JTB山北社長が語った、2024年の注力ポイント、商品戦略から訪日客向け新周遊ルートの開発まで

JTBが2024年1月11日、パートナーイベント「JTB Group New Year Partnership Meeting 2024」を開催した。同イベントには、宿泊、交通、観光局など提携する観光分野のパートナーが参加。代表取締役 社長執行役員の山北栄二郎氏が登壇し、観光産業を取り巻く環境や同社の取組みを語った。

JTBグループは、中期経営計画で事業計画を3つのフェーズで進めている。フェーズ1(2020〜21年度)で「経費構造改革期」、フェーズ2(2022〜24年度)で「回復・成長期」、フェーズ3(2025〜28年度)で「飛躍・成長期」。今年は、フェーズ2の「回復・成長期」の最後の年、来年2025年度からはフェーズ3「成長・飛躍期」に入る。山北社長は2024年度が2025年度から飛躍していく流れを作るために、今年が重要な年になることを強調し、「未来に向けたテーマを設定していく」と力を込めた。

また、ツーリズム産業の課題として、人手不足の深刻化、テクノロジー対応、サスティナビリティへの取り組みの3つを提示。昨年、国連世界観光機構(UNWTO)の会合で各国観光大臣と「コロナ禍が収束した今、観光産業は何に投資すべきか」というテーマで議論した際、この3つが世界共通のテーマであると再確認したという。そして、グループ全体でこの課題に取り組んでいく方針を示した。特に、サスティナビリティについては、気候変動への影響が大きく、オーバーツーリズムにも責任があるツーリズム産業として「一層、取り組みを強化する必要がある」と指摘した。

代表取締役 社長執行役員の山北栄二郎氏

インバウンド向けにルート開発から高付加価値化まで

JTBの2024年旅行動向見通しでは、2024年の日本人の総旅行人数(延べ人数)は前年比99%の2億8750万人(2019年比92.2%)、旅行総消費額は同110.1%の16兆7500億円(同105.4%)、平均旅行回数は2.35回と推計している。国内旅行の人数はリベンジ需要が一服して微減、海外旅行は緩やかな回復となり、2019年レベルに戻るのは2025年以降とみている。一方で、2024年の訪日旅行者は人数、消費額ともに過去最高になると見通している。

こうした中、山北社長はJTBでは商品戦略として、商品の付加価値化、リスクテイク仕入れ推進、店頭、オンライン上ともにダイナミックパッケージ(DP)商品の強化などを推進していく方針。また、訪日インバウンドでは中国人旅行者の取り込みを強化する。

同社では、2023年10月にTrip.comグループと合弁会社「JTB Inbound Trip」を設立しており、Trip.comのグローバル販売網とJTBの仕入れ力によって、インバウンド事業を拡大したい考え。インバウンド誘致に向けた戦略コンサルティングも行っていく。

また、インバウンド向けに日本周遊の新しいルートの開発にも注力する。従来のゴールデンルートに加えて、3月の北陸新幹線延伸に合わせて日本海側のルートで東京と関西をつなぐレインボールート、中国四国地域をつなぐ瀬戸内ルート、九州周遊ルートを開発し、首都圏・関西圏以外をめぐる商品造成、訪日客が地域分散する流れをつくっていく。

インバウンド向けの観光コンテンツの高付加価値化では、ガストロノミー、アドベンチャー、サスティナブル、メディカルの4つのテーマ性ツーリズムの取り組みを強化する。特に、昨年、北海道で世界大会が開かれたアドベンチャーツーリズムについて山北社長は「約2倍の消費単価と言われており、様々な体験、食、宿泊を通じてマーケットに対応したい」と話した。

特別講演では国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子教授が「人工知能がもたらす人間と社会の未来」と題して講演した。

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