旅行制限で「未使用航空券」は第2四半期だけで3.7兆円、国際航空運送協会が「払い戻し」は航空会社をさらに窮地に追い込むと警鐘

国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルスが航空業から及ぼす経済的影響について、世界の航空会社は2020年6月30日までの第2四半期で610億ドル(約6兆5500億円)の現金を使い果たし、その四半期の損失は390億ドル(約4兆1900億円)に達するとする分析を発表した。

これは、世界的な旅行制限が今後3ヶ月続くシナリオで算出。このシナリオでは、2020年の旅客需要は前年比38%減少し、通年の旅客収益の損失額は2520億ドル(約27兆840億円)に及ぶことになる。

航空会社にとってさらに深刻な問題なのが、旅行制限による大量キャンセルによって発生する多額の航空券払い戻しだ。販売されたがまだ使用されていない航空券が大量にあり、IATAではその総額は第2四半期で350億ドル(約3兆7600億円)に達すると予測している。

IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長兼CEOは、「各航空会社は、この危機的状況のなかで十分なコスト削減を行えない。第2四半期での390億ドルの損失に加えて、航空券払い戻しによって新たに発生する350億ドル(約3兆7600億円)の負債が事態をさらに悪化させる」と警鐘を鳴らしている。

すでに各国は航空会社を救済する施策を打ち出しており、アメリカでは、総額2兆ドル(214兆円)の経済対策のなかに航空会社とその従業員を救済するため500億ドルを組み込んだ。また、コロンビア、シンガポール、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランドも特別支援策を打ち出した。

このほか、カナダ、コロンビア、オランダは、航空会社が払い戻しの代わりにバウチャーを発行することを認めている。ジュニアック事務総長兼CEOは「こうした施策によって、貨物便の運航を継続していくために現金を保持することが可能になり、旅客便を安全に再開するときに向けて十分な体力を維持することができるようになる」とコメントしている。

一方で、未使用航空券の払い戻しについては、世界の航空会社と旅行会社との間でトラブルとなっている。通常であれば、BtoBの払い戻しは自動返金プロセスによって短期で実現するはずだが、複数の航空会社では、これを停止。旅行代理店による顧客への払い戻しができない状態が続いている。

ヨーロッパで7万社の会員を持つ欧州旅行代理店・ツアーオペレーター協会(the European Travel Agents’ and Tour Operators’ Association: ECTAA)は、「すへての旅行関連会社は、今後数ヶ月続くと思われる危機を生き延びるために、ともに戦わなければならない」とコメントを発表している。

※円換算は1ドル107円でトラベルボイス編集部が算出

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