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米国のSNS提出義務化案に、旅行業界団体が反発、旅行者離れを招くとの指摘相次ぐ

写真:ロイター通信

トランプ米政権が、ビザ免除プログラムを利用して米国に入国する外国人に過去5年分のSNS利用情報などの提出を義務付ける計画を公表したことを受け、米国旅行協会、民主党幹部、ビザ免除プログラム対象国からの渡航希望者のあいだで懸念が広がっている。

米国政府は、この内容について60日間のパブリックコメント期間で意見を募った上で、2026年2月8日からの実施を予定している。

現在、ビザ免除プログラムでは、日本を含む42カ国からの旅行者は、最大90日間ビザなしで米国を訪問することが可能だ。渡航者は電子渡航認証システム(ESTA)の取得で基本情報の提出が求められているが、今回の変更によって新たにSNSのハンドルネームの登録が義務付けられる。

また、官報通知によると、過去10年間に使用したすべてのメールアドレス、両親、兄弟姉妹、子ども、配偶者の氏名、生年月日、居住地、出生地の提出も義務付ける。

観光産業に冷や水

米国は2026年夏、カナダ、メキシコと共に、FIFAワールドカップを開催する。米国の旅行業界は、この世界的なイベントがトランプ大統領就任以来、落ち込んでいる訪米観光客の回復を後押ししてくれると期待している。

全米旅行協会(US Travel Association)の政府関係責任者エリック・ハンセン氏は、政権と協力しているとした上で「効率的で安全かつ現代的な審査プロセスを提供できなければ、国外からの旅行者は他の行き先を選ぶだろう」と述べた。

また、オーストラリア戦略政策研究所の中国調査分析責任者ベサニー・アレン氏は、中国の国境政策より厳しいと指摘。「中国でさえ、このようなことはしない」とXに投稿した。

税関・国境警備局(CBP)は、この通知は「アメリカ国民の安全を守るための新たな政策オプションを検討するための第一歩に過ぎない」との立場だ。

一方、米国政府は12月10日から「ゴールドカード」の申請受付を開始した。このカードは、100万ドル(約1.6億円)を支払えば「記録的な速さ」で米国永住権を取得できるというものだ。この政策には批判が多い中、このプログラムのサイトでは、500万ドル(約7.6億円)を支払う「プラチナカード」が「近日公開」されると発表されている。

※ドル円換算は1ドル155円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。