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世界大手の富裕層向け旅行会社、旅行先への送客数を年間50人に制限、気候変動対策や地域再生で模範を

世界大手の富裕層向けの旅行会社「ブラウン・アンド・ハドソン(Brown+Hudson)」は、世界中で再生型観光の重要性が唱えられているなか、特定の旅行先への送客数を年間50人に制限すると発表した。旅行需要が高まり、様々な観光インフラに負荷がかかっているうえに、観光業界は人手不足にも悩まされていることから決めた。

同社は、観光は気候変動の大きな要因ではないにしろ、世界の産業全体ではその影響は深刻と認識。インド、米国、モルディブ、中国、欧州、韓国、キューバ、南アフリカなど同社が送客する旅行先でも気候変動による大きな影響が出ていると警鐘を鳴らしている。

同社創設者のフィリップ・ブラウン氏は「観光業界は模範を示す必要がある。我々はすぐに行動に移さなければならない」とコメントしている。

年間50人の制限の中、同社は顧客のニーズを深掘りし、制限を超える場合、そのニーズを満たす代替地を提案する。

世界では現在、観光客の入国を制限する様々な措置が取られている。ブータンでは長年訪問者数を管理してきたが、最近では訪問者に課税する取り組みを始めた。ブラジルのフェルナンド・デ・ノローニャ島に入島するには環境保護税を支払う必要がある。

同社も、観光商品は有限な資源として位置付け、様々な取り組みを進めてきた。飛行機の代わりに豪華列車を提案したり、シーツやタオルの交換を制限したりと多様な提案をしている。

また、顧客に対して早めの旅行計画を推奨。同社は現在、2024年の旅行を顧客向けにカスタマイズしている。

ブラウン氏は「確かに収益への影響は避けられない」と認める一方、「気候変動やオーバーツーリズムへの対応として、我々はより大きな責任を負い、観光地の再生に取り組んでいく必要がある」と述べている。