グーグルが「旅行 × AI」で目指す未来と狙いとは? 予約からフライト検索まで、大幅に拡充された旅行AI機能を解説【外電】

グーグル(Google)は2025年11月17日、AIと検索を連携させた複数の新しい旅行機能を発表し、航空券とホテルの予約を代行するAIエージェントを開発中であることを明らかにした。同社の目標は、AIモードを通じて旅行計画と予約のハブになることだ。

グーグルはブログ記事で、「探しているものを説明するだけで、さまざまな航空券やホテルを比較し、スケジュール、価格、客室の写真、アメニティ、レビューを閲覧できます。その後、選択肢を絞り込み、準備ができたら、選択したパートナーとすぐに予約を完了できます」と説明している。

グーグルは、大手OTAやホテルチェーンと提携しているが、このプロジェクトはまだ初期段階だ。グーグル検索チームの旅行・地域担当エンジニアリング担当バイスプレジデント、ジュリー・ファラゴ氏は「我々は、まだ、この取り組みを始めたばかり。これからも投資を進めていく」と話している。

この分野は競争が激しい。OpenAI、Perplexity、ブッキング・ドットコム、エクスペディアもエージェントツールを開発している。スキフトのレポートによると、旅行業界の幹部の80%が、今後、3~5年以内にAIエージェントを大規模に導入すると回答した。

あらゆるものをAIエージェントで予約

グーグルはAIエージェントによる旅行予約の仕組みについて詳細を明らかにしていないが、レストラン予約ツールからGoogleのアプローチが読み取れる。このツールは、米国でまもなくAI Mode Labsでの実験段階から正式版へと移行する。

この機能では、例えば、「来週の土曜日にリトルハバナで5人でキューバ料理とライブミュージックを楽しめるディナーの予約を探して」などの会話形式のクエリに基づいて提案をおこなう。その後、OpenTableなどレストラン予約サイトのパートナーの予約状況を確認、あるいは他の予約プラットフォームやウェブサイトを探す。

現時点では、このシステムは完全な自律性には至っていない。予約を確定させる代わりに、利用可能な時間枠のリストを表示し、ユーザーが選択して手続きを完了させる必要がある。

これは技術的な問題ではない。グーグルは、すでにエージェンシー・ショッピング・チェックアウトを導入している。これにより、ユーザーは、AIが商品リストを追跡し、特定の価格を下回った場合には、自動的に購入することを事前承認できる。

旅行商品は、より複雑だが、十分な設定とガイドラインがあれば、最終的にはホテルの客室、フライト、レンタカーにも同様の仕組みを適用できる可能性がある。

旅行業界の幹部はAIエージェントに楽観的かもしれないが、消費者は依然として警戒している。スキフトの「State of Travel 2025」によると、予約をAIに完全に委ねることに抵抗がない旅行者はわずか2%だった。

AIモードのグーグルCanvas

AI生成コンテンツを直接編集・調整できる共同作業スペース「Canvas」で「Canvasを作成」を選択すると具体的な内容が生成され、ユーザーは会話を通じて結果を絞り込むことができる。Canvasは、ビジネスクラスとエコノミークラス、ナイトライフと早朝アクティビティなど、ユーザーの好みも記憶する。

Canvasは、グーグルのフライトとホテルのデータ、Googleマップの情報と画像、オンライン検索を活用している。また、価格やアメニティ、レストラン、アクティビティなどきめ細かなホテルのおすすめ情報、そしてホテルからの移動時間に合わせて最適化された旅行プランも提供する。

Canvasはまだ実験的な機能で、ラボでAIモードを有効にした米国のユーザーに限定されているが、世界中の旅行を計画することができる。

Flight Dealsをグローバル展開

GoogleフライトのAI搭載機能であるFlight Dealsは、2025年8月に米国、カナダ、インドでリリースされた。フライトディールは、友達と話すように、どこへ、いつ、どのように旅行したいかを説明するだけで、利用可能な最もお得なプランを表示する機能。現在は全世界で展開され、200以上の国と地域に拡大。60以上の言語に対応する。

航空会社や予約サイトからリアルタイムのデータを取得し、最適なプランをハイライト表示。ユーザーはクリックして航空会社や旅行サイトで直接予約することができる。

Flight Dealsは、数ある旅行ツールの中でAIモード以外でも利用できる唯一のツール。しかし、ツール間は分断されているのも事実だ。ユーザーはすべてのツールにアクセスするには、複数の場所を行き来したり、設定を切り替えたりする必要がある。グーグルが本当に「AIを活用して旅行計画プロセスを簡素化する」ことを望むなら、最終的にはこれらを統合する必要があるだろう。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(Skift)」 から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事: Google Is Building Agentic Travel Booking, Plus Other Travel AI Updates

著者:Adriana Lee氏


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