
JTBは、2025年夏休み期間(2025年7月15日~8月31日)に1泊以上の旅行に出かける人を対象にした旅行動向の見通しをまとめた。今夏は、日並びのよさやボーナスの上昇などが後押しとなって、旅行意欲は堅調。海外旅行者数はコロナ禍前(2010年~2019年)の平均の約9割に回復し、欧米方面などが復活傾向にあるという。各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループが実施したアンケート調査などから推計したもの。
総旅行者数は、前年比0.8%増の7464万人と予測。国内旅行者数は、物価高などの懸念はあるものの、旅行意欲は底堅いことから、同0.3%増の7220万人を見込む。海外旅行者数は、航空座席供給数の回復や昨年に比べ、やや円安傾向が落ち着いたことなどから、同20.8%増の244万人となる見通し。
総旅行消費額は、同8.2%増の4兆264億円。そのうち、国内旅行は同4.8%増の3兆3212億円、海外旅行は同27.4%増の7052億円を見込む。また、国内旅行の平均旅行費用(単価)は、物価高で価格自体が上昇していることや、北海道、沖縄などの遠方の人気もあることなどから、同4.5%増の4万6000円、海外旅行では、物価高や円安基調、遠方への旅行の増加傾向などから、同5.5%増の28万9000円と予測している。
国内旅行は万博やジャングリア効果、海外旅行は欧州の人気高まる
国内の旅行先で関心が高いのは、「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など)(32.0%)」、次いで「動物園や水族館(14.8%)」。また、体験してみたいことについては、「絶景やグルメなど、SNS映えする場所を巡り、発信する(16.5%)」「スマートフォンなどから離れ、心身の疲労やストレスを軽減する(14.4%)」「キャンプやアウトドア体験など自然が楽しめる場所で過ごす(14.4%)」の順に上位となった。
同行者では、例年通り「子連れ(中学生まで)の家族旅行(21.9%)」が最も多くなった。利用交通機関は「自家用車(51.6%)」が最多で、前年よりも3.1ポイント増加した。利用宿泊施設では「ホテル(63.6%)」が最も多く、次いで「旅館(23.5%)」となった。
JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況をみると、大阪・関西万博の開催や7月25日開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」の開業効果によって、京阪神エリアおよび沖縄本島への旅行予約が好調に推移しているという。
海外旅行について、人気の行き先は「欧州」と「韓国」が16.8%で同率トップ。「台湾(13.9%)」「東南アジア(13.9%)」が続く。JTBでは、日数や予定費用の傾向から、今年も遠距離と近距離の二極化傾向が見られるとしている。
JTBの海外旅行の好調な方面は昨年度に引き続きハワイ、韓国、台湾やアメリカ。特にアメリカ西海岸は、MLB公式観戦券付ツアーの人気から高い伸び率を示しているという。
このほか、今後の海外旅行に対しての意向について、海外旅行の行先別の実施時期をみると、「すぐに行きたい」という回答は「ハワイ(11.1%)」が最も多く、次いで「ヨーロッパ(10.8%)」、「オーストラリア・ニュージーランド(9.4%)」となった。