フルサービスキャリア)70社が微増の4671万席に対し、LCC23社が18.3%増の1506万席となり、座席数の増加を牽引した。LCCのシェアは前年の21.8%から24.4%に拡大している。

一方、2018年の航空便利用者数は、クルーズでの訪日を除く訪日旅行者数が2875万人、日本人出国者数が1895万人で合計4770万人(JNTO、国交省、観光庁の2018年1月~12月の速報値)。航空便利用者数と国際線輸送座席数の対象期間が異なるものの、同一期間とみなして算出した利用率は77.2%になった。

これを踏まえ、2020年の訪日旅行者4000万人達成に必要な座席数は6744万席で、現在より約567万席の増加が必要と推計。推計の前提は、クルーズでの訪日目標500万人を除く航空機利用の訪日客数3500万人+日本人出国者数1895万人(2018年と同水準)÷利用率80%(一般的に日常予約が取りにくいと言われる水準)。

一方、2020年の国際線座席供給量については、年間ベースで724万席の供給増が可能となり、推計供給量は6901万席になるとの見通し。羽田空港東京都心上空ルートの新設で1日当たり50便増便との報道や、成田空港の運用時間等の拡大で年間4万回の離発着能力の拡大(1日54便)が期待されていることを受けたもの。これらを国際線の平均座席数191席(国交省航空輸送統計)で試算した。

ANA総研:発表資料より

2018年度の国際線供給座席量・概況

2018年度の供給座席量について、方面別ではハワイ含む南北アメリカ大陸(TC1)が4.9%増の706万席、欧州・中近東・アフリカ(TC2)が6.2%増の431万席、アジア・オセアニアが5.7%増の5040席で、全体的に増加。就航地別のシェアに変わりはなく、8割強がアジア・オセアニアとなっている。

国際線が就航する国内空港の数は31空港で、このうち成田と羽田、関空の3大空港は5.1%増の4681万席。地方の28空港は7.5%増の1496万席で、3大空港の増加率を上回っているが、全体の4分の3はまだ3大空港に集中している。

本邦航空会社の輸送座席数は、1位が全日空(ANA)で682万席、2位が日本航空(JAL)で569万席。本邦航空会社7社の合計は1509万席で全体の24.4%となり、前年より0.6ポイント減少。本邦航空会社のシェアは縮小傾向にある。