世界大手OTAトリップ・ドットコムの「能登復興プロジェクト」を現地取材した、観光・関係人口で被災地に活力を

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トリップ・ドットコム(Trip.com)は、観光を通じて石川県能登町の復興を支援する「Go, walk with Noto~旅が復興支援になる Hope Tourismプロジェクト~」を立ち上げた。第一弾として、能登町の老舗酒蔵「松波酒造」と「ホテル日航金沢」が連携した特別宿泊プランの販売を2026年7月27日から開始した。

同社の日本法人代表取締役社長の高田智之氏は、プロジェクト立ち上げの背景について、石川県との個人的なつながりや想いに触れたうえで、「グローバルなOTAとして、日本だけでなく世界の旅行者に向けて能登の魅力を発信し、交流人口・関係人口を増やし、地域の活性化に貢献していく。それが復興支援につながる」と説明した。

また、能登町の吉田義法町長は、「ようやく震災被害からの復旧が始まった状況。観光については、事業者の支援を受けながら復興に取り組んでいる。今回のプロジェクトが能登観光の活性化につながることを期待している」と期待を寄せた。

第一弾の宿泊プランは、2026年10月末ごろまで販売する。松波酒造の3種飲み比べセットを組み込むほか、ホテル日航金沢内の日本料理店「弁慶」では能登食材を使用した「能登会席」を提供するなど能登の地産地消にこだわる。

まだ先が見えない復興、できることからひとつずつ

能登町を含む能登半島は、2024年1月に発災した能登半島地震と、その後の奥能登豪雨で甚大な被害を受けた。その復旧・復興はまだ道半ばだ。トリップ・ドットコムは、「Go, walk with Notoプロジェクト」始動にあたって、社員研修の一環として、復旧工事が進む和倉温泉街や被災施設を視察したほか、松波酒造でボランティア活動を行った。

松波酒造も震災で壊滅的な打撃を受けた。現在でも醸造は全国の酒蔵仲間の支援を受けておこなっている状況だ。若女将の金七聖子さんは、現在の復旧状況について、「震災前の15%くらい。製造施設の再建はまだ先が見えない」と話す。それでも、2025年の9月には敷地内にトレーラーハウスを建て、松波酒造の日本酒や地域の物産の販売を始めた。昔からのファンや個人の観光客が立ち寄ってくれるという。

また、松波酒造は、日本サッカー協会(JFA)の協力で、トレーラーハウスの隣にフットサルコートを整備。トリップ・ドットコムの社員によるボランティアでは、その周辺の草刈りや瓦礫の撤去をおこなった。この場所では、FIFAワールドカップ2026の日本対チュニジア戦のパブリックビューイングも実施したが、若女将の金七さんは「もっとサッカー関連のイベントをやりたいと思い、ボランティアの方々にきれいにしていただきました」と明かし、震災後地域の人口流出が続くなかで、「とにかく、人が集まる場所を作りたい」と力を込めた。

炎天下のもとトリップ・ドットコムの社員は松波酒造でボランティア

能登町、二地域居住など関係人口を創出へ

能登町は、2025年2月に能登町復興計画「未来のとびら」を策定した。里山里海を中心とした「能登町の暮らしの循環」を念頭に置き、再生と創造を目指す5つの柱を立てた。その一つ「復興プロジェクトの創出」では、移住定住や二地域居住など関係人口の創出と拡大を掲げている。

吉田町長は、「旅行やボランティアなど、いろいろな機会で交流できる人口を増やしていきたい」と意欲を示す。

また、自身が石川県の関係人口となっている高田氏は、「個人的に東京から能登に来るなかで、正直、どのように地域の皆さんと接するのが正解なのか最初はわからなかった」と振り返った。そのうえで、「お会いする方々は口を揃えて、普通に観光に来て、普通に食事をして欲いと言ってくださった」と明かす。そして、SNSが交流人口や関係人口が増えるきっかけになる今、グローバルOTAとして「能登のイメージをアップデートしていく必要がある」と付け加えた。

(左から)ホテル日航金沢の岡島氏、トリップ・ドットコムの高田氏、能登町の吉田町長、松波酒造の金七さん

金沢から足を伸ばすきっかけに

トリップ・ドットコムによると、石川県を訪れるインバウンド旅行者は増えている。直近の同社データでは、香港、台湾、米国が前年比で2倍、シンガポールが2.7倍、マレーシアが3倍になっているという。高田氏は「インバウンドも金沢までは来ている。そこから能登まで足を伸ばしてもらうかが課題」と口にし、金沢からのレンタカー利用に期待をかける。

また、ホテル日航金沢宿泊本部長の岡島憲孝氏は、「国内の旅行者の足がまだ能登に向かっていない」と話し、「今回のホテル日航金沢での宿泊プランを、能登訪問のきっかけにしていきたい」と意欲を示した。

一方、吉田町長は、能登町の観光の課題として、宿泊施設の少なさを挙げた。それでも、「新しい民宿もオープンする。町としてもホテル誘致にも取り組んでいる」と明かし、住民の生活再建と合わせて、観光客の受け入れ体制の整備にも力を入れていく方向性を示した。

加えて、「能登町から海越しに3000メートル級の立山連峰が望めることは知られていない」と話し、町として積極的に観光情報を発信していく必要性に触れた。

松波酒造の完全復活までにはまだまだ時間がかかる。それでも、トレーラーハウスをオープンして以降、週3日の営業ながら、来店客がゼロの日はないという。金七さんは、「家族で来てもらって、お酒を飲みながらワイワイ楽しんでもらう。そういう姿が住民の励みになります。ぜひ、まずは来てください」と力を込めた。

取材・記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹

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