レジャー白書2021、国内観光旅行は首位から陥落し4位に、一方でGoToが旅行実施に貢献

日本生産性本部の余暇創研は、「レジャー白書2021」を2021年10月4日に発行する。2020年の余暇活動状況について、個別の意識や参加実態に関するアンケート調査および各業界の市場分析から検証して取りまとめたもので、今回が1977年の創刊以来通算45号目。コロナ禍の2020年は、観光・行楽をはじめ、多くの余暇活動で大きな変化が見られた。

2020年の余暇関連市場の規模は前年比23.7%減の55兆2040億円。パチンコ・パチスロを除くと7年連続の増加から減少に転じた。それでも、市場規模動向について説明した桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授の山口有次氏は「当初予想よりは小幅な減少になった。レジャー産業でGoToキャンペーンが大きな効果を発揮したのは間違いない」との見解を示した。

余暇活動の参加人口も前年から大きく変化した。前年1位だった国内観光旅行は、移動の自粛などから約2000万人減少し、4位(約3390万人)に下落。一方、巣ごもり需要の高まりから、動画鑑賞(レンタル・配信)は約390万人増加し、前年の8位からトップとなった

このほか、3位の「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)」、7位の「ウォーキング」、9位の「SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション」など、在宅や近場で行える活動の順位が上昇した。

報道資料より各部門の市場規模を見ると、前年比でマイナス50%未満となったのは、観戦・鑑賞・観光部門で多く見られ、スポーツ観戦は77.9%減、音楽会は79.6%減、海外旅行は93.4%減、国内航空は58.3%減、遊園地・レジャーランドは61.6%減。一方、有料動画配信は65.4%増、二輪自動車は15.4%増と拡大。山口氏は「有料動画配信は2019年までも伸びていたが、2020年にその伸びがさらに加速した」と説明した。

報道資料より一人あたり平均参加種目では、2019年の12.3種目から9.9種目に減少。特に観光・行楽部門の0.9種目減が最も大きくなった。男女年代別で特に減少が大きいのは、男性では70代の3.3種目減と20代の2.8種目減、女性では40代の3.2種目減、30代と70代の3.1種目減。

報道資料よりGoToトラベル、76%が旅行実施に影響

また、「レジャー白書2021」では、GoToキャンペーンの利用状況についても調査。それによると、GoToトラベルは、全回答者のうち29.9%が1回以上利用。利用経験がある回答者に対し行動への影響を聞いたところ、「キャンペーンがなければ行動はしなかった」が29.5%、「キャンペーンなしでも行動したが、後押しになった」が46.3%となり、75.8%の旅行実施に影響を与えた。

GoToイートについては、全回答者のうち27.0%が1回以上利用。利用経験がある回答者に対し行動への影響を聞いたところ、「キャンペーンがなければ行動はしなかった」が30.2%、「キャンペーンなしでも行動したが、後押しになった」が47.1%であり、利用者のうち77.3%の行動に影響を与えた。

このほか、コロナ禍でワーケーションやテレワークなどで働き方に自由度が増し、余暇の自由度も増しているとの仮説のもとで、余暇時間の自由度と満足度についても調査を実施した。それによると、最近の余暇活動について、自由度、満足度、重要性の3項目それぞれの評価点を10点満点とした場合、10点と回答した人は自由度で12.6%、重要性で32.6%、満足度で5.2%。8~9点と答えた人でも、自由度よりも重要性は高く、満足度は低い結果となった。

この結果から、山口氏は「余暇活動の重要性が高いほど余暇時間の自由度が高く、余暇時間の自由度が高いほど余暇活動の満足度が高い傾向にある。新しい働き方が進んでいけば、幸福度は上がっていくのではないか」との見解を示した。

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