ワーケーション誘致の自治体・事例集 (和歌山県)

 ワーケーション誘致の自治体・事例集 (和歌山県)

企業と連携したワーケーション誘致に注力

コロナ禍が起きる前の平成29年からワーケーションに先進的に取り組んできた自治体として、注目されているのが和歌山県です。個人向けのワーケーションも誘致していますが、企業との協働によるワーケーションの誘致に、より力を入れているのが和歌山県の特徴です。

同県が推進しているのは、社員の滞在費用を企業が負担する「出張型ワーケーション」で、単に地域にお金を落としてもらうだけでなく、地域課題の解決への企業社員の貢献を目指しています。関係人口だけでなく、「関係企業」の創出も目的の一つで、ワーケーションを一つの入口として最終的には企業誘致や移住定住につなげたいという意向を持って取り組んでいます。

既に和歌山県は、IT企業を中心に首都に拠点を置く企業のサテライトオフィスを積極的に誘致しています。白浜町、田辺市、和歌山市を中心にセールスフォース、三菱地所、クオリティソフト、トランスコスモスなど20社以上が拠点を設けており、ワーケーションを行うことによって、こうした企業と現地で意見交換を行えることも強みとされています。

庁内で横断的に連携し、オーダーメイドのプログラムを提案

これまでの実績ですが、平成29年度から令和元年度までの3年間で、104社910名が和歌山県で出張型ワーケーションを実施しています。

新規プロダクト開発のための合宿や、地域の事業者との意見交換、地域課題についての議論をメインとした滞在など、企業によって求められるプログラムはさまざまです。受け入れる和歌山県側では特にパッケージ化せず、企業の目的に合わせ、オーダーメイドで考えたプログラムを提案しています。

県庁内でワーケーション誘致を担当しているのは企画部の情報政策課ですが、プログラム造成を始め、実際に取り組みを行うには観光、企業誘致、移住定住などさまざまな部署との横断的な連携が必要です。和歌山県では、知事がワーケーション誘致に熱心であり、「庁内一体となって取り組むように」という指示が出されていることから、庁内のコミュニケーションは比較的スムーズに行われています。

ワンストップで情報入手できるサイトを開設

令和2年度には、和歌山県の企画部情報政策課により、ワーケーション関連情報をワンストップで提供するサイト「Wakayama Workation Networks(ワカヤマ ワーケーション ネットワークス)」が開設されました。ここから、ワークプレイスやワーケーションに適した宿泊施設、アクティビティなど、約90社のサービスを検索できます。

知りたい情報を一ヶ所に集約することで、利用者の利便性を高めるとともに、こうしたサイトを設置することは、ワーケーションに興味のある企業や個人に対するPRの手段としても有効と言えます。

https://wave.pref.wakayama.lg.jp/020400/workation/networks.html

※2020年8月31日 JTB総合研究所と日本国際観光学会ワーケーション研究部会共催「ワーケーション・オンライン・シンポジウム2020」の和歌山県によるプレゼンテーションをもとに構成

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