航空業界が目指す未来、2020年までに乗客8割に完全なセルフサービスを -IATA

国際航空運送協会(IATA)は、ITを活用した乗客利便向上の推進を行い、航空流通や空港、データ交換の分野において、今後積極的なプロジェクトを行っていく。

IATAのトニー・タイラー事務総長兼CEOは2014年6月19日、ブリュッセルで開かれたSITAなど主催の「エア・トランスポート ITサミット」に登壇、「われわれが運んでいるのは航空機ではなく、人であり、貨物だ。つまり、IT関連システムのデザインや統合、改修などを、乗客の顧客目線で進めなくてはならない」と航空業界の投資家らに強調した。なかでも、エアラインディストリビューション(航空流通)、空港における環境、情報の相互交換のためのデータ基準化の3つの分野が、IT技術の改善でより強力な効果を発揮するとした。


▼航空流通の秘策は「NDC」

航空会社が提供するプロダクトに旅行者はどこからでもアクセス

航空流通においては、IATA は航空会社のサイトで購入できる豊富なコンテンツ・商品と、旅行会社が独自に商品化したオプションなどの間のギャップを埋めるため、ニュー・ディストリビューション・ケーパビリティー(NDC)を発表。XMLプロトコルを使用したもので、旅行者が航空会社の提供するいかなるプロダクトに、世界のどこにいてもアクセスできることを売りにしている。5月には米国運輸省(DOT)が、NDCのための基盤文書である「IATAレゾリューション787」を仮認証した。

タイラー事務総長は、「すべては買い物に始まる。成功を納めているブランドは、業種や顧客層を問わず、気持ち良く快適に買い物できる環境を整えている。現在のエアトラベルは、常にその環境を実現できていない」とし、多くの旅行会社とオンライン旅行会社のディスプレイを動かしている「プレ・インターネット言語標準」の環境により、航空会社、旅行会社、旅行者が旅行する際にそれぞれが受けている弊害を指摘。その結果、旅行代理店は価格とスケジュール以外の面で、航空会社の間で差別化した商品を効率的に提供することができにくい状況で、NDCによる環境整備の必要性を強調した。


▼空港では「セルフ」が基本、2020年までに8割の乗客に

安全対策のストレス軽減に3空港で試験対策実施

IATAが世界の乗客を対象に実施した2013年の調査によると、3分の2の乗客がオンラインチェックインか、航空会社からのテキストメッセージやEメールなどによる自動チェックインを希望しており、63%が現行の人などが介在するシステムより、セルフの搭乗ゲートの方を望んでいるという。

それらの要望に応えるべく、IATAの「ファースト・トラベル・プログラム」では、よりシームレスな旅行体験と、書類や荷物の管理、予約の変更、搭乗手続きなどのセルフサービス化による効率的なサービスの提供を目指している。2014年には同プログラムのプロジェクトで、候補となる乗客を現行の17.5%から27%に引き上げたい考え。2020年までには、80%の乗客が完全なセルフサービスを受けられる状態にまで業界の環境を整えていく。

そのほか、推進中の2つのプログラムを紹介。荷物のトラブルを現在の1%から2020年までに0.5%にする「イノベーション・イン・バゲージ」のほか、よりリスク回避への対策をより強化した状態で、かつ待ち時間と服を脱ぐ行為などのストレスを最低限にとどめる「スマートセキュリティー」の仕組みを開発中で、今年アムステルダムのスキポール空港、ロンドンのヒースロー空港、ドーハのハマド国際空港でトライアルを実施する。

各国政府にも、今後、テクノロジーが進み、例えば自宅で印刷された荷物タグの利用など、新たなサービスが提供されれば、さまざまなところで規制の変更等の対応も必要となってくる可能性があると、協力を要請している。


▼円滑化へは各社異なるITシステムでの情報交換が課題

体系化して綜合管理することで、関連業者にメリットも

乗客の旅行の円滑化へは、異なるさまざまなITシステムが相互に情報交換を行えるようにするのが課題だが、IATAは「インダストリー・データ・モデル」で、情報のギャップを埋めるため、情報を体系化して総合管理し、あらゆる人々が利用・閲覧可能にする方針だ。その過程で、業界各社はカスタム設計が一部必要となるかもしれないが、既存のものやすでに活用しているものを再利用するものになるだろうとしている。

共通の情報はホテルやレンタカー会社など他の旅行関連業者にとっても、コンピュータ用語において、どのように交渉すればよいか理解できるようになり、航空会社と相互連絡しやすくなるだろうとして、利用を広めていきたい考えだ。

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(トラベルボイス編集部)

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