日本旅行、役員体制と人材育成の強化でグローバル戦略を加速、ダイバーシティ推進で初の女性役員も誕生

日本旅行は、中期経営計画「VALUE UP 2020」の折返し年にあたり、2019年度の取り組みを説明した。引き続きグローバル戦略とダイバーシティの推進を進めていくほか、中核分野であるインバウンド、地方創生事業、団体、MICE、BTM、教育旅行の取り組みを強化していく。あわせて、新たな役員体制を構築し、人材育成を加速させることで、中期経営計画の目標を達成していく考えだ。

同社社長の堀坂明弘氏はグローバル戦略について、今年1月1日に新たに戦略の策定と推進を担う「グローバル戦略推進本部」を設置したと説明。本部長は堀坂社長が兼務し、副本部長の一人としてNTA TRAVEL (Singapore)社長の中島茂氏が現職のまま執行役員として今年3月29日付で就任する。堀坂氏は「有効なグローバル戦略を構築するために、在外法人の使命を明確化する」と話し、グローバル化を推進していくための人事であることを強調した。在外法人の社長が執行役員に就くのは日本旅行では初めて。

また、インバウンド、アウトバウンド、法人、個人の全体戦略を海外の各エリア・国ごとに再構築し、特に中国や東南アジアの現地発法人営業の取り組みを本格化。堀坂氏は「経済成長が著しい国からのMICEをはじめとする法人需要は高い」と期待を示した。さらに、シンガポールに東南アジアを統括する会社の設立を検討していく。このほか、「グローバル人材の育成は立ち遅れている」(堀坂氏)という認識から、新たに人材配置と人材育成を加速化。2018年度には4名の社員をアメリカなどに派遣し、今後も毎年4名ほどの社員を在外法人に送り込む計画だ。

ダイバーシティの推進では、女性の社会進出が加速している背景を踏まえ、女性などが働きやすい環境づくりを進めていく。具体的には、「育児・介護支援勤務制度」の強化、時短勤務の柔軟化や時間年休の推進に取り組む。今年3月29日付で国際旅行事業本部海外営業部長の緒方葉子氏が日本旅行としては初めて執行役員に昇格。国際旅行事業およびグローバル戦略推進本部を担務する。日本旅行では、女性の管理職比率を2018年の12%から2025年には20%にまで引き上げていきたい考えだ。

また、人材のグローバル化では、グローバル人材の育成に加えて、教育研修を強化するほか、インバウンド事業の強化のために外国人人材の採用も積極的に進めていく。

さらに、社外の知見を取り入れてグループ経営の活性化を図っていくために「アドバイザリー・ボード」も新設。鬼怒川流域DC推進協議会会長の波木恵美氏、元台湾観光協会東京事務所所長で現在はKMS日台交流協会代表を務める江明清氏、日本旅行特別顧問の瀧本勝一氏がアドバイザーに就任した。

中核分野については、インバウンド事業では海外エージェントや在外グループ会社との連携、MICEとFITの強化、ホテルや貸し切りバスなどの仕入れ強化を推進。地方創生事業では、自治地帯やDMOなどへのソリューション提供、JR西日本グループとの連携を深めていくほか、運営を受託している「道南いさりび鉄道『ながまれ海峡号』」など地方鉄道の活性化にも貢献していく。

海外旅行については、FIT社でFIT商品とパッケージ商品の製版一体を行うと改めて説明。堀坂氏は「付加価値の高い商品を創出していく」と意気込みを示した。団体旅行については、本社に「海外団体推進本部」を設置。ジャパンウィークなど海外でのイベント需要の取り込みを強化していく方針だ。

堀坂氏は、販売戦略についても言及。航空券などでダイナミックプライスが進んでいるなかで、「時価型の対応はパンフレットでは限界がある。店舗からリアルな形で顧客に攻めていかなければいけない」との考えを示すとともに、現在店舗とオンラインとの関係を検討していることも明らかにした。

2019年度の取り組みについて説明する堀坂社長

2018年度単体決算、国内減収も海外とインバウンドが押し上げ

堀坂氏は、あわせて2018年度(2018年1月1日〜12月31日)の決算概要についても説明した。本業が対象となる単体決算では、国内旅行の販売高は「2018年7月以降の災害によって、特にパッケージの赤い風船が非常に苦戦した」ことから前年比1.3%減の2600億円となった一方、海外旅行は「ヨーロッパのテロによる落ち込みが落ち着いた」ため、同5.2%増の1243億円となった。これに、インバウンド事業の国際旅行453億円(同17.9%増)を加えると、合計の販売高は同2.2%増の4298億円となった。

単体の営業収益は同1.9%減の441億円、営業利益は同1.8%減の2億1900万円、経常利益は同15.2%増の8億400万円、当期純利益は特別損失として2億9300万円を計上したことから同37.8%減の2億9400万円となった。

2019年度については、単体で営業収益同1.1%増の446億円、営業利益同105.5%増の4億5,000万円、経常利益同0.7%増の8億1,000万円、純利益同49.7%増の4億4,000万円の増収増益を見込む。

日本旅行では、中核分野での販売を強化しており、その販売シェアを2018年の49%から2020年には54%にまで上げていく計画。また、企画商品の2020年の販売目標として海外旅行のマッハ・ベストで400億円、国内旅行の赤い風船で1,060億円を目指す。

堀坂氏は「ネット化や単品化によって国内パッケージは厳しいが、大河ドラマなどをフックとしたテーマ性のある商品で販売を伸ばしていく」との方針を示した。今年については、改元によってゴールデンウィーク10連休になることから、「平成最後」商品や「新元号」関連商品で需要を取り込んでいく。海外旅行については、「FITを中心に伸び代はある」との認識から、企画性のある商品で収益拡大を目指していく考え。堀坂氏は「企画商品の販売を落とさずに、中核分野をのばしていく」方針を示した。

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