日本旅行業協会の会長が語った、東京五輪で観光関係者が重視すべきポイント、次の海外旅行者数の目標は2500万人 -新春会見

日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は、2020年1月9日に新春記者会見を開催し、2020年の抱負と業界展望を語った。

田川会長は今年の東京オリンピック・パラリンピックに言及。2019年のラグビーW杯では訪日外国人の増加と地方への誘客効果も得られたが、東京五輪では旅行関連費用の高騰で訪日旅行者数は減少し、日本人の海外旅行も控えられると見られている。そのため、田川氏は、東京五輪では数よりも「期間中は200以上もの国地域の人が日本を訪れ、日本に注目する。日本人も外国の方に接する機会がある」ことが、「これはめったにないチャンス」であると強調。「今回は日本という国、文化を東京で示されるかが最も大切」と述べ、地方に対しても東京を「ショーケース」の場として積極的に活用することを呼びかけた。

さらに、2025年の大阪万博までの6年間、こうした取り組みを続けていくことで「日本のツーリズムの発展を望みたい」とも言及。世界の観光産業が成長から成熟へ向かう中で、新たな旅行形態や旅行体験の変化にも対応し、「時代をとらえて新しいライフスタイルに繋がる新しいツーリズムを積極的に提案したい。その役割をJATAは担っている」との考えを示した。

一方、5Gの商用化やソサエティ5.0への変革など、2020年はさらなるデジタルトランスフォーメーションが進むことは必至だ。これについて、田川氏は「これからは技術とサービスを融合させて、新しい事業を起こすことが一番問われているテーマ」と言及。旅行会社の場合、社内システムのオープン化がポイントで、多業種との連携を模索することが必要になるとの考えを示した。

さらにJTB会長として2019年、電子機器情報産業技術産業協会(JEITA)の副会長に就任したことに触れ、「サービス財として5Gがどう使われるか。そのヒントが求められたのだと思う。技術立国とサービス立国の融合が5Gのキモであり、産業のレベル向上になる」とも述べ、旅行業界がその一翼を担えるか、正念場の年でもあると話した。

なお、2019年に日本人出国者数が長年目標としていた2000万人規模になったことを踏まえ、次のメルクマール(指標)として2500万人をあげた。これは、人口1億2500万人に対する出国率20%の数値。日本の出国率は15%程度だが、先進国の出国率は長年20%程度であることを踏まえ、田川氏は20年ほど前からたびたび口にしてきたという。そのためには「若者に海外に出てもらいたい」と述べ、「今後は初等・中等教育で『国際交流』をカリキュラムで勉強する必要がある。そうならなければ先進国並みの出国率20%は難しい」との考えを述べた。

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