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2026年「アジア競技会」を見据えた観光客誘致の取り組みとは? 「スポーツ・文化・観光」の視点でトップが語った戦略

スポーツ庁、文化庁、観光庁は「第9回スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」を開催した。シンポジウムでは、名古屋市の広沢一郎市長が2026年9月に開催される「第20回アジア競技会」、10月に開催される「第5回アジアパラ競技会」に向けた取り組みを説明するとともに、「スポーツ⽂化ツーリズムアワード2025」受賞団体の表彰式がおこなわれた。

名古屋文化を全面に訪日客誘致を

「アジア競技会」は9月19日から16日間にわたって名古屋市瑞穂公園陸上競技場をメイン会場として開催される。45ヵ国・地域から最大1万5000人が参加する予定だ。「アジアパラ競技会」は10月18日から7日間開催される。

名古屋市では、開催にあたって、「アスリートセンタードの視点」「既存施設の活用」「先端技術の駆使」「伝統と県民・市民性に触れるおもてなし」「パラスポーツ文化の普及」「共生社会の実現」の6つの大会コンセプトを掲げている。

また、名古屋市は大会を通じて名古屋市が目指すまちの姿を表す「NAGOYAビジョン」も策定した。広沢市長は「アジア・アジアパラ競技大会を一過性のスポーツイベントで終わらせることなく、スポーツの振興をはじめ、交流人口の拡大、国際交流の促進、共生社会の実現などさまざまな分野につなげていく」と意欲を示した。

さらに、大会を通じてインバウンド旅行の振興にも取り組む考えを示した。名古屋の文化である「名古屋メシ」を広めていきたいとしたほか、ものづくりの町として「トヨタ産業技術記念館」や陶磁器で有名な「ノリタケの森」などの訴求を強めていく。

このほか、名古屋は交通の要衝として、京都、大阪、飛騨高山、北陸、伊勢志摩などへのアクセスがよいことから、名古屋を拠点にした観光促進にも取り組んでいく考えも披露した。

広沢市長は「アジア競技会」と「アジアパラ競技会」に向けた名古屋市の取り組みを説明

3長官がスポーツ文化ツーリズムの今後について意見交換

トークセッションでは、広沢市長に加えて、スポーツ庁の河合純一長官、文化庁の都倉俊一長官、観光庁の村田茂樹長官が登壇。アジア競技会・アジアパラ競技会への期待を語った。

スポーツ庁・河合長官は、「名古屋メシ」や大河ドラマの舞台などの名古屋のコンテンツをストーリー化してSNSで発信するアイデアを披露。「この大会に興味を持ち、文化でも、観光でも何かやりたいという人たちが一人でも二人でも増えれば、それがレガシーになる。関わる人数と熱量が掛け算になると、間違いなく名古屋を魅力的な都市にしていく」と期待を込めた。

スポーツ庁の河合長官文化庁・都倉長官は、訪日客のリピーターが多いのは「それだけ日本の文化が奥深い」ことを表しているとしたうえで、「日本の本物をもっと見たいという外国人は多い。日本の魅力というのは、知れば知るほど深くなっていく」と話し、観光コンテンツとしての日本文化の潜在性の高さを強調した。そのうえで、アジア競技会やアジアパラ競技会は「日本文化を海外に発信する新たなきっかけになる」と付け加えた。

文化庁の都倉長官また、観光庁・村田長官は、アジア競技会やアジアパラ競技会を「名古屋を中心とした中部地域をもっと知ってもらういいチャンス」と位置付け、中部地域の経済活性化とともに、北陸などへの周遊拡大にも期待をかけた。

観光庁の村田長官3長官は今後のスポーツ文化ツーリズムの発展についても意見交換。都倉長官は、訪日客の地方誘客に向けて、文化庁が所管する「日本遺産」の活用を提案した。村田長官は、消費額拡大に向けて、コト消費のコンテンツを育てていく必要性に触れ、そのなかでスポーツ文化は中心となる分野と位置付けた。河合長官は、さまざまな大会に参加する海外のアスリートに日本の文化を発信してもらう取り組みも必要との考えを示した。

最後に、名古屋市の広沢市長は、アジア競技会やアジアパラ競技会を通じて「多様性、共生社会の実現を目指し、名古屋の都市ブランド力を上げていきたい」と力を込めた。

スポーツ文化ツーリズムアワード2025、6団体が受賞

シンポジウムでは「スポーツ文化ツーリズムアワード2025」の表彰式もおこなわれた。今回は6団体が受賞した。

スポーツ文化ツーリズム賞:ホンダモビリティランド

1987年から三重県鈴鹿市で開催されているF1日本グランプリを運営しており、2025年は35回目の開催。観光客数26万6000人、うち外国人はおよそ8万人を記録した。F1競技だけでなく、歌舞伎や三味線、和太鼓のパフォーマンス、地場食材や日本の食文化を体験できるケータリングなどを通じて、日本文化の魅力を発信した。また、三重県や地域の観光団体と連携し、F1観戦と観光を組み合わせた観光パッケージなども展開している。

スポーツツーリズム賞:奥信濃100実行委員会

長野県木島平村を舞台とするトレイルランニングレースとして2021年に初開催し、2025年は過去最多のおよそ1600人が参加した。大会コースや地域のインフラでもある古道などの整備、次世代育成のためのキッズレース、大会シーズン外のアクティビティ体験をイベント化し、通年での観光客獲得を実現した。

文化ツーリズム賞:KURABITO STAY

長野県佐久地域の老舗酒造に滞在し、日本酒づくりにおける麹づくりや仕込みといった本物の蔵人体験を提供する体験型宿泊プログラムを提供。2024年のインバウンド率は33%。リピーター向けのプランや酒米の水田を巡るサイクリングツアーといった新たな体験コンテンツも提供している。

食文化ツーリズム賞:ウルトラうどんマラニック実行委員会

マラニックとはマラソンとピクニックをかけ合わせた造語。香川県を代表する食文化であるうどんや瀬戸内の風景を楽しみながら完走と完食を目指すマラニック大会を運営。前夜祭、後夜祭の開催など長期滞在を促す工夫によって参加者の宿泊や飲食による経済効果を地域に生み出している。

新しい観光賞:GMO OMAKASE/東京エクストリームウォーク100実行委員会

GMO OMAKASEは、閑散期の観光地と日本を代表する一流の料理人を組み合わせることで、地方に富裕層を誘客するダイニングイベントを企画・運営。2023年から2025年までニセコ、白馬、白浜で計4回開催し、客単価が安価でないにも関わらず即完売し、大きな経済効果を創出した。

東京エクストリームウォーク100実行委員会は、小田原/東京間を26時間以内で歩く長距離スポーツウォーキング大会を運営。2019年に初開催し、2025年5月の第10回大会は2400人以上が参加した。近年は外国人の参加も見られるという。

スポーツ文化ツーリズムアワード2025を受賞した6団体