日本航空(JAL)は、JALグループによる二地域居住促進の取り組みを全国6市町村から36市町村へと大幅に広げ、2026年9月1日に「つながる、二地域暮らし2026」プログラムをスタートさせる。2026年4月に設立したJAL子会社が、居住者と地域を結びつける役割を担い、参加者を2026年8月2日まで募集する。
二地域居住は、主な生活拠点とは別の地域に生活や仕事の拠点を設け、定期的に滞在するライフスタイル。JALグループは、拠点間移動によって生まれる人流や新たなつながりが、地域産業の担い手形成や課題の解決に貢献すると捉え、自治体と連携したツアー商品造成やサービス提供を進めてきた。
運営体制を変更、「KANTSUNA」がマッチング
プログラムの運営は、2026年4月に設立した子会社「関係・つながり共創」(英名:KANTSUNA)社が、JALに代わって担う。同社は、二地域居住促進法に基づいて自治体から特定居住支援法人の指定を受けている。特定居住支援法人とは、二地域居住を希望する人に住まいや仕事、地域との交流に関する支援を提供し、地域との橋渡しを担う法人。KANTSUNAは、参加の後押しや住まいの確保などの実務を手がける。
新たな取り組みを発表した報道関係者への説明会で、KANTSUNA事業推進部の青木漱介部長(JALソリューション営業本部関係・つながり創造部兼務)は、「都市部の人材と地域を面的に結ぶようなマッチングビジネスをしていきたい」と関係人口の促進に向けた意気込みを語った。
青木部長は、20を超える多くの自治体からパートナーとして特定居住支援法人の指定を受ける見通しを示したうえで、KANTSUNAの事業プランを説明。「二地域居住や地域そのものに興味がある人らに呼びかけ、例えば子育てに力を入れている自治体をグループ化するなど、地域紹介と交流会をおこなっていく。交流会や、双方向の交流によりマッチングしていくことを目指し、個人と自治体と事業者が融合していく場をつくっていきたい」と意欲を示した。
KANTSUNAは、国土交通省の支援モデル構築実証事業に採択され、特定居住法人のあり方に関する調査・研究もKANTSUNAが手がける。従来の航空ネットワークに縛られない広域での専門的な取り組みによって二地域居住の社会普及を目指し、居住者の幸福度・満足度(ウェルビーイング)の向上を目指す。
2026年度は、36地域、定員を約6倍に拡大
JALは、2025年度に国土交通省の実証事業に採択され、北海道と和歌山、香川、長崎各県内の計6市町で、マイルを利用した移動費の負担軽減プログラムを展開。次のステップとなる2026年度は、実証で得られた知見を生かして移動費支援に特化した広域型プログラム「つながる、二地域暮らし」と、滞在を実践している人に移動・住居・コンシェルジュサービスをパッケージとして提供する「2地域居住クラブ」を両軸で展開する。
このうち、「つながる、二地域暮らし」プログラムは、対象地域の拡大に伴い定員が全国で計266人と、2025年度の計45人から約6倍に増えた。北海道では釧路市など9市町に増え、関西は三重県鳥羽市などのほかに、和歌山県が県として事業に参画する。四国は徳島県三好市、愛媛県大洲市、香川県小豆島町などが加わる。九州では、離島を含む鹿児島県の13市町をはじめ、福岡、大分、熊本各県内の自治体が追加された。
移動費支援では、地域訪問時にJALグループ便の利用1往復につき、次回訪問に使えるマイル1往復分を補助する。実証事業では片道分だった。マイル補助や地域への最低訪問回数などの内容は、2025年度のプログラムをベースに、各自治体の方針に沿って柔軟に設定した。滞在先では、住民らと交流する体験メニューを用意し、地域との中長期的な関係作りをバックアップする。
プログラムが新たな人流を創出
説明会ではさらに、JALが2025年度の「つながる、二地域暮らし」の実証結果や成功事例を報告。定員45人に対し、3倍以上の162人の応募があり、すべての受け入れ市町村で定員を上回った。年代は50歳代(33%)と40歳代(20%)が上位で、過半数を占めた。応募者の23%が滞在希望地域を認知しておらず、42%が希望地域の訪問経験がなかったことから、プログラムが新たな人流を創出したと分析した。
実証事業参加者の86%が、「非常に満足」「やや満足」と回答。参画自治体も、同回答が86%と高い満足度を示した。自治体側からは「移動コストが最大の課題と考えており、この事業が解決につながる可能性を感じた」と評価する声の一方で、「二地域居住は観光地には向かないのではと感じることがあった」との指摘があった。今後のプログラムは、これらの結果を踏まえて展開される。