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じゃらん予約取扱額がコロナ前水準に回復、出張予約も順調、2年ぶりのフォーラム開催で事業方針や業況を発表

リクルートは2022年6月15日、2年ぶりのリアル開催となる宿泊施設向けの「じゃらんフォーラム2022(東京会場)」を開催し、旅行事業の方針や宿泊施設向けの支援、業況について説明した。

コロナ禍でのじゃらんnetの予約取扱額は、2020年度にはGoToトラベルの開始と停止時期でアップダウンする結果だったが、2021年度は11月から年度末にかけて、2019年度比で100%前後まで回復したという。

予約取扱額はコロナ前の水準回復

リクルート旅行Division長の宮本賢一郎氏は、回復要因について大型の需要喚起策とオンライン決済促進策の2つの施策をあげた。期間限定セール「じゃらんスペシャルウィーク」は、テレビCMをはじめとする積極的なPR展開で、消費者の認知度が向上。2021年度下期には参画施設も増加した。

プレゼン資料より

オンライン決済の促進策では、現地払いではなくオンライン決済を選んだ会員に、10%のポイントを付与するキャンペーンを実施。その結果、オンライン決済比率が10ポイント以上増加した。この2つの施策の相乗効果で、予約件数の増加につながっているとみている。

また、出張予約「じゃらんコーポレート」サービスではリモートワークの推進で回復が遅れていたものの、2021年度末には利用企業数が2万1000社を超えた。年間数十万件の大型企業のサービス利用開始も続いており、2021年度下期にはコロナ前と同等程度の人泊数に回復してきているという。

このほか、タビナカ予約の「じゃらん遊び体験」や「じゃらんレンタカー」も予約件数や取扱額が好調に推移。サービスや機能の向上に努め、地域消費の活性化につなげるとしている。

じゃらん版観光DXなど、地域消費活性化で進化を

宮本氏は、今後、数年間のじゃらんの方針として「総旅行回数の増加を起点に、総地域消費消費額の増やすことに注力する」と説明。宿泊予約から旅行予約サービスへの進化を目指し、旅行を通じた地域の消費活性化を図る。そのためのキーワードとして(1)「じゃらん版観光DX」の提供と、(2)デジタル消費の増加、(3)現場を知り、データを生かす、の3つをあげた。

じゃらん版観光DXでは宿泊施設に対し、情報収集から予約、現地のアクション、消費といった消費者の動きが見えるデジタル消費データを提供。じゃらんとしても、タビマエからタビナカ、タビアトまでいつでも必要で魅力的な情報にアクセスでき、予約など旅行に必要なすべての手配が可能になるワンストップサービスを提供する。

これらの取り組みで、現地コンテンツを磨き上げ、消費者の志向にあった情報配信をすることで、観光客それぞれにとっての「唯一無二で最高な観光体験」を実現。利用客の旅行満足度を高め、地域消費の活性化につなげていく方針だ。

具体的な施策としては、じゃらんnetではユーザビリティを改善。予約完了までに必要な遷移を、現在の4回の画面遷移から1回で終了できるように変更する。また、今年中にアプリからダイレクトで決済サービスに遷移できる開発を行い、予約から決済までワンストップ化を実現する。

発表資料より

また、宿泊施設向けには「Airペイ」で、月3回~6回の入金や36種類のキャッシュレス決済などに対応した特別プランを提供。宿泊施設向け収益管理「レベニューアシスタント」の機能も改善した。

特に宮本氏は、キャッシュレス決済対応の重要性を強調。多様なキャッシュレス手法への対応の遅れが「売上機会の棄損や、顧客の満足度低下につながる」と対策の必要性を訴えた。キャッシュレス化により観光マーケティングに重要な消費データの蓄積が可能になることも説明し、「より地域消費に貢献できるじゃらんへとレベルアップしたい」と意欲を示した。

このほか、宿泊施設や地域の課題解決に向け、じゃらんのサービスのみならず、リクルートが有するビジネスツールなどのソリューションも提供する方針。顧客にとっての最適な価値提供をすることに注力する方針だ。

リクルート旅行Division Division長の宮本賢一郎氏