ポルトガル政府観光局は、2026年9月末に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2026」で単独ブースを出展し、旅行業界および一般消費者にその魅力を発信した。単独ブースでの出展は今回が初めて。2025年の大阪・関西万博のポルトガル・パビリオンでも日本人旅行者誘致に向けたアピールを積極的に展開するなど、日本市場での取り組みを強化している。その現状と今後の訴求していくポイントをポルトガル政府観光局局長代理のクラウディア・マティアス氏に聞いた。
ツーリズムEXPOに18社・3地方観光局が結集
ポルトガル政府観光局は2019年に日本での活動を再開して以来、ロードショーの開催やポルトガルからミシュランシェフを招いた食文化イベントなど、認知度向上に向けた取り組みを継続してきた。
今回の「ツーリズムEXPOジャパン2026」への単独出展は、同局の日本市場拡大に向けた本気度を示すものだ。ブースには現地ホテルやDMC(地元の旅行手配会社)など18社のサプライヤーに加え、3つの地方観光局が参加。B2BおよびB2Cの双方に向けて、ポルトガルの多彩な魅力をアピールした。
マティアス氏は「ロードショーを通じて現地パートナーと日本の業界関係者との関係構築に注力してきたが、今年は、ツーリズムEXPOへの大規模な出展によって、認知度をさらに一段上のレベルへ引き上げることが重要だと考えた」と話す。
2026年前半の日本人客は5%増、直行便開設にも意欲
ポルトガル国家統計局(INE)の発表によると、2025年に同国を訪れた外国人旅行者数は前年比3.3%増の約2990万人と好調に推移した。そのなかで、日本人旅行者の成長は特に顕著だ。宿泊者数は前年比23%増の約9万4600人(国際市場27位)、延べ宿泊数は同19.1%増の18万7600泊、観光収入は同20.7%増の5240万ユーロに達した。
2026年に入り、中東情勢の影響を受けつつもマイナスには転じておらず、2026年前半の日本人旅行者数は前年比5%増を記録している。
現在、日本からの直行便はないものの、アクセス環境は極めて良好だ。日本発のシェアを見ると、東京発が75.0%、大阪発が19.1%を占める。利用航空会社はターキッシュ エアラインズ(シェア14.4%)が最多で、ルフトハンザ ドイツ航空(13.4%)、エミレーツ航空(10.7%)、TAPポルトガル航空(7.2%)、エールフランス航空(6.4%)と続く。特にイスタンブールからリスボンとポルトの両都市に就航しているターキッシュ エアラインズは、日本からの周遊ルートが組み立てやすいことから利用頻度が高いという。さらに、マドリード経由やソウル発の直行便など選択肢は多彩だ。
一方、マティアス氏は「将来的には日本とポルトガルを結ぶ直行便の開設を目指し、ポルトガル大使館や関係機関と連携した働きかけを継続していく」と意欲を示した。
地域への送客と「本物の体験」、通年観光に向けた新たな提案
日本人観光客の訪問先は、現在リスボンと北部ノルテ地方に集中している。観光局では今後、リスボン以外の地域への送客(分散化)と、年間を通じた需要平準化(通年観光)を重要なテーマに掲げる。
その鍵とするのが、単なるラグジュアリーにとどまらない「本物の体験」の訴求だ。マティアス氏は特に、ポルトワインだけでなく、何世代にもわたり家族で受け継がれてきた各地の歴史あるワイナリーに滞在するプログラムを提案。また、観光に地域社会との交流を組み込むことで、地域経済に貢献する持続可能なツーリズムの展開もポルトガルにとって重要なテーマと位置付けた。
また、マティアス氏は近年の欧州における夏季の気候変化についても言及した。スペインやフランス南部は今夏、極端な熱波によって観光にも影響が出たとの報道があるが、「ポルトガルは大西洋に面しているため、比較的その影響を受けにくい強みを持つ」と話す。それでも、観光局では、修道院、歴史ある図書館、教会、美術館・ギャラリーといった屋内の文化コンテンツを組み合わせた「涼しい滞在スタイル」を提案し、暑い時期であっても快適に過ごせる観光をアピールしているという。
日本の旅行会社は価値あるパートナー
観光局では、日本市場における旅行会社の役割を極めて重視している。マティアス氏は「日本の旅行会社は最も価値あるパートナーであり、彼らの協力なしに市場の拡大はない」と強調する。
旅行会社との共同キャンペーンは、昨年の2社から2026年下期には3社へ拡大。大手旅行会社を中心に資金・プロモーション面でのサポートを強化している。さらに、旅行会社の担当者に現地を直接体験してもらうファムトリップの企画・推進にも注力しており、ポルトガルの深い魅力を理解した上での商品化や販売促進をバックアップしていく構えだ。



