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交通比較予約Omio(オミオ)、レイルヨーロッパ買収後の戦略を聞いた、日本・東南アジアへの拡大とAI時代の交通予約【外電】

Markus Mainka - stock.adobe.com

欧州鉄道予約のグローバル配信網を持つRail Europe(レイルヨーロッパ)の買収を完了した交通比較予約プラットフォームOmio(オミオ)は、陸上交通事業の拡大に向け、さらなる買収案件を視野に入れている。欧州以外でも、大手ベンチャーキャピタルのGranite-Integral(グラナイト・インテグラル)から1000万ドル(約15.7億円)の出資を受け、日本や東南アジアでの成長を目指しているところだ。

フォーカスワイヤが、OmioグループのCFOジャン=ベルナール・モエンス氏にインタビュー。同社の買収戦略における優先事項や、新規市場への参入アプローチ、販売戦略におけるAIエージェントの位置付けなどを聞いた。

―Rail Europeの買収が完了したが、統合は現在どのような状況か。今後は、どのようなステップが予定しているか?

Rail Europeは2つの事業部門で構成されている。1つはB2C部門であり、これはOmioの事業と大きく重複している。ただし、彼らには鉄道パスなど、私たちにはない商品がいくつかある。一方で、私たちには欧州内外に豊富な在庫(取り扱い商品)があり、これらを彼らの商品ラインナップに組み込んでいく予定だ。B2C部門に関しては、比較的迅速に統合が進むと見込んでいる。

B2B部門については、旅行代理店を相手にビジネスを展開しており、これはこれまでOmioがあまり手がけてこなかった領域。私たちは現在、「Omio for Business」というサービスを展開しており、順調に拡大させている。今後は、このB2B事業とRail Europeの事業を統合していく考えだ。これにより、旅行代理店に対して、Rail Europeが従来提供していたものよりもはるかに幅広い在庫を提供できるようになるだろう。

―Rail Europeの買収によって、自社でゼロから構築するのが困難だったどのような要素がOmioにもたらされるのか?また、新たなビジネスチャンスはどこにあると考えるか?

「Omio for Business」を立ち上げた際、ブランドを確立するまでには長い時間がかかるだろうと認識していた。一方、Rail Europeは1世紀近くにわたってこの事業を続けてきたブランド。私たちにとって、これは非常に大きな加速要因となる。

さらに、旅行代理店が使用するソフトウェアと技術的に連携する必要がある。旅行代理店を通じて予約する対象は、陸上交通だけでなく、ホテルやイベントなども含まれる。こうしたシステムとの連携には、認証の取得や業務の仕組みに関する知識が必要となるが、Omioにはこれまでそうした専門知識がなかった。

しかし、Rail Europeを買収することで、そのノウハウを獲得できる。現在、私たちは70カ国で事業を展開している。つまり、旅行代理店に提供できる在庫の幅が大幅に拡大するということだ。

―欧州の鉄道市場における競争環境は、今後どのように変化していくと考えるか?

新型コロナウイルスの流行によって、専門性に欠ける事業者や、顧客に付加価値を提供できていなかった小規模な事業者の多くが淘汰された。その結果、現在、欧州に残っているのは、私たちのような事業者が数社から十数社程度に過ぎない。

消費者側の視点からは、非常に大きな変化が訪れている。例えば、顧客の旅行予約を支援する大規模言語モデル(LLM)やAIエージェントが登場している。また、欧州委員会は、私たちが提供するサービスの価格透明性を高めるように求めており、これは消費者にとって有益なことだ。私たちにとっては課題となることだが、一方で、駅の窓口ではなくオンラインでチケットを購入する人が増えており、これは私たちにとって追い風となっている。

こうした状況は、私たちのようなプラットフォームにとって圧力となっており、結果として業界の再編が進むことを意味するだろう。小規模で十分な規模を持たない事業者が多数存在する状態を維持し続けることはできない。今後、さらなる業界再編が進むことは間違いないだろう。

―12~15社程度の買収候補先を抱えているというが、どのような企業に注目しているか?

私たちは3つの側面から検討している。

1つ目は「地理的なプレゼンス」。買収を通じて、自力で参入しようとすれば多大な時間を要するような新しい市場へ、迅速にアクセスすることだ。

2つ目は「交通手段の拡充」。現在、私たちは鉄道、バス、フェリーを取り扱っている。特定の交通手段において非常に強力な基盤を持つ企業と組んでその分野を強化するか、あるいは空港送迎、バン、ミニバスなど新たな交通手段を追加できる企業を探している。

3つ目は、消費者や旅行代理店向けの「付加価値サービス」の拡充だ。

現在、すでに接触している企業や、検討している企業を含めて、リストには12社ほどがあがっている。

―今後、どの程度の買収が見込まれか?

買収は、私たちの成長戦略の重要な柱となる。市場において業界再編が進むことは避けられない流れだと考えている。現在の私たちは、相応の成熟度と規模を備えており、買収そのものは決して容易なことではないが、事業運営に大きな混乱を招くような事態にはならないはずだ。

「Rail Europe」の買収は良い例だ。大まかに言えば、買収前の同社の規模は、私たちの4分の1程度だった。

こうした規模の買収を、半年ごとに1件ずつ実現できれば非常に理想的。もちろん、市場にどのような案件が出てくるか、また他社がどう動くかを見極めながら進めていくことになる。

―各カテゴリーは、Omioのより戦略の中でどのように位置づけられるか?

地理的な拡大に注力する理由は、これまでのキャリアを通じて何度も学んだ教訓に基づいている。つまり、消費者視点で「自分たちが何を得意としているのか」を理解し、それが分かったら、そこにさらにリソースを集中させるべきだということだ。

地理的な拡大の背景には、次のような考えがある。現在、私たちは「不慣れな環境を訪れる海外旅行者」という特定の市場セグメントにサービスを提供しており、彼らは私たちが提供するサポートを非常に高く評価してくれている。その結果、彼らは再びOmioを利用したいと考えてくれる。

もし彼らが再び欧州を訪れるのであれば、私たちは対応可能だ。しかし、例えば、米国人にサービスを提供できるのは、彼らが欧州を訪れた時だけだ。彼らは頻繁に欧州に来るわけではない。帰国以降はサービスを提供できなくなってしまう。もし日本やアジア、あるいは南米といった地域にも在庫があれば、彼らは再び私たちを利用し、以前と同じような体験を受けることができるようになる。

一方で、全く新しい地域で新規ユーザーを獲得しようとするのは非常に困難。なぜなら、これまでサービスを提供したことのない消費者を深く理解する必要があるからだ。

―その枠組みをアジアに適用することは可能か?

今年おこなったGranite-Integralからの資金調達が、まさに日本や東南アジアといったアジア市場の開拓を目的としていたものだ。単に資金を得たというだけでなく、彼らが日本やシンガポールの運輸当局などと強固なネットワークを持っていることが非常に大きく、おかげで現地の市場へより迅速に参入できた。

まず最初のアプローチとして、既存のユーザーに「私たちを知ってますよね?新たに日本という目的地が加わりました。私たちと一緒に日本を体験してみませんか?」と呼びかけている。

次に、「Rome2Rio」というプラットフォームを活用していく。このサイトを通じて、日本の交通商品が予約できるようになったことをユーザーに知らせることで、予約を促し、初めて私たちのサービスを利用してもらうきっかけをつくる。

3つ目の戦略は、少し性質が異なる。日本を訪れる新たな国・地域の旅行者に利用を広げる段階だ。中国や韓国、シンガポールからの旅行者などが対象となり、難易度はさらに高くなる。

これはあくまで1つの国における話だ。これを複数の国で展開していくと、ネットワーク効果が生まれ始める。対象となる地域が増えれば増えるほど、ユーザーが再び私たちのサービスを利用してくれる可能性も高まっていく。

―B2CとB2Bの成長という観点から、どのように今後の成長を描いているか?

私たちの最終的な目標は、陸上交通機関のチケットを予約する際、そのすべてが私たちを経由しておこなわれるようにすることだ。それが「Omio」ブランドを通じた直接予約であれ、私たちが所有する別のブランドを通じた予約であれ、あるいは私たちが所有していないパートナー企業のブランドを通じた予約であれ、すべてが対象となる。

例えば、私たちはUberのサービスと連携している。英国市場では、Uberは、ブランドの観点から見れば私たちと競合する存在。最終的にどこで予約するかは、ユーザー自身が選択することだ。

そうすることで、私たちはユーザーの行動をより深く理解できるようになる。可能な限り包括的な在庫を構築し、常にユーザーのニーズに応え続けることができる。私たちは鉄道、バス、フェリーといった交通手段を大切だと考えているが、これからの時代、こうした業界には、自らを少しずつ刷新していくことが求められている。

―陸上交通機関の予約における「入口」となることを目指すなかで、AIエージェントはどのような役割を果たすか?

私たちは、陸上交通機関の予約および予約後の体験において、LLMを活用したサービスを提供するナンバーワン企業でありたいと考えている。Booking.comやExpediaがホテル分野などで同様の取り組みを目指しているのも、理にかなったことだと思う。

AIエージェントは予約のサポートには非常に優れているが、実際に移動が始まってからのサポートにはまだ課題がある。

さらに重要な点として、優れた予約体験を実現するためには、AIエージェントがウェブ上のあらゆるサイトを一つひとつ巡回(クロール)するようなやり方では不十分。エージェントには、すべての在庫情報が集約された場所への接続口が必要であり、その場所からは即座に回答が得られる必要がある。一般的なユーザーは、エージェントが世界中のウェブサイトをすべて巡回して答えを見つけ出すまで、5分も待ってはくれない。

私たちは今、まさにその課題に取り組んでいるところだ。OpenAIとパートナーシップを組んでいるが、特定のLLMに依存しているわけではない。技術的な観点から最高水準を追求し、極めて正確な情報を記録的な速さで提供することを目指している。

※ドル円換算は1ドル157円でトラベルボイス編集部が算出

※編集部注:この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事: OMIO CFO ON RAIL EUROPE AND WHAT'S NEXT FOR M&A