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全国の農泊6地域を表彰、最高賞は京都・美山の「里山の暮らしを学ぶ探究型プログラム」、ストーリー性や地域貢献度などを評価

全国の農泊地域を対象に食や学びを軸とした地域ならではの滞在プランを発掘・表彰する「令和8年度 地域の滞在プランコンテスト」が実施され、グランプリには京都府南丹市美山町の「南丹市美山観光まちづくり協会」の取り組みが選ばれた。

このコンテストは、地域ならではの食材・食文化、地域の歴史・景観などの多様な地域資源や一次産業をはじめとする地域の生業を背景として、ストーリー性のある滞在プランをコンテスト形式で発掘するもの。受賞地域には、応募プランのPR支援や伴走支援、協賛企業によるブラッシュアップ支援が提供される。

コンテスト開催にあたり、農林水産省大臣官房審議官の浅野敬広氏は、地域のストーリーを伝えていくガイドの質の向上の重要性に触れたうえで、「ファンをしっかり掴んで、農村地域の発展に磨きをかけてほしい」と挨拶した。

農林水産省大臣官房審議官の浅野氏

美山町、インバウンド学生向けに里山の循環を学ぶ機会を

グランプリを受賞した南丹市美山観光まちづくり協会は「A Satoyama Discovery Journey : Becoming Part of a Satoyama Landscape 京都美山の里山で、持続可能な地域の未来を共創する探究型農泊プログラム」を推進している。

39棟の茅葺き屋根の建物が現存する美山町で、地域を学びの場として捉えて、農が育む里山の暮らしから持続可能な地域づくりを探求する「地域共創型農泊」をコンセプトにストーリーを構成。参加者を「里山の循環を支える一員」と位置付け、地域課題の解決や関係人口の創出に取り組む。

主なターゲットは英語圏の高校生。訪日前から教材による事前学習を実施し、現地では農が育む里山の暮らし、森・水・農・食の循環などを学び、農から生まれる文化と未来を考えるプランを造成している。2025年度には22校/545人(台湾16校、オーストラリア6校)が美山町にホームステイした。

南丹市美山観光まちづくり協会は、観光客の受け入れについて、「美山町にはもともと地域主導の観光まちづくりの土壌があり、住民も外からの訪問者に対して抵抗感が少ない。DMOとして地域の観光事業者に集まってもらい意見交換を行う機会を設けているほか、住民の意見を反映させながら成果につなげている」と説明。

また、外国人旅行者の対応については「『かやぶきの里』は観光地であると同時に暮らしの場でもあるため、その点をどう伝えるかが重要」としたうえで、「地域住民だからこそ伝えられる『生の声』を最大の魅力として、それを大切にしている」と続けた。

グランプリ表彰にあたって、選定委員の帝京大学教授の五艘みどり氏は「ストーリー性やプランの内容に加えて、地域への貢献度、持続可能な販売体制というところが非常に高い」と講評。また、閑散期にインバウンドを受け入れるなど、マーケティングの視点を持っている点も評価した。

グランプリ受賞の南丹市美山観光まちづくり協会(右)と選考委員の五艘教授

このほか、地域の食・食文化プラン部門で2団体、学びのプラン部門で、南丹市美山観光まちづくり協会を含め4団体が選ばれた。

地域の食・食文化プラン部門

埼玉県比企郡の比企アドベンチャーツーリズムDMC協議会は「Organic Satoyama Ogawa小川町の有機農業と埼玉小麦文化を味わう滞在型Farm to Table」を推進。有機農業の先進地・埼玉県小川町で、畑での収穫から発酵・調理、食卓までを体験し、有機農業や埼玉の粉食文化、食材の背景にある土や人、暮らしとのつながりを五感で味わう滞在型Farm to Tableプログラムを造成している。社会人、企業、個人を対象としているが、現在は集客や販売方法が課題であるという。

徳島県のにし阿波~剣山・吉野川観光圏協議会(美馬市・つるぎ町・三好市・東みよし町)は、「世界農業遺産認定『にし阿波の傾斜地農耕システム』食と伝統文化満喫プレミアムツアー」を実施。在来雑穀や郷土料理、地域の暮らしや歴史を五感で体感するとともに、地域住民との交流を通じて、日本の食文化の魅力を味わうインバウンド富裕層向けの高付加価値ガストロノミーツーリズムを展開する。

学びのプラン部門

北海道美瑛町のびえい農泊DX推進協議会は、「『このまちでしたい100のこと』美瑛・探究プログラム」を進めている。100枚のカードを活用した対話型プログラムを通じて、地域資源や課題への理解を深める体験型ツアーを実施し、地域住民との交流や農泊体験、ディスカッションを通じて、持続可能な地域づくりを学び、課題解決への行動につなげる。

三重県大紀町の大紀町地域活性化協議会は、「未来へつなぐ『自然と共に生きる日本の精神文化』~1300年続く式年遷宮から学ぶ伝統継承の旅~」として、伊勢神宮別宮・瀧原宮の門前町で、式年遷宮を支える食文化や一次産業、自然との共生を地域住民との交流を通じて学ぶ滞在型プログラムを造成している。

大分県臼杵市のくらたび臼杵は、「記憶を受け継ぐ臼杵 ― 農泊で学ぶ、祈り・暮らし・地域の未来 ―」を推進。国宝臼杵石仏や農泊家庭での交流を通じて、祈りや食、暮らしに受け継がれる地域文化を学び、地域資源を未来へ継承する意義を考える滞在型プログラムを提供する。

優良事例を全国の地域に横展開

観光庁観光地域振興部観光資源課長の矢吹周平氏は、審査総評として、インバウンドの地方部への宿泊に課題感もあるものの「一次産業、食文化、伝統工芸など地域に根付いている価値観を磨けば、他の地域にはない固有の魅力になる」との考えを示し、「このコンテストをきっかけに、地域の魅力を磨き、次の時代に残せるものをつくっていくことを、観光庁としても大事にしていきたい」と続けた。

また、農林水産省都市農村交流課長の吉田健一氏は、「農泊の魅力は、単なる観光地としてのハードウェア(資源)だけでなく、地域全体で温かく旅行者を迎え入れる『人々の熱意や優しさ(ソフトウェア)』にある」としたうえで、今後について「農水省としても、これらの素晴らしい優良事例のノウハウを全国の地域に横展開し、地域を支援し続ける関係人口の創出・拡大に向けて、地域活性化の取り組みを強力に支援していく」と意欲を示した。