外国人旅行者はおみやげをどの店で買っても免税になるのか?

旅行・観光ビジネスで役立つ税知識<第4回>

こんにちは。税理士の菊池美菜です。

今回ご紹介したいのは、外国人旅行者が受けることができる免税制度についてです。訪日外国人が増え続け、2020年には東京オリンピックが行われる日本。訪れる外国人の方にご案内する可能性が高い旅行業界の方は知っておくと役立つことがあるのではないでしょうか。

▼免税の条件

さて、消費税は日本国内で消費されるものが課税の対象になっていますので、海外で消費されるものについては課税しないというのが、国際的な慣行になっています。また、外国人旅行者が自国へ持ち帰るおみやげ等は輸出と同様に考えられます。

そのため、来日した外国人旅行者がみやげ等で日本出国時に持っていくもので輸出物品販売場(いわゆる免税店)で購入したものは、下記の要件を満たす場合は、消費税が免税になります。

  1. 輸出物品購入場(免税店)で購入したものであること。
  2. 日本を出国後、自国への帰国や他の渡航先へのおみやげ等など一定のもの。
  3. 1個あたり1万円を超えるもの(同一の店であれば合計で判定します)。
  4. 旅行者が誓約書を提出し、免税店が保管すること。
  5. 「輸出証明書」を免税店が保管すること。

▼免税店とは?免税される品目は?

それでは、いわゆる「免税店」とはどんなお店に許可が下りるのでしょうか。免税店を開設する際は、免税制度の適用を受けるために、あらかじめ所轄の税務署に「輸出物品販売場許可申請書」を提出して許可を受ける必要があります。許可を受けるための要件は下記です。


  1. 旅行者の利用度が高いと認められる場所にお店を設置していること。
  2. 旅行者向けの特設売場や、販売に必要な人員の配置など旅行者に配慮した設備があること。
  3. 3年以内に滞納がないこと。
  4. 申請者の資力、信用力が充分であること。
  5. その他、不適当と認められる事実がないこと。

免税店は、外国人に販売する時旅行者からパスポートの提示を受けて、「輸出免税物品購入記録票」を張りつけます。

免税店が取り扱うことができる(=免税対象となる)商品は、通常の生活用品です。通常生活の用に供される物品で対価の合計額が1万円を超えるものが対象なので、電化製品など対象になると考えられます。また、不動産はどうでしょう。「土地」はもともと非課税、建物は所在地が日本なので、日本での取引となり課税となります。

一方、飲食料品や医薬品など一定のものは免税の対象になりません。旅行者が受けるサービスは、日本の国内で便益を受けるので消費税がかかります。例えば、電車・バス等の旅客の輸送、飲食・宿泊、劇場や映画の鑑賞などです。


▼購入後の注意

免税店で免税手続きをしてもらった外国人の方は以下のことに注意が必要です。(国税庁のサイトより)

  • 必ず購入した物品を携帯して出国しましょう。
  •  出国前に他人に譲渡してはいけません。
  •  別送する場合には、事前に税関での手続が必要です。
  •  出国の際に携帯していなかったときは、消費税が徴収されます。
  •  出国の際には、「購入した免税物品」と パスポートに貼付した「輸出免税物品購入記録票」を 税関に提示してください。
  • スーツケースなどに入れて「機内預け」とする場合には、航空会社へ預ける前に必ず税関の確認を受けてください

以上、外国人の方の手続きは簡単ですが、購入後の持ち帰りには注意が必要です。日本人の方が海外旅行される際も、同様の国がいくつもありますね。外国人観光客の方への案内にお役立てください。ただし、最新情報は必ず国税庁のサイトなどで確認を忘れないようにしましょう。



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