ヤフートラベルの宿泊予約の手数料無料化、その狙いをヤフーに聞く

Yahoo!トラベルの新戦略(1)

「Tポイント」と「集客力」が武器


 

ヤフーは、「Yahoo!トラベル」で、これまでのアグリゲート・モデル(利用者の仲介による手数料ビジネス)に加えて、新たに国内宿泊施設との直接契約による予約サービスを始める。すでに第3種旅行業も取得。先行他社との差別化を図りながら、インターネット宿泊予約事業に打って出る。圧倒的な人が集まる巨人検索エンジンが自前のコンテンツを持つことの意義はどこにあるのか。その新戦略を探った。今回と次回の2回にわたって紹介する。

▼画期的なシステム利用料の無料化

「やらない理由ない」、宿泊施設の手応えは好感触

ヤフーは2014年2月下旬、宿泊施設との直接契約によるビジネスモデルで、新たにインターネット宿泊予約事業に乗り出すと発表した。「国内宿泊予約にも革命を!」というふれこみで、宿泊施設からのシステム利用料(成約手数料)を無料にするという画期的なサービスを提供していく。Yahoo!トラベルで新しいビジネスモデルを始める背景について、ショッピングカンパニー予約事業本部本部長の齋藤克也氏は「ベースはYahoo!JAPANでの『eコマース革命』にある。その考えをもとに、トラベルでも予約革命を狙う」と明かす。

ヤフーでは昨年10月、「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク」のストア出店料を無料化にする『eコマース革命』を始めた。また、インターネット予約の分野でも「Yahoo!予約」を開始。第1弾としてサービス利用料などを無料化した飲食店予約サービスを打ち出した。Yahoo!トラベルでの予約革命は、それに続くものだ。


ショッピングカンパニー予約事業本部本部長の齋藤克也氏

「インターネットは無料で使える世界。Yahoo!トラベルとしても、無料で利用できる世界を実現していく」と齋藤氏。システム利用料を無料にすることで、より多くの宿泊施設にビジネスチャンスを提供し、ユーザーに対してはこれまで以上に宿泊施設の選択肢を増やしていくWin-Winの関係を構築していきたい考えだ。

新装「Yahoo!トラベル」のリリースは今年夏ごろ。すでに掲載の申込登録も始めている。「やらない理由はないという宿泊施設が多く、手応えは非常にいい」(齋藤氏)という状況。現在提供している他社のプランでは掲載されていない宿泊施設からの申込みも増えているという。

宿泊業の資格を持っている施設が対象で、決済など社内審査もあるが、システム利用料無料化でハードルは随分と下がった。「Yahoo!ショッピング」で出店料を無料にしたことで、出店者数が2万軒から9万軒(申込みベース)まで増えたことを考えると、リリースまでにどれだけの宿泊施設が「Yahoo!トラベル」に参加することになるのか、目が離せないところだ。


▼会員数4500万人超の「Tポイント」で差別化、圧倒的な集客力も強みに

最低価格保証は導入せず、宿泊施設の負担軽減

Tポイント紹介サイトのキャプチャー

先行する競合他社が多いなかで、「厳しい戦いに挑んでいくことになる」(齋藤氏)。そのなかで、Yahoo!トラベルが大きなメリットとして打ち出しているのがTポイントの付与だ。カルチュア・コンビニエンス・クラブが発行するTポイントの会員数は約4600万人超、日本全国での加盟店舗は6万件を超えている。ヤフーは、2012年に自社のポイントプログラムをTポイントに統合し、消費者の利便性向上とリーチを高めてきた。

宿泊施設は、利用者に対して付与するポイントを最低5%から最大14%まで設定することが可能だが、ポイント付与分の原資や、ポイント手数料として0.3%の負担が必要になる。しかし、システム利用料、初期費用、年・月額固定費が無料であり、一般的な予約手数料が8〜12%であることを考えれば、施設サイドにとって魅力的な条件だろう。

現在、Tポイントと連携している宿泊施設はあまり多くない。齋藤氏は「ユーザーにとっては、Yahoo!トラベルで予約をすればTポイントが貯まるというメリットがあり、一方、施設側もYahoo!トラベルに参加すれば、Tポイントを誘導として予約を取りやすい。そういった環境をつくっていきたい」と話す。


現在の「Yahoo!トラベル」サイト

グローバル予約サイトが実施している最低価格保証については、検討はしたものの導入しないことになった。これは、サイトコントローラー(複数サイトの予約状況を一元把握するシステム)のなかで価格を管理していくうえでは施設側にもオペレーションの負荷がかかり、何らかの縛りを設けることで抵抗感も生まれることが予想されることからだという。それよりも、Tポイントの特典の方が双方に恩恵をもたらすとの考えだ。

新しい仕組みや仕掛けで、Yahoo!トラベルを展開していくが、最大のアドバンテージは、やはりYahoo!JAPANという巨大な検索エンジンの存在だろう。集客力は圧倒的。その月間総ページビューは614億にものぼる。現在のYahoo!トラベルでの予約数も多く、ゼロから構築するのではなく、すでにしっかりとしたベースがあるのも強みだ。


  • 文:トラベル・ジャーナリスト 山田友樹
  • 編集:トラベルボイス編集部

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