欧州議会は、デジタルユーロの導入を賛成多数で支持した。今後、電子版の欧州共通通貨に向けた法律が整備されることになる。デジタルユーロは現金を補完するもので、現金に取って代わるものではない。
デジタルユーロが導入されれば、ユーロ圏内での移動がより円滑かつ安全になり、コストも抑えられるようになることから、欧州旅行者にとっては有益と見られている。
具体的には、従来のクレジットカードを海外で利用する際にかかる高額な海外決済手数料やATM引き出し手数料が不要になり、物理的な現金(紙幣やコイン)の管理に伴う手間を省けるほか、単一通貨圏内のあらゆる場所でデジタル決済をおこなえるようになることが想定されている。
欧州中央銀行によると、通信環境がないオフラインの状態や、モバイルデータ通信やインターネットに接続できない状況でも支払いを行うことができ、物理的な現金と同様の機能を持つことになるという。
個人間送金、オンラインでの食料品購入、デジタル決済を導入している実店舗での支払いなど、ユーロ圏全域において、消費者はこの通貨を無料で利用することが可能だ。また、口座開設や残高管理といった基本サービスは無料となる見込みだ。
オフライン取引では、支出データが商業銀行や国際的な決済ネットワークに渡ることがないため、現金に近い水準のプライバシーが確保される。
現在、欧州のデジタル決済市場は、ペイパル、マスターカード、ビザなど米国企業に依存度が高い。欧州におけるカード決済の3分の2近くが、欧州外のシステムによって処理されているのが現状だ。
今回のデジタルユーロは、国際的な決済事業者への依存を減らし、欧州が主導する強靭な決済インフラを構築するのが狙いだ。欧州議会と加盟国との協議が7月後半に予定されている。現在のところ、2027年に試験運用を始め、2029年の開始を目指している。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。