国内観光産業の売上高は90.6兆円、地域経済への影響が大きいのは「宿泊事業」で51.7% ―観光庁・観光地域経済調査

観光庁が7月17日付けで発表した「観光地域経済調査」結果によると、全国の観光地域5861エリアにおける観光関連事業所(観光産業事業所)は104.3万件で、その従業員は845万5千人、売上高は90.6兆円だった。


観光客による売上の比率(観光割合)は業種に応じて大きく異なる

観光客による売上高(観光売上)は15.2兆円で、主な事業の売上のうち観光客に対する売上高が占める割合(観光割合)は17.5%。観光割合が5割以上を占める事業所は全体の9.5%となった。

業種別に観光割合をみると、「旅行業、その他の予約サービス」が81.1%で最も多く、次いで「宿泊サービス」(63.8%)、「旅客輸送サービス」(34.0%)、「スポーツ・娯楽サービス」(29.5%)など。業種によって傾向に大きな差がある結果となっている。

主な事業の「観光売上」「観光割合」の構成は以下のとおり。

観光庁:報道資料より

コストの5割が「仕入れ・材料費」「外注費」、地域経済への影響が大きいのは「宿泊事業」

法人経営による事業所の収支をみると、売上高が合計81.1兆円で費用総額が76.2兆円。コスト面では「仕入・材料費」「外注費」が合計約38兆円で、コスト全体の49.9%を占める。その支払先の内訳は、「事業所が位置する市区町村内」が19.4%、「都道府県内」が37.0%、「ほかの都道府県」が38.3%となった。

特に主な事業を「宿泊事業」とする事業所では市区町村内への支払い比率が51.7%と比較的多く、さらに観光割合も高いことから地域経済への影響力が強いと分析されている。


観光客に対する売上比率(観光割合)が高い事業所は、売上高の月次変動が比較的大きい

主な事業による月別売上高の遷移をみると、観光割合が5割を占める事業所は、調査対象となった事業所全体と比較して変動が大きいことが判明。1月を「1.00」とした指数表現をとった場合、売上高がもっとも少ないのは4月の0.80、もっとも多いのは8月の1.38となっている。月別の売上高遷移は以下のとおり。

観光庁:報道資料より

この調査は、観光による地域産業への経済効果や、観光関連の事業所の実態を明らかにするために実施されたもの。調査時期は2011年1月から12月。全国の観光地域において、飲食・宿泊・小売りなどに従事する観光産業事業所に対して実施されたもので、「観光産業事業所」の定義は、UNWTO(世界観光機関)が「観光統計に関する国際勧告2008(IRTS 2008; International Recommendations for Tourism Statistics 2008)」に基づく。

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