歴史的な町並みの訪問、「旅行のついでに」が32%、今後は観光だけでなく「仕事+半観光」のニーズに応えることも有効 ―JTB総研

JTB総合研究所が「歴史的な建築物がある集落や町並み(重要伝統的建造物群保存地区)」での観光に関する調査を行ったところ、訪問経験は全体の72%だった。関心が高いのは「城下町・商家町」、「寺町・門前町」。約4分の3が関心を持っているものの、若い人ほど関心が薄まっている現状も浮き彫りとなった。調査は2019年5月10~17日の期間中、20~79歳の男女1万人に実施した。

発表資料より

狭い域内でできるコンテンツ開発必須

まず、訪問経験を尋ねたところ、「訪問を目的に旅行した」が39.4%、「旅行のついでに訪れた」が32.6%で、全体の72%を占めた。ただ、関心がある町並みの種類については、年齢が若いほど「訪れたくない・わからない」が多く、20代男女では4割に上った。

また、全国から29の地区をランダムに選び認知度と訪問経験をみると、世界遺産の「白川郷(認知度50.9%・訪問率23.4%)」、首都圏から近い「川越(認知度37.0%・訪問率23%)が上位となった。直近で訪問した地区の滞在時間は2時間未満が36.7%と最も多く、狭い域内で時間をかけて何ができるかが課題といえる。67.9%が日帰り、13・6%が近隣の観光地や温泉地に宿泊しており、地区内での宿泊は12.6%にとどまった。

訪れた地区で満足したことのトップは「周辺の自然との調和(48.3%)」で、「適度なにぎわい(25.8%)」が続いた。一方、不満点は「飲食店や飲み屋の数(8.7%)」が最も多かったが、総じて不満点より満足点としてあげられることが多かった。ただ、12歳以上の子連れでは、体験の楽しさなどでやや不満がみられ、子連れで気軽に楽しめる施設や体験などのコンテンツが不足している可能性も。また、地域内での昼食が再訪や滞在時間など消費拡大への重要要素となっていることを垣間見る結果となっている。

発表資料より

「仕事+半観光」で空き家活用を

一方で、重要伝統的建築物群保存地区の管理や運営に携わる組織や団体にもアンケート調査を実施したところ、地区として大切にしたいのは「その土地の資源」、「地域に関わること」、「変化への対応」の順。主な課題としては、「空き家の活用」や「交通アクセスの利便性」が挙がった。若い男性中心に「まちの保存に関わる仕事がしたい」、「まちの中にお店やオフィスを構えたい」という意向もあり、JTB総合研究所は「若い世代の働き方の変化に合わせ、観光だけでなく『仕事+半観光』といったニーズに応えることも、課題となっている空き家活用にも有効ではないか」などと指摘している。

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