国交省、北方領土の隣接地域への誘客は2次交通が課題、40代以下の路線バス利用は7割

国土交通省北海道局と北海道開発局は先ごろ、第2回「北方領土隣接地域観光促進協議会」を開催し、2021年度に実施した旅行者誘客調査の結果と2022年度の取組みを説明した。

同協議会は、根室地域(根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町)への誘客強化を目的に、自治体や観光協会、交通関連事業者などで構成。同地域は自然を生かした体験など、コロナ以降に変化した旅行者の志向に合致する観光コンテンツを有する強みがあるが、観光地が広範に点在し、2次交通が脆弱であるのが観光振興での課題だった。

2021年度の調査では、同地域の訪問者は世帯年収が高い層(1000万円以上)が17.5%と多い特徴がある一方、訪問者数の多い夏季は1回の旅行で効率的に複数エリアを周遊する傾向にあり、次回の旅行で同地域が選択肢に入らない可能性が推察できる結果となった。観光時の移動手段はレンタカーや自家用車が多勢だが、約5~10%は路線バスを利用していることも判明。路線バス利用者の年代は、40代以下のデジタル世代が7割を占めていた。

これらのことから同調査では、地域への誘客拡大にはさらなる観光コンテンツの充実化や魅力の訴求が必要とし、特に観光で公共交通を利用する世代に向けたデジタルでの情報発信が有効と取りまとめた。アンケートの回答には、「(観光地への)アクセス方法を知りたい」「事前にホームページ等で(観光の)内容を詳しく知りたい」という要望が多かったという。

これを踏まえ、2022年度はモビリティミックスを含む観光の一元的な情報発信を充実させることで、地域全体の誘客拡大に取り組む。

具体的には、大手の体験型OTAに特集ページを開設。体験型コンテンツや2次交通の情報を紹介しながら、予約への動線を引き、直接的な誘客につなげる。特集ページの閲覧を促進するため、SNSへの広告展開やインフルエンサー、旅行メディアの招請、協議会構成員の自社メディアなどでの露出を高める。特集ページは6月末にリリースする予定だ。

会議の最後には、協議会のアドバイザーを務める札幌国際大学観光学部教授の古田和吉氏が、総括を述べた。吉田氏は今、注目されるキーワードとして「持続可能な観光(サステナブル)」や「BIO HOTEL(ビオホテル)」、「アドベンチャーツーリズム(AT)」を提示し、同地域にはこれらの要素のアドバンテージがあると言及。協議会のスケジュールに沿い、各構成員が役割を確実に遂行することで、必ず成果につながるとアドバイスした。

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