米国史上最長の連邦政府機関の閉鎖は、ようやく終息に向かいつつあるが、すでに米経済に悪影響を及ぼしている。2025年10月1日以降、約125万人の連邦政府職員が給与を受け取れていない。すでに数千便のフライトが欠航となった。議会が政府機関の再開に向けて動き出しているものの、この傾向は今週も続く見通しだ。
米議会予算局(CBO)は、6週間におよぶ政府閉鎖によって、今年の第4四半期のGDP成長率が約1.5ポイント低下すると推定。これは、第3四半期の成長率の半分に相当する。また、政府再開後の2026年第1四半期の成長率は2.2ポイント押し上げられるものの、約110億ドル(約1.7兆円)の経済活動が失われると試算している。
政府再開後も影響が続く可能性
航空会社は、連邦航空局(FAA)の指示により、11月7日以降に5500便を欠航。さらに、11月10日夕方までに2000便以上が欠航した。経済コンサルティングのツーリズム・エコノミクス社は、欠航発生前の段階でも閉鎖による旅行支出の減少は1日あたり6300万ドル(約97億円)にのぼると試算していた。また、フライトの混乱が6週間続けば、旅行業界の損失は26億ドル(約4000億円)となるとも予測していた。
欠航の影響は、ホテル、レストラン、タクシーなどのビジネスにも及んでいる。
また、ツーリズム・エコノミクスによると、多くの連邦政府職員がすでに今後の旅行を中止しており、政府再開後も、その動きが続く可能性が高いという。
今回の閉鎖は、消費者の購買心理にも影響を与えている。ミシガン大学が発表した消費者心理調査によると、11月の消費者心理指数は50.4となり、前月比6.2%減、前年比では約30%減と大幅な落ち込みとなった。専門家は、給与支払いの遅延や旅行・出張の中止、物価上昇への懸念が、消費者心理を大きく冷え込ませたと分析している。
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