英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナルは、「世界の消費者トレンド2027」を発表した。世界的な不確実性が高まるなか、消費者はブランドへの信頼や透明性、人とのつながり、自ら選択することを重視する傾向が強まっている。生成AIの利用が拡大する一方、購買に関する情報源としての信頼は限定的で、最終的な判断は自分自身で行いたいという意識がみられる。
同レポートは、同社の市場調査プラットフォーム「Passport」のデータや世界の消費者調査などをもとに、2027年の消費行動に影響する5つのトレンドを予測したもの。主要調査の一つである「Lifestyles Consumer Survey」は、世界40市場の消費者4万225人を対象としている。
予測したトレンドの一つが「躊躇と依存のあいだ(Reluctant Reliance)」だ。AI経由のECサイトへの流入は、2025年1月から2026年7月までに376%増加。消費者の81%が日常生活をサポートするために生成AIを利用している一方、買い物に関する情報源として生成AIを「非常に信頼できる」と回答した割合は19%にとどまった。
ユーロモニターは、消費者がAIに求めているのは、判断を任せることではなく、情報収集や比較などを通じて自分自身の意思決定を支援してもらうことだと分析している。
ブランドの信頼性、クチコミやコミュニティの影響力が拡大
2つ目は「安定の選択肢(Shelf Assured)」。物価上昇や社会的な混乱が続くなか、安定した品質や価格、継続的な商品供給など、ブランドの信頼性が購買を左右する要素になっている。
調査では、消費者の54%が「完全に信頼できるブランドからしか購入しない」と回答。また、56%が商品やサービスを購入する前に徹底的に調査している。一度信頼できる商品を見つけた後は、比較検討に繰り返し時間を費やしたくないという意識もみられる。
3つ目の「つながりの新しい形(Peer Powered)」では、友人や家族、価値観の近いコミュニティが購買に与える影響力に着目した。
消費者の72%が商品購入の際に友人や家族からの推薦を信頼すると回答し、広告への信頼度46%を大きく上回った。既存の組織への信頼が揺らぎ、オンライン上でも情報の信頼性を判断しにくくなるなか、身近な人々やコミュニティへの信頼が強まっているという。
ウェルネス消費は2027年に2.8兆ドルへ
4つ目は「メリハリ消費(Mode-Switching)」。成果の追求と休息、自分へのご褒美を使い分ける消費行動だ。
調査では、42%が他人から充実した生活を送っていると思われることを気にしており、同じく42%が常に何かを達成しなければならないというプレッシャーを感じていることが明らかになった。
こうした心理的な負担を背景に、心身の充実や休息を重視する意識が高まっている。ユーロモニターは、2027年の世界のウェルネス関連商品・サービスへの支出が2.8兆ドルに達すると予測している。
5つ目の「未来への緊張(Future Tense)」は、将来の不確実性に対する消費者の慎重な姿勢を示すもの。予期せぬ出費に備えてすぐに使える資金を持つ消費者は26%にとどまり、38%が今後5年以内に世界はさらに危うくなると考えている。
こうした状況から、将来実現するか分からない価値よりも、今すぐ得られる具体的なメリットや成果を重視する傾向が強まっているという。
ユーロモニターのイノベーション部門責任者であるアリ・アンガス氏は、消費者が求めているのは単なる商品やサービスではなく、安心して選べるという確信だと指摘。ブランドやAIへの信頼、コミュニティへの帰属意識、生活のバランスなどを通じて、自らコントロールできると感じられる選択肢が重視されていると説明した。
また、日本市場について、同社東京オフィスのリサーチマネジャー、ショーン・クライドラー氏は、消費者が慎重な姿勢を強める一方で、消費意欲を失ったわけではないと分析。信頼できるブランドへの支持が強まるとともに、将来への不安から、今のささやかな楽しみへの支出を正当化する傾向がみられると指摘した。
さらに、限定商品やゲーム要素を取り入れた体験などの目新しさを求める消費や、日常のストレスを和らげるための自分へのご褒美としての消費も広がっているという。





