民泊でネット仲介企業に法規制、Airbnbや宿泊事業者団体が議論した「民泊のあり方」検討会をレポート

政府は、シェアリングエコノミーサービス事業者(ネット仲介業者)に対して法整備をする方針を固めた。2015年12月10日に開催された政府のIT総合戦略本部の検討会では、貸し手・借り手の本人特定の確認や苦情相談窓口の設置などを義務付けする方針が決定。こうした規制を、国内サービスの提供社だけでなく海外事業者にも適用し、海外事業者には国内に事業所の設置を要件とするなどの仕組みを作る方針だ。

来年1月には、国家戦略特区での民泊がスタートする。各分野での民泊での議論が進み、実際の動きも活発化する中、厚生労働省と観光庁は、12月14日に「民泊サービス」のあり方に関する検討会の第2回会合を開催した。

厚労省は、「課題を洗い出して議論していく」方針で、今回の検討会にはAirbnb社も参加。構成員らが民泊の安心・安全を担保する活動への要望や質問を寄せた。第2回会合はヒヤリングを中心に展開され、Airbnb社の他、新経済連盟、日本旅館協会などの宿泊施設系の団体関係者が各分野での取り組みや意見を述べる機会となった。

以下に各分野からの発言をまとめた。


Airbnb -30日以内の貸し出しホストが約4割、新たな規制モデルも

アジア太平洋公共政策ディレクターのマイク・オーギール氏

オーギル氏は、資料として同社が試算したホームシェアリングによる経済効果を提出、説明した。その経済効果の高さや、ネット上でのホストとゲストの相互評価、事故やトラブル発生時の同社の補償制度などを強調し、民泊で安全が担保されていることをアピールした。

規制に対する考え方では、規制があってもよいという考え。1年365日商業的に運営しているホストには完全な規制や認可制、自分の家を時々貸し出す「典型的なAirbnbのホスト」に対しては新たな規制モデルがあってもよいというもの。同社のホストは30日までの貸し出しは約40%程度、180日以上貸し出しているホストは10%以下であることも補足した。


新経済連盟 -税金の代理徴収や衛生面の周知など仲介業者に役割を

事務局長 関聡司氏

関氏は、ホームシェアの経済効果と必要性を説明。同連盟は、民泊の経済効果を10兆超と試算している。また、ホームシェアを新たなサービスとして位置づけて、旅館業法の適用を受けない制度を提案。ガイドラインなどの柔軟な形での規律が望ましいことを提言した。

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民泊の必要性では、経済効果、地方創生、一億総活躍社会(アントレプレナーシップの向上)、空き部屋問題への対応・生産性を活性化させることなどを提示。また、宿泊費用の高騰に歯止めをかけることや観光立国への貢献を挙げた。

一方、課題として本人確認、衛生面、納税について指摘。プラットフォームとなる仲介事業者に対して衛生や宿泊税、所得税の徴収を周知すること、特に納税面では代行徴収に期待した。


日本旅館協会 ―違法なマンション貸し営業で仲介サイトに責任

会長 鉢谷了氏

鉢谷氏は、先に述べられた経済効果やネットの相互評価による安全性について「きれいごと、実態は違う」と強く反論した。個人宅への短期間の民泊に対しては反対しておらず、複数マンションを“営業”しているホストが多い点を指摘。そうしたホストが旅館業法において違法の状態であるにもかかわらず、ネット上に掲載をし続けている点で、仲介サイトの責任を求めた。

また、「民泊のハードルが下がれば、旅館業法の登録は形骸化する」として、旅館業では中小旅館が最も打撃を受けるとして反対の意思を明確にした。


日本ホテル協会 -外国人の宿泊で防災面での不安も

専務理事 宮武茂典氏

既存の宿泊施設が法律にのっとった設備投資や防災訓練の実施などを日々行っていることを強調。こうした活動で宿泊者の安全を担保しており、感染症・テロ対策でパスポート情報など本人確認を行っている宿泊施設の努力を説明した。宿泊施設の利用者の安全安心、近隣住民の不満が起きない適切な処置が行われることが必要であるとの考えだ。

また、ホスト不在による外国人のマンション滞在は、本国とのガス設備などの違いがあり、出火の可能性も指摘した。


全日本シティホテル連盟 -外国人経営の未届け民泊を指摘

会長代行 星野誠氏

星野氏は、すでに未届けの民泊が外国人経営で存在していることを指摘。ワンルームマンションなどを複数借り、自国で集客しているため、日本国内では全く把握が困難で税金を徴収することもできない事例があることを紹介した。

また、衛生的側面では、床シラミ(ナンキン虫)の発生が多くなっていることを示し、駆除費用での仕組み作りも提案した。

このほか、不動産分野では賃貸物件における“また貸し”の課題も指摘された。Airbnb社側としては把握が難しいとしながらも、「ルールに入ってくるべき(オーギル氏)」との考えを示した。

次回の検討会には、日本旅行業協会(JATA)、国家戦略特区に限定した民泊事業を運営する百戦錬磨、IT総合戦略本部など参加する予定だ。この検討会は月1から2回で継続され、2016年3月には中間的な論点を整理、夏から秋には一定の取りまとめを行う計画。

初回会合の記事>>

トラベルボイス編集部 山岡薫

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