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ホテルチェーン「オヨ(OYO)」の急成長で変わるホテル勢力図、 世界3位に躍進した背景と狙いを考察した【外電】

急成長のホテルチェーン「オヨ ホテルズ&ホームズ(OYO Hotels and Homes)」が、どうやらIPOに向けた活動を活発化しているようだ。同社はこのところ、積極的に広報活動を強化。その一環として、米国やベトナムへの参入のほか、インド、インターナショナル、テクノロジー&ブランドライセンシングという3部門への再編、新リーダーの雇用をおこなった。また、中国では5月にシートリップ(Ctrip)と契約、それに続き、6月には新たな流通パートナー「美団(Meituan)」との提携を発表している。

さらにオヨは、客室数で世界第3位のホテルチェーンになったとしている。このことは、同社の急成長に慎重な見解を示す「懐疑派」を刺激したことは間違いない。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

2か月で大幅ランクアップ、次は「2023年までに世界1位」

オヨによると、2019年4月には客室数が63万6000室で世界第6位のホテルチェーンだったが、6月には85万室に至って世界第3位へランクアップ。わずか2か月でアコーホテルズ、ウィンダム ホテルズ アンド リゾート(Wyndham Hotels & Resorts)、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループを追い抜き、第3位へと躍進した。

今後、ナンバーワンになるには、ヒルトン・ホテルズとマリオット・インターナショナルを追い抜く必要がある。オヨの設立者兼CEOであるリテシュ・アガルワル氏は今後の展開について、「格安ホテルチェーンである同社は、2023年までに客室数が東南アジアだけでも200万室を超える見通しだ。つまり、われわれは世界最大の規模、収益、利益を誇るホテルチェーンになる」と語っている。マリオットは現状、それだけの部屋数を展開していない。オヨが示した数字では、マリオットが世界で擁する客室は130万室だ。

急成長の舞台は中国とインド、一方で反発も

オヨの客室数はここ2か月で急増したが、これは主に中国における事業拡大の成果だ。同社は6月25日の報道発表で、「中国最大のホテルブランドとして50万室以上を展開している」と説明。さらに1億ドルの投資も発表しており、その資金を中国本土におけるカスタマーエクスペリエンス、テクノロジー、人材面の向上、ヂュー・レイ(Zhu Lei)氏を「オヨ酒店(英語名:Oyo Jiudian、オヨの中国語名)」最高売上責任者CROに起用、フルタイム従業員を1万人以上に増員する計画に充てるとしている。

しかしこれは、中国のマスコミが、オヨ酒店は開発チームから約1000人の従業員を解雇する計画があると報じた後に発表されたもの。オヨはこの報道を否定しているが、同報道があった当時、オヨ酒店が「非倫理的行為」に対する取り締まりの一環で従業員を25人解雇し、さらに100人に通告を出したと発表してから2か月も経っていなかった。オヨは2019年4月、不正行為を排除するために「公正委員会」を設置したと発表しているが、その詳細は明らかになっていない。

また、同社にとって最大の市場であるインドで、オヨは現在もなお、様々な州のホテル協会の反発を買っている。協会の会員各社は、オヨによる大幅な割引、高い手数料、恣意的な契約内容変更などについて不満を述べているという。

インドや中国における課題があるからこそ、オヨは広報活動を通常よりも速く推し進めているのかもしれない。しかしユニコーン企業である同社は、100億ドル規模のバリュエーション(企業価値評価)で資金調達を目指しているとも言われている。また、IPOに向けて弾みをつけようとしているという推測もある。2019年7月8日付けの経済ニュース「ライブミント(LiveMint)」の記事では、オヨは今後2~3年後の上場に向けて準備を進めており、最大180億ドルのバリュエーションが視野だとされている。

さらに同記事では、オヨは海外での上場を目指していると推測。まだ利益を生み出せていないことと、「このようなビジネスモデルは、米国市場の方が受け入れられやすそう」だというのがその理由だ。

オヨは同記事に対するコメントを出していない。また、先ごろ開催されたイベント「スキフトフォーラム・アジア(Skift Forum Asia)」でも、アガルワル氏はIPOに関する質問に回答することを避けている。

はっきりしていることが1つある。オヨは自社が有力であり、さらに有力さを増していることを強調している。このユニコーン企業がなぜそうしているのか、その理由はまだ定かではない。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

※オリジナル記事:Oyo Claims It Has Overtaken IHG as World’s Third Largest Chain


著者:スキフト ライニ・ハムディ(Raini Hamdi)氏