JALグループ、2020年の新入社員は34社2315名、入社式はライブ配信、赤坂社長「カギはテクノロジーと人」

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JALグループは2020年4月1日、2020年度入社式をライブでWeb配信する形式で実施した。今年度の新入社員は34社、2315名。例年はグループ全新入社員が羽田空港の整備格納庫に集まり、飛行機を前に実施しているが、各社同様、新型コロナウイルスの影響に配慮した。

代表取締役社長執行役員の赤坂祐二氏は、祝辞の中で今回の非常事態について、「グローバル社会のもつリスクが大規模に顕在化した」と言及したうえで、「必ず終息を迎える。これまでの蓄えを大事に使い、ダメージを最小限に留める努力で現在をしのぎ、次の反転攻勢に向け準備を行っていかなければならない」と強調。解決のカギのひとつが新しいテクノロジーであり、テクノロジーをどう活かすかを創造するのが「人の力」にあると力を込めた。

以下に、メッセージの全文を掲載する。


新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。

JALグループを代表し、皆さんを心より歓迎するとともに、JALグループを選ばれたことに対し深く感謝申し上げたいと思います。

さて、毎年の入社式は、グループ全新入社員が羽田空港の整備格納庫に集まり、飛行機を前にして挙行しております。

今年は残念ながら新型コロナウイルスの影響により、このような形で実施せざるをえないこととなりました。皆さんには本当に申し訳ありませんが、この非常事態においてはどうかお許し願いたいと思います。

まず最初に、現在新型コロナウイルスの影響により、私たちの航空業界、あるいは世界経済全体が、未曽有の危機に直面しております。

航空業界はこれまでも数々のイベントリスクを経験して来ましたが、今回は、日本を含め全世界に及ぶこれまでとは全く規模が異なる極めて深刻な事態に陥っていると言わざるをえません。

社会人一年目を迎える皆さんは、殊更に大きな不安を抱えておられると思いますが、私たちJALグループは、これまでの経験、特に、イベントリスクを契機に経営破綻に至った痛恨の反省をもとに、常にこうしたリスクに備えるため、いかなる時も決して油断せずこつこつと努力を重ねてまいりました。

ただ今回は、これまでの備えを一気に使い果たすほどの大打撃を受ける可能性があります。しかしこうしたイベントリスクは、必ず終息を迎えます。終わりがあります。したがってそれまでの間、これまでの蓄えを大事に使い、ダメージを最小限に留めるよう懸命な努力で現在をしのぎ、次の反転攻勢に向け、抜かりない準備を行っていかなければなりません。

JALグループは今決して下を向いているわけではありません。皆さんもどうか自信と誇りをもって新しい一歩を踏み出して頂きたい、そのように思います。

次に、航空会社の社員にとってもっとも重要なミッションについてお話しします。

それは安全を守ることです。そして安全を守るとは、人命を守るということです。

1985年8月12日、520名の方がなくなった御巣鷹の事故は今も単独機のものとして航空史上最大の事故であり、私たちはこの事故の教訓をいつまでも後世に伝え残していかなければなりません。

しかしながら昨年、乗員による飲酒事案に伴い、国土交通省より2度目の事業改善命令を受けました。御巣鷹の記憶が薄れてしまったのではないか?過去の教訓を忘れたのか?そういう厳しい声がありました。

そこで私たちは、もう一度安全を守るとは何かを問い直し、単に規則を守ることであるとか、確実な確認を行うとか、そういった決められたことを確実に行うことだけではなく、安全を守るために何をしなければならないか、常にひとり一人が自ら考え、自ら行動に移していかねばならないということを再確認し、現在、安全文化の再構築に取り組んでいるところであります。

私たち航空に従事するものにとって、全ての業務、意識や行動が、安全すなわち人命に関わっています。パイロットや、整備士、客室乗務員だけではありません。

空港で働く皆さんは、航空テロを防ぐ保安要員として重要な役割を担います。また例えば、事業計画の作り方ひとつ、現場サポート部門の姿勢ひとつが、安全の最前線に大きな影響を及ぼし、安全を脅かすことになりかねません。

逆に営業部門がしっかりと収入を稼ぎ、財務部門がしっかりと管理してくれるおかげで、安全に対して十分な投資などができるのです。

航空に従事する者は全員がこのことを肝に銘じていく必要があるのです。

最後に、JALグループのこれからと皆さんへの期待について触れます。

この2020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を迎え、我が国の航空業界も大きな転換期を迎える年となるはずでした。

私たちも、これを機に新しい中期計画を発表する予定でしたが、残念ながら目下の状況に鑑み、計画の策定を一時ストップしています。

この新しい中期計画は、2020という節目の年を起点に、今後のJALグループ、航空業界、そして社会全体の持続的な成長と発展を目指すものです。

社会は今後、新しい技術がかつてない急速な発展を遂げ、その活用が企業や業界の成長にとっての大きなカギになると言われています。また一方、企業の持続的成長は、環境問題をはじめとする社会問題や社会リスクと深く関わり、グローバル化によってその影響はより大きくなるとも言われています。

私たち航空業界も、グローバル社会を支える責任と、航空事業と社会課題の関係の深まりにおいて、これまで以上にこうした課題と向き合い、真剣にその解決の努力をしなければならないのです。

そしてこの解決のカギは、ひとつはやはり新しいテクノロジーであり、もうひとつはテクノロジーをどう活かすかを創造する「人の力」にあります。まさにみなさんが、この「人の力」となるのです。

今回の新型コロナウイルスは、図らずもグローバル社会のもつリスクが大規模に顕在化したものです。

しかしこの教訓は、テクノロジーの進歩や社会の変革を一層促し、今まさに私たちが取り組むべきものを加速させるに違いありません。

皆さんは、こうした社会の大きな転換期にJALグループに入社されました。

皆さんへの、私たちや社会が寄せる期待がいかに大きいかについて、本日お伝えしたつもりです。

是非このことに大きな希望と誇りを感じて頂きたいと思います。

皆さんのご活躍と、輝かしい未来を祈念し、私からの激励の言葉とさせていただきます。

本日は誠におめでとうございます。

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