内戦終結後のシリアに、ホテルや不動産企業が進出計画、航空路線拡大も、観光は復興の目玉になるか?

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写真:ロイター通信

複数の不動産開発企業やホテルグループが、シリアへの進出や事業拡大を進めようとしている。歴史遺産が豊富で地中海に面していることから、海外からの観光客に加え、長年海外に暮らしてきたシリア人の需要も取り込めると期待している。

都市や考古学的遺産に壊滅的な被害をもたらしたシリアの内戦は、約2年前に終結。米国は2026年8月、投資家の参入を阻んでいたテロ支援国家指定リストからシリアを除外した。しかし、米国務省は、シリアでは今も暴力事件が散発することから、米国民に対して同国に渡航しないよう勧告している。日本政府も同様に危険情報レベル4で退避勧告を継続している。

それでも、2025年から国際線が再開し、世界から観光客が戻り始めた。シリア国営通信SANAが報じた政府データによると、2026年上半期の観光客数は前年同期比で2倍以上に増加し、352万人に達した。そのうち、213万人が海外在住のシリア人、約66万人がアラブ諸国から、約72万人がその他の国々からの渡航者だった。

シリアへの投資を検討しているなかには、フランス大手のアコーなどのグローバルホテルチェーンや、アラブ首長国連邦(UAE)のイーグル・ヒルズなど中東地域の企業も含まれている。

元アルカイダ系組織指導者のシリアのシャラア暫定大統領は、欧米との関係改善に加えて、湾岸諸国など国外から復興資金数十億ドルを呼び込む取り組みを進めてきた。

イーグル・ヒルズはダマスカスで1000万平方メートル、沿岸部のラタキアで430万平方メートル規模の開発を計画している。10月5日には両プロジェクトに関する基本合意書をシリア側と締結した。財務計画の詳細は公表されていない。

また、UAEの開発会社アラダも、70億ドル(約1.1兆円)規模のプロジェクトでシリアに進出する計画を明らかにしている。

課題はあるものの大きな潜在性

シリアへは、カタール航空やフライドバイなどが湾岸ハブ空港からの路線を開設し、アクセスが改善されつつある。エティハド航空は10月7日、ダマスカス便を週4便から週7便に増やし、毎日運航すると発表した。こうした背景から、欧米企業も積極的に事業機会を検討していると言われている。

アコーの中東・アフリカ・アジア太平洋地域CEOのダンカン・オルーク氏は、ロイター通信に対して、同社が2件のプロジェクトについて詰めの交渉を行っていると明かした。また、米国のウィンダム・ホテルズ&リゾーツもダマスカスやビーチリゾート地で下調べを進めている。ウィンダムのディミトリス・マニキス欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当社長はロイター通信に「間もなくシリアでの最初の契約締結を発表できると確信している」と語った。

国際的ホテルグループ、マイナー・ホテルズのアミール・ゴルバーグ中東・アフリカ地域担当最高執行責任者(COO)は、ダマスカス旧市街にある一部の歴史的建造物をブティックホテルに改修するほか、一からプロジェクトを立ち上げることも可能だと説明。「歴史や文明の十字路としての魅力を考えれば、私にとってシリアは真に大きな潜在力を秘めた国の一つだ」と明かした。

しかし、観光振興に向けては課題も多い。ビザとマスターカードは9月、シリアで事業を開始すると発表したが、電子決済は今のところ外国の銀行が発行した一部のカードに限定されており、特定の場所でしか利用できない。

また、インフラの再建や近代化という課題にも直面している。世界銀行は2025年、シリアの復興費用は最も低く見積もって2160億ドル(約34兆円)にのぼると発表した。これには住宅建築の750億ドル(約11.9兆円)や、非住宅構造物建設の590億ドル(約9.3兆円)などが含まれる。

※ドル円換算は1ドル158円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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