日本のタビナカ販売に新プレイヤー、オランダ発チケット専門「Tiqets」が日本参入、 その戦略を聞いてきた

世界から日本への旅行熱が続くなか、海外からまた新たなプレーヤーが日本に登場する。オランダのTiqets(チケッツ)が日本に進出。チケッツは文化施設やアトラクションの販売に特化したグローバルプラットフォームで、パリのルーブル美術館をはじめ、世界41カ国、1800以上の施設のチケットを「Tiqets.com」で取り扱い。日本進出ですでに東京国立近代美術館など50以上の施設と契約を締結したほか、2019年末までに100以上に拡大し、東京オリンピック・パラリンピック開催をはじめとする訪日旅行者の観光需要に対応する考えだ。このほど開催された同社の説明会に参加して、取り組みや日本での展望を聞いてきた。

創業5年で800万人送客

チケッツは2014年にオランダ・アムステルダムで創業したスタートアップ企業。世界でOTAが席巻する中、その特徴は、観光施設のチケットをオンライン販売に特化するとともに、従来の紙によるバウチャーを見せて入場する待ち時間を省き、スマートフォンをはじめとするモバイルで予約・入場するシステムを確立したことだ。システムはシンプルで、施設を検索し予約するまで数分。旅行者にとって、計画段階はもちろん、タビナカで行きたくなった美術館やアトラクションをスマホで探して即時予約、そのままスマホの画面をチケットとして利用する仕組みである。

CEOのエルジンガ氏

創立者であるCEOのルーク・エルジンガ氏は、「観光客はなぜ、印刷してきたチケットを手に長蛇の列を耐え、入場を待たなければならないのか。モバイルチケットを開発すれば、もっと世界の文化が身近になると考えた」と語る。背景には、エルジンガ氏の出身であるオランダが、画家ゴッホをはじめ多数の芸術家を輩出し、全土で700近くに及ぶ美術館・博物館が存在する文化的素地がある。そのプラットフォームは旅行者の支持を獲得し、創業5年足らずで送客実績は800万人を超えた。5名で始めたスタッフは世界各国150名にまで拡大している。

チケットプロセスを簡略化

欧米を中心に勢力を強める彼らが、新たな市場として着目したのが日本。

「2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控える日本は、さらに外国人観光客であふれかえる。その際に、ストレスなくさまざまな文化体験を提供できる環境が必要だ」(エルジンガ氏)。2018年9月から準備を始め、チケッツ インターナショナル日本支店を設立。Tiqets.comに日本語版を導入するとともに、東京、大阪にオフィスを構え、日本における施設との提携を進めている。

日本支店代表の荒木篤実氏は、日本におけるタビナカ現地ツアー予約のパイオニア、ベルトラの創業者。「チケットという狭いジャンルといわれるかもしれないが、なぜ紙でわざわざ印刷しなければならないのか、当日予約ができないのか。私自身、これまで不思議に感じていた課題に共感した。チケットプロセスを簡略化できるプラットフォームを、これまで海外と取引がなかった日本の施設に進めていきたい」と話す。チケッツの技術をベルトラのプラットフォームで使用する3年契約を締結。海外へのアプローチと並行して、日本での浸透もねらう。

マリオットやグーグルなどBtoBパートナー1000社と提携

日本支店代表の荒木氏

チケッツが急速に発展した理由のひとつが、BtoCだけでなく、BtoBマーケットへの仕掛けだ。世界1000社を超える大手ホテルチェーンやOTAとパートナー契約を積極化していることである。

たとえば、マリオットホテルグループの会員プログラムであるBonvoy(ボンベイ)が会員特典として大きく打ち出すアクティビティは、すべてチケッツのウェブサイトとAPI接続でシステム連携。そのほか、グーグル、WeChat(ウィーチャット・微信)など、各分野のパートナー会社を持つ。WeChat内では、アプリ内で使用されているQRコード決済サービスを導入するなど、市場に応じてさまざまな支払方法を導入している。

同社では、2020年オリンピックに向けて、日本のタビナカを世界に売り込む方針だ。

取材・記事 野間麻衣子

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