英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル社は、「2025年トップ100都市デスティネーション・インデックス」レポートを発表した。世界100都市を観光に関する6分野(経済・ビジネスの実績、観光パフォーマンス、観光政策と魅力度、観光インフラ、衛生・安全、持続可能性)について55指標で比較し、観光都市としての魅力を総合評価したもの。
それによると、パリが2021年から5年連続でトップとなった。2位はマドリッドで、2024年に初めてトップ3入りを果たした東京は3位を保持した。トップ10のうち6都市は欧州で、アジアからは東京のほか、シンガポール(9位)とソウル(10位)がランクインした。
日本からは大阪が11位(2024年は16位)、京都が19位(同27位)でトップ20に3都市がランクインした国は日本だけだった。このほか、札幌が50位(同65位)、福岡が64位(同64位)だった。
トップ20のランキングは以下の通り。
2025年世界の観光都市ランキング
- パリ
- マドリッド
- 東京
- ローマ
- ミラノ
- ニューヨーク
- アムステルダム
- バルセロナ
- シンガポール
- ソウル
- 大阪
- ドバイ
- ロサンゼルス
- イスタンブール
- 台北
- ベルリン
- 香港
- ロンドン
- 京都
- バンコク
日本は「観光インフラ」「衛生・安全」で高評価
東京、大阪、京都は観光インフラや衛生・安全の分野では高い評価を得ているが、持続可能性では海外の他都市に遅れを取っており、マドリッドをはじめとしたスペインの都市が先進的な環境施策をリードしている。また、レポートではAIが観光地のマネジメントや旅行者体験の変革を促しており、ニューヨークのスマートシティプラットフォーム、バンコクのデジタル入国カード、アブダビのAI活用サービスなど、各都市が最新技術を導入している点を指摘している。
同社ロイヤリティ調査部門長のナデジャ・ポポバ氏は「経済の逆風や地政学的な不安があるなかでも、2025年の世界の国際旅行者数は前年比で4%増加し、旅行市場の強さが示された。都市が変化や困難に柔軟に対応し、旅行者に常に魅力的な体験を提供できる能力を反映している。一方で都市はいま、野心的な投資、急速なイノベーション、AIの広範な導入により、都市観光の転換期を迎えている」と分析。世界旅行市場は今後も大幅に成長し、海外・国内の旅行支出は2030年まで に6.7兆ドル(日本円で約1039兆円)に達すると予想している。
なお、レポートでは2025年の各都市のインバウンド客を推計。それによると、バンコクが前年比7%減の3030万人でトップ。香港が同6%増の2320万人、ロンドンが同4%増の2270万人で続く。東京は11位、大阪は13位になるとしている。
