英国、旅行会社向けの視察旅行を実施、効率的な周遊旅行で

英国政府観光庁による観光見本市Hosted Buyers Marketplace (HBM)に伴って、東京、大阪、名古屋、広島から旅行会社9社10名が参加する視察旅行が行われた。今回は、ロンドン発着ではなく、マンチェスターから入って、リバプール、湖水地方をめぐり、ロンドンに戻るという無駄のない行程。各旅行会社の特性にあわせ、個人から団体までを考慮したホテル視察など細部まで配慮された充実した内容で、観光見本市前の3泊4日の短期間に「英国イングランド北部とロンドン」の文化、歴史、音楽、自然とその魅力を体感できた。(取材・記事:小野アムスデン道子)



▼英国の永遠のアイコン、リバプールとマンチェスターへ

マンチェスターは産業革命の工業都市とサッカー、リバプールは港町とビートルズが連想されるが、2都市とも街並がきれいに整い、文化的な観光要素が豊富なことに驚かされた。

まず、訪れたリバプールはマージ川の港として、2007年に市誕生800年を迎え、ユネスコ世界遺産地区にも指定されている。2008年に欧州文化首都に選ばれたこともあって再開発も進み、歴史ある港町というだけではない魅力のある街並み。かつて栄えた河口の貿易港は、レンガ造りの美しいアルーバート・ドッグになってカフェやショップが並び、ファンにはたまらない博物館のビートルズ・ストーリー、モダンアートに特化したテート・リバプールなどもあってゆっくり楽しめる場所だ。街全体に歩いて回れる規模感も日本人の観光客にはほどよいと好印象だった。


マンチェスターとリバプール間は車または鉄道で約50分。相互に行き来しやすい。マンチェスターは、モダンなナショナル・フットボール・ミュージアムやスタジアムなどサッカーファンにはもちろん、約150年前に建てられて今も図書館として使われるジョン・ライランド図書館、ビクトリアン・ネオゴシックの壮麗な市庁舎など新旧入り混じった魅力が味わえる。空港から約10kmと立ち寄りやすい庭園タットンパークを視察後、湖水地方に向かう。

▼湖水地方は食やウォーキングなどの魅力も

レーベンス・ホール内から庭をのぞむ

湖水地方は、かねてから日本でもピーターラビットの絵本など通して自然の美しさが知られているエリアだ。英国最大のウィンダミア湖を抱え、地ビールやグルメも自慢。そのビールで財を成したブラックウェルが建てたアーツ&クラフツ建築の傑作といわれる屋敷を訪問した。

日本語での観光パンフレットも用意されており、湖水地方の人気がうかがえる。そのほか、1580年に建てられ今も当主が住まうベランジャム家のレーベンス・ホールなど見どころを回る。

宿泊したワイルド・ボアは、ブルワリーを備え、薫製料理でも有名な4ツ星ホテルで、ロマンチックな部屋と料理も高評価だった。この宿の裏手から続くフットパスのウォーキングや湖の遊覧など、自然の魅力を楽しむには、ゆとりをもって滞在をしたいところだ。

▼魅力を放ち続けるロンドンへ

湖水地方のオックセンホルム駅からロンドンはヴァージン・トレインに乗車。車窓の風景も美しく、お茶やスナックのサービスをするワゴンも回ってきて、列車の旅としてかなり楽しめる。3時間弱でロンドンに到着する。

ロンドンでは、唯一の王室御用達(ロイヤルワラント)を持つホテルで、キャサリン妃が挙式前夜に宿泊されたことでも注目を浴びたザ・ゴーリングに宿泊。100年続くファミリー経営で、フレンドリーな雰囲気でありながら完璧ともいえるサービスの質の高さが印象的。午前2時までに出した靴は、翌朝に驚くほどきれいになって、客室の外に置かれていた。

ロンドン市内視察はウェストミンスター・ピアからのテムズ川シティ・クルーズから始まった。これは、ロンドン塔に向かう途中に、ビッグベンやロンドン・アイなどロンドンの名だたる観光スポットに加え、鋭角が目立つザ・シャード(レンゾ・ピアノ設計の超高層ビル)を抱えて開発著しいドックランズからサウスバンクまでを見ることができ、短時間の観光でもロンドンの概要がつかめてよい。

下船してロンドン塔を見学。そしてロンドンの歴史を45万年前か現在にいたるまで辿れ、19世紀の街並の再現が楽しめるロンドン博物館、装飾史はじめ工芸の展示が興味深いヴィクトリア&アルバート博物館などを巡る。英国の国立美術館・博物館は原則入場無料というのにあらためて驚かされる質の高さだ。


▼イスタンブール経由で英国の地方都市へ

効率的な日程で英国周遊が可能に

現在、ロンドンまでの直行便は成田・羽田発に限られる。今回の参加者は日本全国から英国を目指したため、ターキッシュエアラインズを利用。関西国際空港と成田空港から出発し、イスタンブールで合流した。

イスタンブールからは、マンチェスターへの直行便がありそこから各地を回り、ロンドンの観光見本市に参加。帰国は、再度イスタンブール経由だが英国の地方をめぐるルートでは、効率的なエクスカーションが組めるということが実感できる旅だった。


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