訪問者数で日本人旅行者がトップの座に君臨しているデスティネーション、それが台湾だ。2025年の訪台日本人旅行者数は150万人に達し、台湾への送客国別では最多を誇る。訪台需要のさらなる拡大と深化を目指し、台湾観光庁および台湾観光協会は2026年4月11~12日、一般消費者向けのPRイベント「台遊館」を開催した。東京・秋葉原の一角に大勢の台湾ファンが詰めかけた同イベントをレポートする。
秋葉原で体感する台湾の食と旅、最新トレンド
ゴールデンウィークや夏の旅行シーズンを控えた4月の週末、東京・秋葉原のアキバ・スクエアで「台遊館in東京」が開催された。
今回で5回目となる同イベントには、台湾から来日した旅行・宿泊・観光事業者や関連団体、訪台旅行を手掛ける日本の旅行会社、航空会社など計34団体・45人が参加。さらに、タピオカや台湾ドーナツ、仙草ゼリーや豆花、小籠包、クラフトビールなどの人気グルメを味わうことができる飲食コーナー、台湾旅行関連の書籍や民芸品グッズ店も加わり、計41のブースが出展した。
今回のテーマは「台湾不打烊(眠らない台湾)」。「朝から深夜まで、北から南まで、1日24時間いつでも楽しめる台湾」を五感で体験してもらおうと、様々な趣向を凝らした。イベント初日には、オープン時間の前から大勢の人がエントランスに列を作る盛況ぶりで、2日間の合計来場者数は5500人超となった。
「人生の新しいページを台湾で」周氏が語った日台関係
会場オープンと同時に中央ステージに登場したのは、花蓮県の先住民族タロコ族の「マリバリ文化芸術団」。伝統楽器と現代舞踊を融合した力強いライブ・パフォーマンスを披露した。2年前に台湾東部を襲った花蓮地震の後、日本の旅行会社から「花蓮を応援したい」という声があがり、今回の来日パフォーマンスにつながったという。
台北駐日経済文化代表処 副代表の周学佑氏は、台湾と日本の関係について「共通の価値観があり、大変な時にはいつも互いに助け合ってきた。世論調査によると、お互いに最も好感があり、訪れたい旅行先でもある」と評する。
「人生とは一冊の本のようなものだと感じている。旅行することは、次のページに進むこと。美しい自然、美味しい食べ物、あたたかい人々がいる台湾で、人生の新しいページを開いてほしい」と、周氏は集まった旅行関係者に呼びかけた。
世界的に活躍する「マリバリ文化芸術団」。伝統楽器と現代舞踊を融合した独自のパフォーマンスを披露
食から鉄道まで、プロの視点でひも解く
会期中には、様々な切り口から新しい台湾の楽しみ方が紹介された。ステージでの特別トークショーには、鉄道と旅の人気YouTuberひろき氏、日本を代表するバーテンダー南雲主于三氏、人気ガイドブック「aruco」編集者など、各分野のプロフェッショナルが登壇。独自の視点から、台湾の奥深い魅力について語った。
また、台湾朝食でおなじみの蛋餅(ダンピン)のミニチュア作りなどの体験プログラムや、スマートフォンでQRコードを読み取りイラストを集めるデジタル・スタンプラリー、来場者からのメッセージで完成させる時計型ボードなど、参加型の企画も多数用意。なかでも台湾往復航空券が当たる「台湾クイズ大会」には多くの来場者が参戦し、会場は熱気と歓声に包まれた。
会場では、粘土でのミニチュアフードづくりなどのユニークな体験プログラムも開催
台北一極集中からの脱却へ、路線拡充は商機
台湾観光庁・台湾観光協会の東京事務所所長 王紹旬氏は、訪れる日本人旅行者の約45%をリピーターが占めていることを念頭に、「台湾のより多彩な魅力、台湾各地の活気を感じてもらうことに力を入れていく」と話す。
同氏は、日本からの訪台旅行者の9割が台北に集中していることも指摘。「台湾各地へ旅行需要を広げることが我々の課題。特に2回目以降の訪台旅行では、中部や南部を訪れる人をもっと増やしたい」との考えだ。
追い風となっているのが、日台間のアクセス拡充だ。「一日平均40便ほどの東京/台北路線に加え、台中、台南、高雄への直行便も近年増えている」と王氏。世界最大の半導体受託生産企業の進出効果で、LCCのタイガーエア台湾が熊本/高雄線や熊本/台南線の運航を開始するなど、日台の地方都市間の航空路線のつながりも太くなっている。現在、日本国内23以上の都市から台湾各地への直行便が就航しており、訪台旅行のプロモーションを強化する好機到来と見ている。
王氏は「観光だけでなく、日台間の様々な産業分野で交流が広がっている。地方自治体や空港振興協議会、地元の事業者と協力しながら、より多くの日本人旅行者を台湾各地へと誘致したい」と意欲を示した。
台湾出展者ゾーンには、現地から22の観光事業者が出展。来場者に台湾各地の魅力をアピールした
若年層のリピーター化を促す教育旅行は「種まき」
一方、旅行マーケットの中では、修学旅行や姉妹都市などを通じた青少年交流の促進を非常に重視しているという。王氏は「いわば、将来への種まきだ。高校時代に交流する機会があると、大学生や大人になってから、個人旅行で台湾に来てくれるようになる。同様に、台湾の高校では日本の学校との交流がさかんで、訪日リピーター市場の成長につながっている」と話す。
コロナ禍で一時は大幅に縮小した海外修学旅行マーケットだが、日台の学校交流に携わってきた関係者によると、2025年秋には私立高校に続いて埼玉県の公立高校が訪台修学旅行を実施するなど、徐々に戻りつつあるという。こうしたなか台湾観光庁・台湾観光協会では、日本の学校関係者向けに、2026年版の修学旅行パンフレットを作成。「台湾の経済、貿易、歴史などに加え、若者世代の関心が高いトレンドや現代文化など、今の視点を盛り込むことに注力した」(王氏)。
大学レベルでは、将来を見据えた産官学連携による取り組みも始まっている。周氏は、国立台北科技大学と国立雲林科技大学の事例を紹介し、「未来の人材確保という観点から、日本の優秀な学生に奨学金を用意し留学生を誘致している。こうした取り組みもぜひ知ってほしい」と訴えた。
周氏は「過去30年間で、台湾からの訪日客数は10倍増の670万人へ成長した。これに対し、訪台日本人客は倍増程度の150万人」とも指摘し、この差を埋めることにも意欲を示す。王氏は「日本を訪れる台湾人旅行者は、日本に台湾の良さを伝えるインフルエンサーでもある。双方向の交流拡大に及ぼす効果も期待している」と付け加えた。
(右から)台北駐日経済文化代表処 副代表の周学佑氏、台湾観光庁・台湾観光協会 東京事務所所長の王紹旬氏
歴史の絆から農場ステイまで、奥深い台湾の誘い
日本の台湾ファンが集まり、次の訪台旅行に向けて様々なインスピレーションを得る「台遊館」の会場では、来日した旅行・観光事業者らが、台北にとどまらない各エリアでの楽しみ方を熱心にPRした。
例えば、ダム建設などを通じ、歴史的に日本との縁が深い景勝リゾート地の日月潭、故宮博物館南院があり、高校野球の歴史秘話を映画化した「KANO」のロケ地巡りもできる嘉義(カギ)、日本の人気ミュージシャンも多数出演する台湾最大級の音楽祭「メガポート・フェスティバル(大港開唱)」開催地としても知られる高雄など、各エリアの楽しみ方は数え切れないほど多い。
台湾各地では、ファームステイも体験できる。「自然との共生」「食農体験」「いなか暮らし」をテーマに、300以上の農園、800以上の体験プランを集めた予約プラットフォーム「ファームツアー・マーケット(農游超市)」には、手ごろな価格帯から富裕層向けまで、様々な宿泊施設が掲載されている。体験の質を担保し、旅行者が安心して利用できるように、認証制度も整えている。
台湾リピーターの好奇心に応えられる提案を強化
出展企業の一つ、台湾のライオントラベルでは、新しい観光素材の一つとして、観光列車で各地へと足を伸ばす旅を提案。台北市内の南港から海沿いの宜蘭(イーラン)までを約3時間で運行する「海風号」は、全景パノラマ窓からの絶景を見ながら、ミシュラン星付きの人気店監修による季節のスイーツの数々が楽しめる。姉妹列車の「山嵐号」は、花東縦谷を走る初の観光列車として2025年に登場したもので、花蓮の美食が、地元産の蜜香紅茶や紅烏龍茶と共に車内で供される。
同じく台湾の旅行大手で、台中に本社を置くPACグループでは、日本から台中への直行便増加に伴い、リピーター向けによりディープな台湾体験を手配するケースが増えているという。同社ではこうした客層に対し、台湾中部で「媽祖(マソ)」の神輿が9日間練り歩く盛大なお祭り「大甲媽祖遶境進香(大甲媽祖巡礼)」へ参加するツアーや、3泊4日前後の旅程で先住民族の村に滞在し、収穫祭など四季折々のイベントに参加するツアー、茶葉の産地を訪れるツアーなどを訴求している。
台湾観光庁・台湾観光協会では、今後も日本旅行業協会(JATA)や旅行各社と連携しながら、PRイベント開催や付加価値の高い旅の提案に力を入れていく方針だ。「コストパフォーマンスの高い旅行先」として多角的なマーケティングを展開しながら、「台北以遠」の魅力を紹介し、リピーターの拡大と新しい旅行者層の開拓を進めていく。
広告:台湾観光庁・台湾観光協会
お問合せ:台湾観光庁・台湾観光協会
- メール:tyo@go-taiwan.net
- 電話:03-3501-3591
記事:トラベルボイス企画部