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ラグビーW杯のインバウンド効果、訪日観戦者の消費は2.4倍、平均38.5万円で宿泊日数も長い傾向

2019年9月末から11月初めまで開催された、ラグビーワールドカップ2019日本大会。国際スポーツイベントの中でも開催期間が長く、訪日外国人旅行者による消費効果が期待されていたが、このほどそれを裏付ける調査結果が発表された。

観光庁が実施した、ラグビーワールドカップ観戦有無別の訪日外国人旅行者の消費動向調査によると、同大会観戦者の訪日旅行支出(試算)は1人1回平均38万5000円で、観戦していない人(15.9万円)の2.4倍と大きく上回った。国別では、フランス(47.6万円)、豪州(40.8万円)、英国(38万6000円)の順で、いずれの国も観戦していない人を大幅に上回った。

支出項目では、スポーツ観戦費(平均5.9万円)のほか、宿泊費(平均13.2万円)や飲食費(平均9.2万円)なども観戦していない人より高額になる傾向が見られた。1人1泊当たりの支出でも、観戦なしの人に比べて上回り、1泊当たり9500円高い結果となった。

発表資料より

また、開催都市以外にも訪日客増加の効果が表れたようだ。京都市観光協会によると、ラグビーワールドカップの開催により、京都市内58軒の宿泊施設で欧州・豪州を中心に出場国の市場が拡大。9月と10月の延べ宿泊客数の伸び率では、特にニュージーランドは188.7%増、英国は92.7%増で、調査開始以来で最大の伸びとなった。

宿泊施設に対する臨時アンケートでは、昨年と比較して「出場国の宿泊数が長かった」の回答は54.0%、「客室単価が高かった」は50.0%で、レストランやラウンジ、バーの利用率も高くなったという声も目立った。ラグビーW杯の訪日観戦客は、観戦だけでなく近郊観光も楽しんでいたことがうかがえる。

なお、ナビタイムジャパンでは、2019年11月2日の同大会決勝当日、会場周辺にいた訪日外国人の動きを可視化した動態分析結果を発表。会場の横浜国際競技場周辺でGPSによる位置情報が取得された外国人ユーザーを対象に実施したもので、これによると宿泊先は新宿や六本木、銀座周辺などが多く、朝9時ごろには会場への移動を開始。会場への入場ピークは試合開始約2時間前の16時頃だが、新横浜駅周辺の人手ピークは14時~15時ごろで、会場周辺には試合開始の約4時間前には観客が集まり始めていることも明らかになった。

観光庁の調査は2019年10月10日~11月5日まで、成田、羽田、中部、関西、福岡、那覇の各空港で、訪日外国人旅行者に聞き取り調査で実施。サンプル数は4409人。京都市観光協会の調査は、市内58ホテルを対象に実施した。