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JALもデジタル証明書「コモンパス」の実証開始、ホノルル線とシンガポール線で、「IATAトラベルパス」など複数の実用進めて見極めへ

JALは2021年4月2日、羽田/ホノルル線(JL074便)でデジタル証明書アプリ「コモンパス」の実証を開始した。5日には成田/シンガポール線(JL711便)でも実施する。

実証に参加するボランティアは、ハワイ州が定める「セーフ・トラベル・プログラム」の枠組みを利用。出発の前日にプログラムの指定医療機関である東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックでPCR検査を受けた。そのデジタル陰性証明は、健康アプリ「ウィズウェルネス」経由で「コモンパス」にデータ連携。ハワイ到着後、このデジタル証明書を提示することで、現地での自己隔離が免除されることになる。

JALでは、コモンパスに加えて、Daonが開発し共同事業パートナーであるアメリカン航空も実証を進めている「VeriFly」の実証を日本/北米路線で4月下旬に実施する予定。また、国際航空運送協会(IATA)が推進する「IATAトラベルパス」の実証にも参加し、5月下旬から検証を始める。

JAL カスタマー・エクスペリエンス本部CX企画推進部部長の中村智氏は「デジタル健康パスポートを推進して、安心安全の旅行を提供していきたい」と意欲を示した。また、複数のデジタル健康パスポートが実用に向けた動きを見せている現状については「今後ひとつのアプリに収斂していく可能性もある。JALとしては、今年度上期でさまざまな実証を行い、実用性を見極めたい」と話した。

JALのデジタル健康パスポートの取り組みを説明する中村氏また、コモンパスの導入を進めている世界経済フォーラム第四次産業革命日本センタープロジェクト長の藤田卓仙氏は「ユーザー視点では、今後、コモンパスが普及していくためには、航空だけでなく、さまざまな場面でデジタル証明書として活用されていくことが求められる」との見解を示した。また、出入国管理での普及に向けては、今後各国の認可が必要になるが、「世界経済フォーラムを通じて、コモンズ・プロジェクトが主導的に交渉を進めていく」とした。

コモンパスには現在、日系2社に加えて、キャセイパシフィック航空、ジェットブルー航空、ユナイテッド航空などが実証に参加。マイクロソフト、オラクル、セールスフォースなどの民間IT企業や、アメリカの総合病院メイヨークリニックなどが「ワクチン証明イニシアティブ(Vaccination Credemtial Initiative)」を始動している。さらに、GDSアマデウスの認証プラットフォームとの連携も始めた。

しかし、現在のところ、コモンパスを公式なデジタル健康パスポートとして入国管理システムと統合しているのは、カリブ海のオランダ領アルバだけにとどまっている。羽田でのPCR検査のデモも公開。現在のところ、1日の検査数は120〜150件だという。

コモンパスに加えて、VeriFlyのデモンストレーションも実施