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豪クイーンズランド州政府観光局、ブリスベン五輪2032に向けて新ブランド戦略、OTAとのパートナーシップ拡大へ

豪クイーンズランド州政府観光局は、新たなブランドコンセプト「自然を旅する、 わたしを旅する クイーンズランド(A Beautiful Way To Be)」を発表した。クイーンズランド州の多彩な自然が持つ「癒しのちから」を訴求することで、ポストコロナの新たな旅行ニーズに応えていく。

旅行業界向けワークショップのために来日した同観光局マーケティング部門責任者のマイケル・ブラナー氏は「旅行者は、パンデミックを経て、より深い体験の機会を求めるようになっている。このブランドコンセプトは、目的を持った旅行スタイルへの変化に沿うもの」と説明。今後、2032年に開催予定のブリスベン五輪に向けた長期的なブランド戦略として、オンラインを中心に訴求を強化していく。

今年5月に同観光局が実施した消費者調査では、日本人旅行者の間では、「刺激」「発見」「 つながり」「 癒しを感じる」「元気を取り戻したい」という意識が強くなっていることが分かったという。この結果から、同観光局では、日本市場において、サステナブルやリジェネラティブ(再生型)などの観光コンテンツも積極的に提案していく考えだ。

また、オーストラリア政府観光局が実施した最近の調査では、今後2年間のうちにオーストラリアへの渡航意欲がある日本人は8%、今後4年間では11%だった。この結果は、韓国、北米、英国など他の市場と比べると低くなったが、日本では水際対策が継続していた中での調査だったため、ブラナー氏は「この結果には失望していない。一度緩和されれば、この割合は上がっていくと思う」との見解。そのうえで、大幅な緩和が実施された10月11日からブリスベン五輪に向けて、「クイーンズランド州を含めたオーストラリアへの関心は高まっていくだろう」と自信を示した。

主要KPIは現地消費額、OTAとのパートナーシップも拡大へ

このほか、ブラナー氏は日豪間の航空路線についても言及。依然としてコロナ前の2019年の水準には回復していないものの、日本の水際対策の緩和に伴って、双方向の旅行需要が回復していく見込みのため、各調査予測をもとに「2024年末までにはコロナ前に戻るのではないか」との見方を示した。2022年12月1日からはカンタス航空が羽田/ブリスベン線を週3便で就航するなど、その動きはすでに現れているところだ。

今後のターゲットとしては、「訪問者数も大切なKPIだが、単に数を追いかけるのではなく、現地消費額を主要な目標に置いている」と説明。滞在の長期化や現地体験への消費拡大などが期待できる「ハイ・イールド・トラベラー(高消費旅行者)」の誘致に力を入れていく方針を示した。

さらに、既存の旅行会社に加えて、新しいパートナーとしてOTAとの協業も重視。「OTA利用者は、航空券を安く買って、宿泊や体験にお金をかける傾向がある」とブラナー氏。さらに、データを活用することで、タビマエからタビアトまでのカスタマージャーニーの中でデジタルでの多くのタッチポイントを持っていることから、「消費機会が増える可能性がある」と期待する。

クイーンズランド州では、パンデミック中、観光施設への投資が積極的に実施され、ケアンズ、ゴールドコースト、ブリスベンなどでは新規ホテルの開業やアップグレードが進んだ。旅行に対するペントアップ需要(抑えられていた需要)もあり、ハミルトン島の高級リゾートは非常に混雑しているという。

「クィーンズランド州には、新しい旅行スタイルのニーズに応える観光資源が多い」とブラナー氏。本格的な海外旅行再開に向けて、クイーンズランド州がオーストラリアへの旅行需要を牽引していくか、注目が集まる。