世界の国際旅行者数、2026年は過去最多の15.7億人へ、長距離旅行は減少、価格重視が鮮明に、2032年には22億人と予測 ―WTMレポート

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旅行見本市WTMロンドン(WTM London)で発表された「WTMグローバル・トラベル・レポート2026」によると、世界の旅行業界は、厳しい環境が続く中でも高い回復力を示しており、2026年は旅行者数と消費額の両面で過去最高を記録する見通しだ。同レポートは、WTMロンドンとツーリズム・エコノミクス(Tourism Economics)が共同で発表したもの。

WTMロンドンのイベントディレクター、クリス・カーター=チャップマン氏は、185か国以上を対象とする同レポートの主要な知見が、今年のカンファレンステーマ「回復力、再成長、変革:世界の旅行の次なる時代」にも反映されており、新たな課題に対応するための議論につながると位置付けた。

レポートによると、2026年の世界の宿泊を伴う国際旅行者数は前年比2%増の15億7000万人に達し、過去最多を更新する見込み。また、これらの国際旅行者による消費額は前年比6%増の1兆8000億ドル(約284兆円)に達すると予測した。さらに、国内・国際を合わせた総宿泊数(延べ宿泊数)は242億泊にのぼり、合計の消費額は前年比9%増の7兆8000億ドル(約1232兆円)に達する見通しだ。

一方で、2026年の国際旅行者数の成長率は2%にとどまり、2025年の6%から鈍化。イランをめぐる紛争、航空燃料価格の高騰、生活費の上昇が需要の重石となっており、現在の相対的な活況は主に国内旅行や近距離旅行に支えられていると分析している。

ツーリズム・エコノミクスの欧州・中東・アフリカ地域担当マネージングディレクター、デイブ・グッジャー氏は、旅行者が近距離の旅先を選び、重視する体験に支出を集中させるなど旅行の仕方を調整する一方、レジャー旅行は引き続き家計の優先事項となっていると指摘した。

近距離旅行と長距離旅行

中東地域では、2026年の国際旅行者数は前年比40%減少する見通しだが、イランをめぐる紛争が終結すれば、2027年には前年比43%の急回復を遂げると予測されている。

イラン紛争は、主に長距離旅行の需要を押し下げている。世界全体で地域間移動(長距離移動)が前年比3%減少する一方、近距離旅行(特に欧州やサハラ以南のアフリカで顕著)は前年比3%増となる見込み。こうした需要のシフトによって、アフリカ(8%増)、オセアニア(8%増)、欧州(5%増)では、国際旅行者数が大幅に増加する見込みだ。

また、ツーリズム・エコノミクスは、イラン紛争が終息すれば、2027年のアジア太平洋地域の旅行者数は、前年比11%増と大幅な伸びが見込まれるとしている。

一方、北米については、FIFAワールドカップが開催されたにもかかわらず、国際旅行者数は同2%増にとどまり、2019年の水準を6%下回る見通し。その要因として、コストの上昇に加えて米国に対する否定的な感情が需要を押し下げていることを挙げている。ただ、2028年に予定されているロサンゼルス五輪は、明るい材料になると指摘している。

高まる「価値」重視の傾向

多くの国で生活費の問題が懸念されるなか、旅行予算については、ラグジュアリーとコストパフォーマンス重視の二極化が見られるという。ツーリズム・エコノミクスの調査によると、回答者の56%が、節約するところと贅沢するところを組み合わせる(メリハリをつける)ことに意欲を示している。

特に「価値」を重視する傾向が強まっており、2026年には、旅行者の6人に1人が「コストパフォーマンス」を基準に直近の海外旅行先を選択。これは2025年の約11人に1人から増加した。一方、ラグジュアリーな要素を優先して旅行先を選ぶ人の割合は12%で横ばいだった。

今後予想される旅行の傾向は

調査によると、36%の人が旅行予約の完了をAIに任せてもよいと回答しており、53%が旅行先やプランの提案にAIを活用することを検討している。また、58%が価格の検索や比較にAIを利用したいと答えた。その結果から、ツーリズム・エコノミクスは、観光地や旅行関連事業者にとって、AIに見つけてもらえるようにすることが、喫緊の優先事項であると強調している。

また、人気の過ごし方では、37%が日常から離れてリラックスすることと回答(2025年の31%から増加)。「イベント目的の旅行」も、引き続き重要な推進力となっている。

さらに、約3分の2(64%)がアドベンチャー旅行に関心を持っているものの、実際にそのような旅行を経験しているのは5人に1人未満(19%)にとどまっている。

このほか、オフシーズンの旅行も増加傾向にある。調査結果によると、22%がこれまでとは異なる時期の旅行を計画しており、その主な動機としては、気候の涼しさや混雑の回避などのほか、コストパフォーマンスを挙げている。

2027年の見通しは?

2026年に見られた混乱が緩和されれば、2027年には世界全体の国際旅行者数が前年比8%増加し、長距離旅行も前年比11%回復すると予測している。この上昇傾向は今後も続き、年率約6%の成長を経て、2032年には国際旅行者数が22億人に達すると見込んでいる。

その背景として、インドや中国といった成長途上にある海外旅行市場の拡大と、消費者が依然として旅行を優先事項と捉えていることを挙げた。

※ドル円換算は1ドル158円でトラベルボイス編集部が算出

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