ワーケーションには大きく分けると、利用する側と受け入れ側がいます。利用する側は利用者とワーケーション制度を導入する企業、受け入れ側は地域の自治体やDMO、宿泊施設などのサービス提供者がおり、ワーケーションに関する政策を推進する国の各官庁の存在も重要です。5分野からなるワーケーションの各プレイヤーの特徴について解説します。
ワーケーションに関わるプレイヤーは大きく分けて以下の5分野に分かれます。
- 推進したい =国(内閣府/観光庁/厚労省/環境省/農水省など)
- 誘致したい =自治体/観光地域づくり法人(DMO)など
- サービス提供したい =宿泊施設/ワーキングスペースや飲食店などの関連サービス事業者など
- 制度導入したい =企業/団体/組織など
- 利用したい =利用者(会社勤め/フリーランス)
それぞれの関係を簡単に図式化するとこのようになります。

1と2はワーケーションを実施する人や企業を受け入れる側、4と5はワーケーションを利用する側です。1は、この双方に対してさまざまな支援や促進施策を行い、側面からサポートする役割を果たします。
それぞれのプレイヤーの特徴について、詳しく見ていきましょう。
国(内閣府/厚労省/環境省/観光庁など)
2020年7月に菅官房長官(当時)が普及促進に意欲を見せるなど、政府もワーケーションに前向きな姿勢を見せており、各省庁がさまざまな角度から促進策を実施しています。例えば環境省は令和2年度に国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進事業費の間接補助事業の公募を行い、501件を採択しています。
https://www.env.go.jp/press/108231.html
誘致サイド(自治体/DMOなど)
働きながら休暇を楽しむワーケーションの受け入れには、地域における「面」としての体制整備が重要です。そのために自治体がワーケーションに取り組む事業者に対して助成を行うケースも増えています。
2019年11月、利用者誘致に積極的に取り組む地域同士が連携するワーケーション自治体協議会(WAJ)が設立されました。会員自治体は9月15日時点で104(1道11県92市町村)と増加中です。
https://www.facebook.com/103408371300327/posts/104491054525392/
サービス提供者(ホテル・旅館・関連サービスなど)
ワーケーションの受け入れには宿泊施設や快適に仕事ができる環境、余暇を楽しむ場など、通常の観光以上に多様なプレイヤーが関わります。ワーケーションを核としたサービス提供者の地域内連携も各地で生まれてきています。
例えば軽井沢町では平成30年4月に軽井沢リゾートテレワーク協会が設立され、宿泊施設やコワーキングスペースなどの16の施設が参加しています。
https://karuizawa-work.jp/
制度導入企業
従業員がワーケーションを実践するための環境整備として、就業規則の変更や整備などが必要です。例えば目的地までの移動の途中で事故にあった場合の労災規定、保険の問題などがありますが、既にテレワークを導入している場合、それほど大きな変更は必要ない場合が多いです。
利用者(会社勤め/フリーランス)
働き方で分けると、会社に勤めている人とフリーランスの2種類に大きく分かれます。フリーランスは自分の裁量で休暇を取れますが、会社勤めの場合は当然ながら、勤務先企業の就業制度によってワーケーションのしやすさは大きく左右されます。
このほか家族、単身、カップル、小グループなど利用形態もいくつかのパターンが考えられます。例えば小さな子ども連れなら託児所が宿泊先のそばにあると便利など、利用形態によって滞在先の選び方も異なってくると言えます。