観光庁、外務省、日本旅行業協会(JATA)は、2026年7月1日申請分からパスポートの申請手数料が引き下げられることを受けて、「海外旅行2000万人に向けた共同記者会見」を開催した。JATAは、官民一体となった海外旅行の機運醸成と旅の安全啓発を展開するとともに、「もっと!海外へ」キャンペーンを拡充することで、日本人のパスポート保有率20%台への回復、「海外旅行者数2000万人」という目標の早期達成を目指す。
パスポート早期申請を呼びかけ
観光庁の村田茂樹長官は会見で、改めて「第5次観光立国推進基本計画」におけるアウトバウンド促進について説明した。アウトバウンド(日本人の海外旅行)は、国際感覚の向上や国際相互理解の増進につながるとして、「機運醸成」「若者の国際交流促進」「各国・地域との連携強化」「安心・円滑な旅行環境整備」の4つを柱に取り組みを進める方針を示した。
また、外務省の實生泰介領事局長は、パスポートの申請手数料の引き下げについて説明した。7月1日申請分から、10年用パスポートの場合、窓口申請では現行の1万6300円から9300円に、電子申請では1万5900円から8900円に引き下げられる。通常は2週間ほどで発行されるが、7月1日以降は混雑が予想され、発行まで1ヶ月ほどかかる見込みであることから、實生氏は早めの申請を呼びかけた。
加えて、實生氏は「たびレジ」の普及についても言及。「安全円滑な海外渡航のためには、目的地や乗り継ぎ先での最新の治安、災害情報、デモ、交通情報などの生活安全情報を入手することが非常に大事」と強調し、「たびレジ」への登録を呼びかけた。また、今後よりユーザーフレンドリーな情報発信を進めていくほか、たびレジと在留届を統合する計画も明らかにした。
(左から)JATA髙橋会長、村田観光庁長官、外務省實生氏、ANTOR-JAPANラウル・ゲーラ会長
日本旅行業協会、キャンペーン拡充、価値ある商品の造成を
JATAは、6月16日から「もっと!海外へ」キャンペーン特設サイトをリニューアル。旅行会社のキャンペーンおよびおすすめの100ツアー以上を紹介するとともに、観光庁と推進する「日米観光交流促進キャンペーン」に関連した商品を提案している。また、航空会社、空港会社、各政府観光局と連動するプロモーションも展開している。
JATA会長の髙橋広行氏は、パスポート保有率について、2005年に27%を超えていた保有率がコロナ禍で17%まで低下し、現在も18%台にとどまっていると指摘したうえで、「海外旅行者数とパスポート保有率は相関関係にある。まずは20%台への回復を目指す」と意欲を示すとともに、「(政府目標である)2030年を待たず、できる限り早く2000万人を実現していく」と続けた。
また、髙橋氏は中東情勢についても言及。米国とイランとの停戦合意が近いとの報道もあるなか、燃油サーチャージについて「下がるに越したことはない」とする一方で、「今後の見通しは難しい」との見方を示した。
さらに、国際観光旅客税の引き上げを原資としてパスポート手数料の引き下げや観光関連予算の拡充がアウトバウンド関連予算の増額に繋がったことを評価。「今後も特に若者の海外旅行を支援する施策を要望していく」考えを示した。
髙橋氏は、海外旅行商品の造成についても触れ、「高付加価値」「需要創造型」をキーワードとして「価値ある商品を積極的に提供していく」と強調した。具体的には、2026年10月に韓国で開催される「咸安(ハマン)落火ノリ JAPAN DAY 2026」に約2000人の日本人旅行者を送客する計画。また、トルコやベトナムでも日本人向けの特別イベントを企画していく。
髙橋氏は、「不便な場所でも価値ある体験には時間も費用も惜しまない需要がある」と語り、各国・地域と連携しながら旅行会社自ら新たな需要を生み出す商品の開発を促していく考えを示した。
会見には、JATA海外旅行アンバサダーの岩田剛典さん(右)とお笑い芸人のとにかく明るい安村さんも登場。海外旅行を呼びかけた