デンマークのコペンハーゲン観光局（ワンダフル・コペンハーゲン）は、旅行者が環境活動に取り組んだ成果に対して文化体験の特典を受けられる取り組み「CopenPay（コペンペイ）」の発展型として、世界に向けてオープンプラットフォーム「DestinationPay（デスティネーションペイ）」の提供を始める。

CopenPayは、環境にやさしい移動手段や地域社会との関わりなど、責任ある観光をおこなった旅行者に対して、無料体験や割引きなどの特典を提供するプログラム。2024年夏のローンチ後、現在までに市内100以上の事業パートナーが参画。これまでに約3万人の旅行者が参加した。

環境保護活動への参加のほか、鉄道でコペンハーゲンに移動したり、市内で長期滞在することでも特典を付与する。特典には、無料の自転車レンタル、ヨガセッション、ガイド付きツアー、国立博物館やクロンボー城への入場、市内の主要観光スポットへの割引入場などがある。

コペンハーゲン観光局によると、このプログラムを導入後、これまでに世界の100ヶ所を超える地域から取り組みの内容に関する問い合わせが寄せられているという。このことから、グローバルモデルとして「DestinationPay」の立ち上げに至った。

「新しい体験経済への移行」の象徴に

DestinationPayは、オープンプラットフォームとして、世界中の地域がすぐに利用できるモデルを提供する。

コペンハーゲン観光局のソーレン・テゲン・ペーターセンCEOは「多くの観光客が、これまでとは一味違うより有意義な体験を求めている。観光客は、もはや街をただ見るだけでなく、その街の一部になりたいと願っている。CopenPayは、その機会を提供するもの」と述べている。

欧州では、すでにCopenPayをモデルに独自の仕組みを構築する地域も出てきた。ドイツ・ベルリンでは、「BerlinPay」を立ち上げ、正式な稼働に向けて準備を進めている。また、フランスのノルマンディー地方では「低炭素料金」の仕組みを構築。ノルマンディーに電車またはバスで到着し、公共交通機関や自転車で現地を移動する観光客に、観光名所や美術館の10%割引を提供している。

コペンハーゲン観光局は、旅行の価値は、支出だけでなく、貢献度によっても測られるとの考えから、DestinationPayを消費経済から「新しい体験経済」への移行の象徴と位置付けている。