これからの「出張」はどうなる? オンライン会議の普及で入り交じる、米国での楽観論と悲観論を整理した【外電】

米国では、新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、日常が徐々に戻り、今夏のバケーションシーズンにはレジャー旅行者も回復しつつある。しかし、出張に関して言うと、まだ先が見通せない状況だ。特に国際線では、世界各国での旅行規制によって、その需要は依然として落ち込んだままだ。

米国旅行業協会によると、2019年に米国のビジネス旅行者が宿泊も含めて出張で費やした額は約3000億ドル(約33兆円)。2020年は約950億ドル(約10兆円)にまで落ち込んだ。同協会では、2019年レベルに戻るのは2024年頃と予測している。

航空会社は、出張需要で稼ぎ、その代わりにレジャー運賃を低く設定するモデルを続けてきたが、高収益源が望めないなか、レジャー向け運賃が高騰している路線も出てきた。

米国の航空会社は、学校や企業活動が本格的に再開する9月頃から出張需要が大幅に回復すると期待を寄せるが、米国では、現在、デルタ株の拡大で感染者が再び増加していることから、その予測は楽観的すぎるという声もある。

アメリカン航空の最高収益責任者のバス・ラジャ氏は「10月以降にならないと、本格的な回復は見えてこないだろう」と話す。

デルタ航空は、今年第1四半期の出張利用者は通常の20%、第2四半期は40%だったが、9月には60%になると予測している。デルタ航空が実施した調査では、2023年末までに完全に出張が元通りになると回答した企業は57%という。

デルタ航空のエド・バスティアンCEOは「今後、以前の出張需要の10%から20%を失う可能性もある」と発言。そのうえで、新しい出張の形になる可能性に言及した。たとえば、ヨーロッパへの1泊出張は非効率なため、Zoomで話し合った後に、実際にその人に会いに行くような需要が出てくると見る。

新たな出張のカタチが生まれるか?

米航空業界団体のAirlines for Americaによると、パンデミック以前は出張が理由の旅行は全体の約30%を占め、航空会社の収益全体の40%から50%を占めていたが、今後は出張回数は以前よりも少なくなり、出張の判断はより慎重になると見る専門家もいる。

グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーションの調査によると、調査対象618社のうち50%がすでに国内での不要不急の出張を認めていると回答しているが、海外出張を認めているのは14%に過ぎない。

また、バンク・オブ・アメリカの調査では、ビジネス旅行者のほぼ半数が、少なくとも来年まで出張に出ないと回答。56%がパンデミックが収束すれば、パンデミック以前よりも出張を多くすると回答した一方、31%は少なくなると答えた。

米国のビジネス調査会社で出張手配をするデニーズ・ダニエル氏は、パンデミックがさまざまな種類の旅行を生み出すとしたうえで、「我々は、人と人の関係性が大切なことに気づいたが、バーチャルでできることのために出張に出かけることは望んでいない。パンデミックのなか、環境にとっても、そして予算上でも、不要不急の会議の開き方を学んだ」と話した。

※ドル円換算は1ドル110円でトラベルボイス編集部が算出

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