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米エクスペディア、ロシア旅行の予約停止、ウクライナ危機に、オンライン旅行会社の対応分かれる 【外電】

ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて、各国によるロシアへの経済制裁に加えて、民間企業でもロシアでの事業を見直す動きが出ている。そんななか、世界大手OTAの米エクスペディア・グループは、バケーションレンタル(民泊)の「Vrbo(バーボ)」も含めて、ロシアへの旅行予約を停止した。米旅行メディアのスキフト(Skift)は、そのエクスペティアを含めて主要OTAのウクライナ危機に対する反応をレポートしている。

エクスペディア・グループにとって、ロシアやウクライナの市場は大きなものではないが、今回の措置は競合他社には驚きを持って受け取られた。しかし、状況は流動的で、他のOTAのロシア旅行への対応にはまだ不透明なところはある。

ブッキング・ドットコム(Booking.com)は2022年3月1日現在、モスクワ行きのフライトもホテルも予約可能だった。グーグルの広報は、現在のところ、グーグル・フライトやグーグルホテルのほか、検索、グーグルマップ、ユーチューブなどのサービスもロシアで提供されているが、同社国際担当副社長のケント・ウォーカー氏は同社のブログで「各国が実行する制裁すべてに従うこと約束する」と述べている。

エアビーアンドビー(Airbnb)は、ウクライナ難民に対して、最大10万人分の宿泊施設を無料で提供すると発表した。一方で、サンクトペテルブルグでのレンタルや「モスクワでのナイトライフ」などの体験は予約可能になっている。ただ、「クレムリンツアー」体験では利用可能な日付は示されていない。

トリップアドバイザーの広報は、同社は情報プラットフォームのため、ロシア旅行を提供する広告主を規制したり、予約する場所を制限することはできないとコメントしている。ロシア国内で反戦を訴える人たちは、国内メディアで発言できないことから、トリップアドバイザーに反プーチンを広めるレビューを投稿。しかし、ホテルやレストランに対するレビューではないため、トリップアドバイザーはそれらをブロックしている。

一方で、トリップアドバイザーは、トリップアドバイザー・ファンデーションを通じて、ウクライナ難民支援のために最大25万ドル(約2875万円)を寄付することを明らかにしている。

しかし、トリップアドバイザー傘下の現地ツアー予約ビアター(Viator)では、3月16日のクレムリンツアー、3月30日のキエフの歴史ツアーは予約可能になっている。Viatorに確認すると、「現在、ロシアやウクライナでの当面の予約のキャンセルを進めているところ」との回答があった。

欧米諸国は、ロシアを世界の金融システムから排除しようとしている。ロシアでのビジネスの継続を望むOTAは、ロシア人旅行者の動向も見ながら、対応せざるを得なくなるだろう。

※ドル円換算は1ドル115円でトラベルボイス編集部が算出

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Expedia Ceases Sales to and From Russia

著者:Dennis Schaal氏