深度100mの「海中旅行」プロジェクトが本格始動、JTBとANAセールも参画、手頃な価格で2021年の開始へ

報道資料より

海中旅行の実現を目指すオーシャンスパイラルは、総額約12億円に及ぶ事業内容を発表した。これは、母船となるカタマラン船とアクリル製の潜水球体装置を組み合わせた「海中バルーン(Sea Balloon)」で手頃な値段で誰でも気軽に楽しめる海中旅行を提供するプロジェクト。オーシャンスパイラルは2016年11月に設立され、これまで事業の実現可能性の検証を行ってきた。事業の実現と拡大に向けてJTBおよびANAセールスを含めたパートナー企業と「チーム・オーシャン」も立ち上げた。今後、海中バルーン初号機の導入地域とオーナーシップを決定した後、2021年4月のサービス開始を目指す。

オーシャンスパイラル社長の米澤徹哉氏は記者会見で、海中バルーンを「海上と海中を同時に楽しめる世界初の乗り物」と紹介。旅行者の価値は、モノやコトからオリジナリティや体感を求める経験にシフトしているとしたうえで、「従来の海洋アクティビティの延長として、海中には膨大なマーケットが広がっている」との認識を示し、海中バルーンによる新しい旅行マーケットの創造に意欲を示した。海中バルーンの設置場所については、日本をはじめ世界のダイビングスポットで展開していく考えだ。

海中バルーンはアメリカのトリントン・サブマリーンズが設計製造。サブマーシブル(潜水装置)では世界トップのメーカーでこれまでに数々の海中資源探査やNHKのドキュメンター番組でも使用されてきた。同社アドバイザーのマイケル・ヘイレイ氏は「安全性とアクリル球体の透明性が最大の特徴」と話し、自社の技術に自信を示した。潜水装置の大きさは、球体内径2.5m、高さ1.87m、床部面積3.68㎡。最大乗員数は5名で、最大100mの深さまで潜水することが可能。ヘイレイ氏によると、不測の事態でも4日間は球体の中で過ごせる装備を整えているという。

海中バルーンの開発製造では、現在テクニカル設計Aが完了し、CADデータを元に2Dから3Dの模型化を実現。今回、1/30の模型が初公開された。今後はテクニカル設計Bとして最終工程となる図面設計を行った後、今年9月から製造を開始。12月の初号機完成を目指す。

1/30模型を初公開。カタマランの下にぶらがっているのが潜水球体装置

海中バルーンはオーナーシップ制、フランチャイズによる委託で運用

米澤氏はビジネスモデルについても説明。「海中旅行を普及させる安定した収益モデルを構築している」と自信を示した。オーシャンスパイラルは事業全体をまとめるプラットフォームとして機能する。まず、海中バルーンを投資商品化しオーナーを募る。オーナーから調達した資金を元手にトリトン・サブマリーンズが海中バルーンを製造。完成した海中バルーンの運用はフランチャイズシステムによって導入先のオペレーターに委託し、その売上からオーナーには収益を分配する。米澤氏によると、海中バルーンの量産よってコストダウンを図っていく考え。すでに多くの問い合わせを受けているという。

海中バルーンのビジネスモデル(報道資料より)

誰でも気軽に体験できる海中旅行を謳うが、米澤氏は「金額設定については悩んでいるところ」。そのうえで、「ダイビングと同程度の料金を考えているものの、海外展開を視野に入れているため、それぞれ導入先と相談していく必要がある」との見解にとどめた。

「チーム・オーシャン」のパートナー企業として、トリトン・サブマリーンズ、大和ハウスグループのモノコンセプションプロダクツおよびデザインアーク、デルタプラスに加えて、新たにJTBとANAセールスが加わった。両社とオーシャンスパイラルは、海中バルーンの商品開発やプロモーションでの検討を共同で実施していく。

JTB経営戦略本部副本部長の大山恵一氏は、交流創造事業のもと地球を舞台に感動と喜び提供する同社の方針を紹介したうえで、「このプロジェクトが未開拓の海中であること、そして社会的意義があることを評価して参画を決めた」と説明した。また、ANAセールス経営企画部長兼CS推進室長の本宮重人氏は、「新たに立ち上げたANA Travelers のブランドコンセプトにも合致し、お客様の期待を超えるコンテンツになる」と話し、旅行会社として最大限活用していく考えを示した。

「チーム・オーシャン」として事業を推進していく

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