トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

北朝鮮に新たなリゾートが開業、経済再建策として観光に注力、頼みの綱はロシアと中国からの観光客か

写真:AP通信

2025年7月、北朝鮮の東海岸に「元山葛麻(ウォンサン・カルマ)ビーチリゾート」が開業する。北朝鮮の国営朝鮮中央通信は6月26日、金正恩氏が同施設を視察し、盛大な式典でテープカットをおこなったと報じた。北朝鮮は、このリゾートの意義について同国の観光産業の新たな幕開けになるとしているが、外国人観光客の受け入れについては言及していない。

貧困に苦しむ北朝鮮の限られた予算から巨額の予算が投じられたと言われており、国内観光客だけでは採算が取れないため、最終的には中国人をはじめとする外国人観光客を受け入れることになるだろうと指摘する専門家もいる。

朝鮮中央通信によると、元山葛麻沿岸の観光地区にはホテルなどの宿泊施設のほか、レストラン、アクティビティなどが揃い、約2万人の観光客の受け入れが可能だという。

経済立て直しで観光に投資

金氏は、低迷する経済を立て直すため、北朝鮮の観光拠点化を推進。元山葛麻地区は、最も力を入れている観光プロジェクトの一つだ。朝鮮中央通信は、国内の他の地域にも大規模な観光地を建設する計画が承認されるだろうと報じている。

北朝鮮は現在、軍事協力などを背景にロシアからの観光客を受け入れている。パンデミック以前は観光客の90%以上を占めていた中国からの団体旅行は依然として低迷している。2月には、5年ぶりに少数の外国人観光客を受け入れたが、3月にはそのツアーを一時停止した。

韓国の国家安全保障戦略研究所の専門家イ・サングン氏は、「北朝鮮は観光に多額の資金を投入しており、今後もさらに投入する計画だ。そのため、投資額を回収するために、中国人観光客を受け入れざるを得ない」と話す。

慶南大学極東研究所のイム・ウルチョル教授は、元山葛麻リゾートへの外国人観光客はロシア人から始まるとの見方を示す。一方、韓国と米国からのツアー受け入れは再開されない可能性が高いとしている。

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。